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FX/為替 月間見通し「BOEの利上げへの期待と英政治に対する懸念の綱引きになる可能性。世界リセッション懸念は杞憂か実現か」ポンド/円 外為どっとコム総研 House View 2022年7月

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のポンド/円ポジション動向
・7月の英国注目イベント
・ポンド/円 7月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円6月の推移

6月のポンド/円相場は159.980~168.724円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは1.9%上昇した(ポンド高・円安)。

上旬は英中銀(BOE)の利上げ観測と、日銀の緩和継続観測を背景にポンド高・円安が進み、8日には4月高値を上抜けて168円台へと上昇。翌9日には2016年2月以来の168.72円前後まで上伸した。しかしその後は、英国のスタグフレーション(不況下の物価高)を巡る懸念が強まりポンドは失速。欧州連合(EU)離脱合意の一部である「北アイルランド議定書」やスコットランドの独立運動を巡る不透明感もポンドの重しとなった。円が全面的に下落したことで167円台へと反発する場面もあったが、対ドルでのポンド安が重しとなり下旬にかけて伸び悩んだ。なお、ポンドの対ドル相場は月間の終値ベースで約3.4%下落した。一時は、約2年3カ月ぶりに1ポンド=1.20ドルを割り込む場面もあった。

ポンド/円チャート

ポンド/円四本値

出所:外為どっとコム

6日
英保守党議員委員会は「コロナ禍でのパーティを巡り本日夜にジョンソン首相の信任投票を行う」と発表。信任が濃厚な投票によって政治的混乱がようやく落ち着くとの見方から、ポンドは買いが優勢となった。なお、投票の結果は211対148でジョンソン首相の保守党党首としての続投が決まった。

13日
英4月国内総生産(GDP)は前月比-0.3%と予想(+0.1%)に反して減少した。英4月鉱工業生産も前月比-0.6%と予想(+0.3%)に反して落ち込んだ。英4月貿易収支は208.93億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(200.00億ポンド)を超えて膨らんだ。またこの日、英政府はEUと調印した離脱合意の一部である北アイルランド議定書を一方的に書き換えることを可能にする法案を公表した。仮に同法案が成立すればEUとの対立が強まるおそれがあるとの見方からポンドは軟化した。

14日
英5月雇用統計は、失業率が4.0%に低下し、失業保険申請件数は1.97万件減と減少幅が縮小した(前回4.1%、6.55万件減)。2-4月の国際労働機関(ILO)基準失業率は3.8%と予想(3.6%)を上回った。2-4月の週平均賃金は前年比+6.8%と予想(+7.4%)を下回る結果となった。また、この日は英国のスコットランド自治政府のスタージョン首相が、独立の是非を問う住民投票の再実施に向けて運動を本格化させた。自治政府は独立した場合の恩恵を分析した報告書を公表した。

16日
BOEは予想通りに政策金利を1.00%から1.25%に引き上げた。5会合連続の利上げにより、政策金利は2009年以来の高水準となった。英金融政策委員会(MPC)議事録では、メンバー9人のうち6人が25bp(0.25%ポイント)の利上げを支持、3人が50bpの利上げを支持していたことが分かった。また、「必要であればインフレに対して力強く対応する」と表明した。利上げ幅が予想通りにとどまったことからポンドは一時下落する場面があったが、BOEの追加利上げに前向きな姿勢を受けて持ち直した。

22日
英5月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.1%と予想通りに約40年ぶりの高水準へと上昇が加速した。発表直後のポンドの反応は限定的だったが、景気後退への懸念から英長期金利が大幅に低下するとポンド売りが強まった。

23日
英6月製造業PMI・速報値は53.4と予想(53.6)を下回ったものの、同サービス業PMI・速報値は53.4と予想(52.9)を上回った。スタグフレーションを巡る懸念で下落していたポンドはPMIの発表後に下げ渋った。

24日
英5月小売売上高は前月比-0.5%(予想-0.7%)、自動車燃料を除く売上高は前月比-0.7%(予想-0.9%)となった。いずれも予想に比べ、落ち込みは小さかったものの、記録的な高インフレが個人消費の重荷になっていることが示された。

29日
ベイリーBOE総裁は欧州中銀(ECB)主催の年次フォーラムで「インフレを低下させることが課題」として「インフレの持続性が高まれば、より力強く行動する必要がある」と述べて金融引き締めを継続する姿勢を改めて示した。

6月の各市場

日経平均、FTSE100

英2・10年債利回り

6月のポンド/円ポジション動向

ポンド/円6月ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月の英国注目イベント

7月英国注目イベント

ポンド/円7月の見通し

 英中銀(BOE)の利上げ継続スタンスは7月もポンド相場を一定の力で支えそうだ。日銀の緩和維持スタンスを踏まえれば、対円ではよりポンド高が進みやすい環境と言えるかもしれない。ただ、英国のインフレ高進による景気下押し懸念と政治リスクの高まりはポンドの下押し要因になり得るため注意が必要だろう。経済面では、20日に発表される英6月消費者物価指数(CPI)など一連の物価統計や22日に発表される英6月小売売上高や英7月購買担当者景気指数(PMI)などの景気関連指標の結果が注目されよう。市場は英国がスタグフレーション(不況下の物価高)に陥るリスクを警戒している。インフレ高進かつ景気減速を示すデータが目立てばポンドの下押しにつながる可能性がある。

政治面では、「北アイルランド議定書」を巡る欧州連合(EU)との確執やジョンソン英首相の求心力低下がリスク要因だ。英国がEUから離脱した際に取り交わした協定の一部である「北アイルランド議定書」を巡っては、英政府がこれを一方的に破棄することが可能となる法案を議会に提出した。EU側はこれに反発する形で、英国が議定書の大部分を履行していないとして「法的措置」を開始したと発表している。また、ジョンソン英首相の不信任を巡り6月に行われた議員投票は否決(信任)されたが、信任票の割合は58%に過ぎなかった。6月に行われた2議席の下院補欠選挙ではジョンソン首相率いる与党・保守党がいずれも敗れており、与党内からも首相の責任を問う声が挙がっている。保守党内で「ジョンソン降ろし」の機運が高まればポンドに下落圧力がかかる公算が大きい。7月のポンド相場は、BOEの利上げへの期待と英政治に対する懸念の綱引きになる可能性があり、不安定な動きとなりそうだ。
(予想レンジ:159.000~168.000円)

 

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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