総括
FX「ペソ円は年初来31％高。金融引き締め継続、直接投資増加」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.1-7.6
(ポイント）
＊年初来、対円で31.37％高 最強通貨
＊9月消費者物価は8.7％
＊中銀総裁は利上げはまだ完了していないと発言
＊メキシコへ直接投資が伸びる
＊USMCAの連携は強いが、さらに進展余地（後述）
＊8月鉱工業生産は改善
＊9月の製造業PMIは改善
＊世界銀行は今年の成長率を1.8％と予測、6月の見通しから0.1％引き上げ
＊メキシコへの送金、8月の伸び率は鈍化
＊メキシコ中銀、0.75％利上げ、追加引き締め示唆
＊経済指標は概ね強く、物価は高い
＊米国向け自動車輸出はメキシコが日本を抜いてトップに
＊米独中がメキシコとの経済関係を強めている
＊2QのGDP改定値は前期比0.9％増
＊大統領の支持率は61％と高い
＊ムーディーズは格下げ、S&Pは見通し引き上げ
（年初来では31.37％高）
10月13日にまたもや年初来高値更新の7.370をつけた。年初来では31.37％高。もちろん年初来最強通貨だ。スワップ金利は約8％なので、ここまで年率でレバ1倍で39％、レバ2倍で78％の利益が出る。米国同様に高インフレで金融引き締めが続くこと、メキシコの金利水準は8％を超え米国の2％より高く魅力的だ。
（中銀総裁＝加速するインフレを抑えるための利上げはまだ完了していない）
9月30日にメキシコ中銀は、政策金利を0.75％引き上げ、過去最高の9.25％とした。9月の消費者物価は、前年同月比で8.7％上昇。伸び率は2000年12月以来の大きさとなった8月と同じだった。上昇傾向に歯止めがかかったものの、中銀の目標である3％を大きく上回った。ロドリゲス中銀総裁は、加速するインフレを抑えるための利上げはまだ完了していないと述べた。
（メキシコへの直接投資が伸びる）
米国とメキシコ経済の強さを反映しメキシコへの直接投資も伸びている。2022年上半期の対内直接投資額は275.1億ドルで、前年同期比49.2％の大幅増となった。国別にみると、米国からの投資額が最も大きく前年同期比17.1％増、次いで同じUSMCAのカナダ、さらにスペインと続く。また中国企業が「米中貿易戦争」の影響からメキシコへ工場進出しメキシコ経由の米国輸出を伸ばしている。米国向け自動車輸出は8月は、メキシコが日本を抜いてトップになった。サプライチェーン問題も解決されつつあり経済指標も改善している。
（8月鉱工業生産改善）
8月鉱工業生産は前年比3.9％増、7月の2.6％増、予想の2.9％増を上回った。メキシコへの直接投資やサプライチェーンの回復が功を奏している。
テクニカル分析
毎月、年初来高値更新
日足、またもや年初来高値を更新し10月13日に7.37円をつけた。ボリバン2σ上限を一時越える。10月7日-12日の上昇ラインがサポート。上値抵抗はボリバン2σ上限の7.37、3σ上限の7.45。5日線、20日線上向き。
週足、6週連続陽線の後は小康するも、現在は2週連続陽線、今週もここまで陽線。8月1日週-9月26日週の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限は7.35、3σ上限は7.6。
月足、8月から毎月年初来高値を更新している。6月-7月の下降ラインを上抜く。8月-9月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限。
年足、2021年は陽転。20年-21年の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
カナダとメキシコなしでは米国が世界経済に勝てない理由
「The Globalization Myth: Why Regions Matter」（シャノン オニール著）
米国が自由貿易に背を向け、世界経済の中で独力で行こうとするのは大きな間違いである。代わりに、米国がより国際的な競争力を持ち、良い仕事を生み出すためには、カナダとメキシコを受け入れ、地域のサプライチェーンと全体的な生産能力を強化するために協力して、貿易の中間点を見つけなければならないと主張。（私は既にメキシコが米国のハブとして発展し、昨今のペソの強さを生みだしたと思っていましたが、まだまだUSMCA協定には保護主義の部分が多く、改善すべき点があるそうです。さらに米・カナダ・メキシコの連携が強まれば、北米経済圏の強さが増すでしょう。年初来、メキシコペソ・米ドル、カナダドルが強いのも、その兆候かもしれません）。
https://www.npr.org/sections/money/2022/10/11/1127505616/why-the-u-s-might-not-win-the-global-economy-without-canada-and-mexico
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。
