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FX/為替 月間見通し「クロス円は方向感出にくい展開に」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2022年9月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のポンド/円ポジション動向
・9月の英国注目イベント
・ポンド/円 9月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月の豪ドル/円ポジション動向
・9月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 9月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 8月の推移

8月のポンド/円相場は159.443~163.879円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.5%下落した(ポンド安・円高)。

ペロシ米下院議長の訪台に中国が強い不快感を示したことで東アジアの地政学リスクが意識されると2日に160円台を割り込む場面もあったが、下落は一時的だった。4日には英中銀(BOE)の政策金利発表を前に163.88円前後まで上昇。しかし、BOEが大方の予想通りに50bp(0.50%ポイント)の利上げを決めると材料出尽くしとの見方から161円台へと反落した。その後は、夏季休暇シーズンで英国発の手掛かり材料に乏しい中、163円台では上値が重くなった一方、160円台では底堅く推移した。ドルが全面高となる中で、ドル/円が上昇した一方でポンド/ドルが下落したため、ポンド/円には方向感が出にくかった。

ポンド/円 8月の推移

8月のポンド/円4本値

出所:外為どっとコム

2日
米下院議会のペロシ議長が台湾を訪問。前日終盤に中国側は「中国人民解放軍は決して座視することはない。必ず断固として強力な報復措置をとる」と強く反発した。これを受けて早朝からリスク回避の円買いが強まったが、一巡後は急速に円売りに傾いた。

4日
BOEは予想通りに政策金利を1.25%から1.75%に引き上げた。50bpの大幅利上げは27年ぶり。議事録では金融政策委員会(MPC)メンバー9人のうち8人が50bpの利上げを支持、残り1人は25bpの利上げを支持していたことが明らかになった。金融政策報告書では、インフレ加速により英経済のマイナス成長が5四半期連続で続き、その間のGDPは2.1%低下するとの見通しを示した。その後ベイリーBOE総裁は「年後半に景気後退(リセッション)に陥る可能性がある」とした上で「インフレ率を目標の2%に戻すことが最優先事項」「今後の会合では、あらゆる選択肢を検討する」と述べた。

12日
英4-6月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比-0.1%と予想(-0.2%)は上回ったが、5四半期ぶりにマイナスに転じた。英6月鉱工業生産は前月比-0.9%(予想-1.4%)、同貿易収支は228.47億ポンドの赤字(予想223.00億ポンドの赤字)であった。

16日
英7月雇用統計は、失業率が3.9%で前月と同じだった一方、失業保険申請件数は1.06万件減と減少幅が縮小した(前回2.68万件減)。4-6月の国際労働機関(ILO)基準失業率は3.8%と予想に一致。4-6月の週平均賃金は前年比+5.1%と予想(+4.5%)を上回った。

17日
英7月消費者物価指数(CPI)は前年比+10.1%と予想(+9.8%)を上回り、約40年ぶりに伸び率が10%を超えた。同生産者物価指数(PPI)は前年比+22.6%だった(予想+23.1%)。

23日
英8月製造業PMI・速報値は46.0、同サービス業PMI・速報値は52.5となった(予想51.0、51.6)。製造業PMIの落ち込みは予想より大きかったものの、ポンド売りは一時的だった。

31日
ジョンソン英首相の後任を決める与党・保守党の党首選を巡り、投票前の最後の討論会が行われた。世論調査でリードしているトラス外相は「企業や家計への新たな課税はしない」と明言。ロシアへの制裁を続けることで「エネルギー危機の原因である戦争を終わらせるべきだ」と主張した。一方、巻き返しを狙うスナク前財務相は、エネルギー企業への追加課税を拡大して家計を支援するための財源をねん出する考えを表明した。

8月の各市場

日経平均、FTSE

英国債利回り(2年、10年)

8月のポンド/円ポジション動向

8月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月の英国注目イベント

9月の英国注目イベント

ポンド/円 9月の見通し

英国の次期首相を決める与党・保守党の党首選決選投票の結果が9月5日に判明する。トラス外相とスナク前財務相の一騎打ちとなるが、下馬評ではトラス氏が圧倒的に有利とされる。トラス氏は即時減税を掲げており、首相に選出されれば、所得減税だけでなく消費税に相当する付加価値税(VAT)を引き下げることを検討すると報じられている。市場はトラス氏の減税で英国のインフレがさらに加速するとの懸念を強めているようで足元のポンドは弱含みで推移している。もっとも、トラス氏の勝利はすでに織り込み済みと見られ、選挙結果の判明後の市場には新政権の政策発表を見極めたいとのムードが広がるだろう。

また、14-15日には英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)が開催される。ベイリーBOE総裁は前回のMPC後の会見で「インフレを2%の目標に回帰させることが引き続き絶対的な優先事項であり、問答無用だ」と明言。景気が後退しても、高インフレ継続よりはマシとのスタンスを強調した。今回も50bp(0.50%ポイント)を超える利上げが行われる可能性がきわめて高い。BOEの利上げはポンドの強材料ではあるが、利上げによる景気後退(リセッション)リスクが意識される中では、押し上げ効果は限定的であろう。これらを踏まえ、9月のポンド/円相場は方向感が出にくい相場展開が続きそうだ。
(予想レンジ:156.000~164.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 8月の推移

