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FX/為替 月間見通し「豪ドルの経済面と金利面の優位性は揺らがない。世界リセッション懸念は杞憂か実現か」豪ドル/円 外為どっとコム総研 House View 2022年7月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月の豪ドル/円ポジション動向
・7月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 7月の見通し

 

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 6月の推移

6月の豪ドル/円相場は91.968~96.879円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.4%上昇(豪ドル高・円安)した。豪中銀(RBA)の引き締めスタンスと、日銀の大規模緩和を維持する姿勢の対比から豪ドル高・円安が進行すると8日には2015年6月以来7年ぶりの高値となる96.88円前後まで上伸した。

しかしその後は、中国・上海が一部の地域でロックダウン(都市封鎖)を再開した(9日)ことや、米5月消費者物価指数(CPI)が予想外に上振れした(10日)ことなどから、世界的に株価が調整する中で豪ドル/円の上値は重くなった。豪5月雇用統計の好結果(16日)でも戻りは鈍く、世界景気の減速懸念がくすぶる中、95円台で頭打ちとなった。月末29日にはドル/円相場が24年ぶりに137.00円付近まで上昇したにもかかわらず、豪ドル/円は94円台で伸び悩んだ。

出所:外為どっとコム

1日
豪1-3月期国内総生産(GDP)は前期比+0.8%、前年同期比+3.3%となり、10-12月期から減速したものの予想(+0.7%、+3.0%)を上回った。一方、中国5月財新製造業PMIは48.1と前月から上昇したものの予想(49.0)を下回った。

2日
豪4月貿易収支は104.95億豪ドルの黒字となり、黒字額は予想(90.0億豪ドル)を上回った。天然ガスの輸出や観光客の増加を背景に黒字が拡大した。

7日
RBAは政策金利を50bp(0.50%ポイント)引き上げ0.85%にすると発表。0.60%もしくは0.75%への利上げを見込んでいた市場の予想を上回る利上げ幅となった。声明では、インフレ抑制に向けて「今後数カ月で、さらなる措置を取ることを見込んでいる」として追加利上げを示唆した。

9日
中国5月貿易収支は787.6億ドルの黒字と、予想(577.0億ドルの黒字)を上回った。輸出が前年比+16.9%と大幅に伸びたことが寄与した。新型コロナウイルス感染対策のロックダウンが解除され始めたことが背景。ただその後、中国上海の一部の区域でコロナ対策のロックダウンが再び開始されたとの報道が伝わったため豪ドルは軟化した。

16日
豪5月雇用統計は、失業率が3.9%と前月と同じ1974年以来の低水準を維持。新規雇用者数は6.06万人増と予想(2.50万人)を大幅に上回った。労働参加率も66.7%と予想(66.4%)を上回る好結果となった。

21日
ロウRBA総裁は、次回7月会合で25bpか50bpの利上げについて議論するとの見通しを示し「市場が示しているような利上げの軌道になる可能性はあまり高くない」と発言。これを受けて利上げに対する過度な期待が後退すると豪ドルが下落する場面がもあったが、一時的だった。その後に発表されたRBA議事録では「金融状況の正常化に向けて一段の措置を取る必要があるとの認識で一致」とした上で「インフレ率が目標水準まで戻るように必要な措置を取ることに取り組む」とした。

24日
ロウRBA総裁はインフレ対応に向け、次回7月の会合で25bpもしくは50bpの追加利上げを行う見通しだと改めて表明。また豪経済については「リセッション(景気後退)に陥るとは思っていない」との見解を示した。

28日
中国は、新型コロナウイルスの流行に伴い海外からの入国者に義務付けている隔離期間を短縮すると発表。中国の景気減速懸念が和らぎ、アジア株が上昇する中、豪ドル/円を中心に円売りが優勢となった。

29日
豪5月小売売上高は342億豪ドルと過去最高を記録。前月比では+0.9%と市場予想(+0.4%)を上回る伸びとなった。インフレ高進による価格の上昇が売上高を押し上げた面もあった模様。

30日
中国6月製造業PMIは50.2と予想(50.5)を下回ったものの、前月(49.6)から上昇し、4カ月ぶりに景況改善・悪化の分岐点となる50を上回った。非製造業PMIは54.7と予想(50.5)を上回る伸びとなり約1年ぶりの高水準となった。ロックダウン(都市封鎖)の制限が緩和され、中国経済が改善の兆しを示す結果となった。

6月の各市場

6月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 7月の見通し

7月も豪州(豪ドル)の経済面と金利面の優位性は揺らがないだろう。豪州経済については、資源高を追い風に輸出が好調で貿易黒字は4月に100億豪ドルを再び突破した。ウクライナ戦争の長期化が見込まれる中で資源価格が大幅に値下がりする公算は小さく、輸出企業の豪ドル買いフローが相場を下支えする展開は当面続きそうだ。また、6月29日に発表された豪5月小売売上高は予想以上に伸びており、インフレが個人消費を下押す流れには至っていない。

そうした中、豪中銀(RBA)はインフレの高止まりを背景に利上げを継続すると見られ、政策金利は7月5日の会合で1.35%へ50bp(0.50%ポイント)引き上げられる見通しだ。貿易赤字が定着している上に、政策金利が-0.10%にとどまる日本(円)に対して豪ドルが下落する展開にはなりにくいだろう。仮に豪ドル安・円高に振れるとすれば、世界景気のリセッション(景気後退)入りが明確になり、投資家心理が極端に悪化するケースに限られそうだ。現時点で市場が総悲観に傾く確率は高くないと見ているが、6月後半に再浮上したリセッションを巡る懸念がどれほど尾を引くか、7月の豪ドル/円相場のカギになると言えるだろう。

(予想レンジ:89.500~97.000円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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