8月の豪ドル/円相場は90.518~96.198円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.1%上昇(豪ドル高・円安)した。

2日、豪中銀(RBA)が予想通りの利上げを決めたことや、台湾情勢を巡る懸念が強まったことから90円台半ばまで下落した。しかしその後は、改めて円売りが優勢となり12日には95円台を回復。中旬には中国の景気不安などから弱含む場面もあったが、93円付近で下げ止まるなど底堅く推移。下旬にかけては、ドル/円相場が24年ぶりに139円台へと上昇するなど円が全面的に下落する中、豪ドル/円にも上昇圧力がかかった。30日には、6月9日以来の高値となる96.20円前後まで上伸した。

豪ドル/円 8月の推移

8月の豪ドル/円4本値

出所:外為どっとコム

2日
RBAは予想通りに政策金利を50bp(0.50%ポイント)引き上げ1.85%とすると発表した。声明で「ここ数カ月の金利引き上げはインフレ率を目標値に戻し、豪経済においてより持続可能な需給バランスを作り出すために必要なもの」と説明。今後については「金融正常化に向けた取り組みとして、今後数カ月さらなる措置を講じる」と利上げ継続の考えを示した。一方で「将来の金利引き上げの規模とタイミングは、今後のデータとインフレや労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決定する」とした。想定したほどタカ派的な声明ではなかったとの見方から豪ドルが軟化。その後、中国がペロシ下院議長の台湾訪問に対して「『1つの中国』の原則に著しく違反し、両国関係の政治的な基礎に深刻なダメージを与えた。中国は断固反対するとともに厳重に非難する」と激しく反発したことも相まって、一時大幅に豪ドル安・円高に振れた。

4日
豪6月貿易収支は176.70億豪ドルの黒字となった。黒字額は予想(140.00億豪ドル)を上回り、過去最大を更新した。

5日
RBAは四半期に一度の金融政策報告を発表。インフレ率が約30年ぶりの高水準に向かっているため追加利上げが必要だとし、大幅な景気減速につながり経済の安定維持が困難になるとの認識を示した。RBAは2022年末の消費者物価指数(CPI)上昇率見通しを7.75%と5月時点の予想の5.9%から大幅に引き上げた一方、経済成長率見通しは3.25%と1%ポイント下方修正した。

15日
中国7月小売売上高は前年比+2.7%となり予想(+4.9%)を下回った。同鉱工業生産も前年比+3.8%と予想(+4.3%)を下回った。これを受けて中国景気の先行き不透明感が広がった。

16日
RBAは8月会合の議事録を公表。「政策委員会は今後数カ月にわたり金融状況の正常化に向けたプロセスでさらなる対応を取る予定だが、既定の軌道上にはない」との考えで一致したことを明らかにした。さらに、「政策委は経済の安定を保ちつつ正常化を目指す。こうしたバランスを実現する道筋は狭く、かなりの不確実性に影響されている」との見解を示した。

17日
豪4-6月期賃金指数は前年比+2.6%と予想(+2.7%)を下回った。賃金インフレ圧力が思ったほど高まらなかったことから利上げ加速期待が後退する形で豪ドル売りが優勢となった。

18日
豪7月雇用統計は失業率が3.4%に低下(予想3.5%)して1974年以来48年ぶりの低水準を記録。一方で新規雇用者数は予想(2.50万人増)に反して4.09万人減少した。労働力人口のうち就労意欲のある人の割合を示す労働参加率が前月の66.8%から66.4%に急低下したことが失業率を押し下げた。このため、失業率の低下は豪ドルの買い材料にならず、雇用者数の減少を受けて売りが優勢となった。

29日
豪7月小売売上高は前月比+1.3%と予想(+0.3%)を大幅に上回り4カ月ぶりの高い伸びとなった。

8月の各市場

日経平均、NYダウ平均

上海株、豪10年債利回り

8月の豪ドル/円ポジション動向

8月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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9月の豪州・中国注目イベント

9月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 9月の見通し

8月の豪ドル相場は、対円では上昇したが対ドルでは下落。ユーロに対しては弱含んだが対ポンドでは強含むなど、相手方の通貨によってマチマチの動きであった。世界的な高インフレ下にあって資源輸出国通貨としての強みが意識される半面、金融引き締めによる世界的な景気後退(リセッション)を巡る懸念が豪ドルの弱みとなっているようだ。こうした強弱材料の綱引は9月も続く可能性がある。豪ドル/円は、豪中銀(RBA)の利上げ継続スタンスと、日銀の緩和維持スタンスの対比から下値は堅いと見るが、6月に付けた2015年1月以来の高値である96.88円前後を超えるためには、世界的なリセッションを巡る市場の懸念が後退する必要があろう。その意味でも、9月の豪ドル/円相場については主要国の株価動向がカギとなりそうだ。

RBAについては、6日の理事会でも50bp(0.50%ポイント)の追加利上げが濃厚と見ている。今後の利上げペースは「データ次第」との姿勢も変えない公算が大きい。8月に続き市場は「RBAのタカ派度が薄れた」と評価する可能性もあるが、対円相場での豪ドルの下値は限定的だろう。
(予想レンジ:92.500~98.000円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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