“ドル・円相場上昇に変化の兆し?”

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ドル・円相場の上昇は止まらず、先週ついに1998年9月以来、24年ぶりの高値となる137.00を示現した。

下はドル・円相場が115円を中心とした狭いレンジから抜け出した今年3月からの週足チャートを表しているが、見事に9週連続で赤い陽線(終値が始値よりも高い。)を表した後3週連続で青い陰線(終値が始値よりも低い。)を示し、再び5週連続で陽線を示していたがここ3週間はローソクの実体(胴の部分で陰線の場合は上端が始値、下端が終値、陽線の場合は逆に上端が終値、下端が始値を表している。)が小さくなりつつあり、明らかにその上昇パターンに変化が見られる。

それともう一つ、ドル・円相場と深い相関関係にある米国10年債利回りは5月に3.5%の大台を再び試した後に下落傾向にあり、ドル・円相場の上昇には違和感が有るのだ。

下は今年に入ってからのドル・円相場の動き(黒いローソク足)と米国10年債利回りの動き(赤い線)を表しているが、ここ数週間両者の相関が崩れている様に見えなくもない。

一見すると赤い線の動き(10年債利回りの下落)に対して黒いローソクの動き(ドル・円相場の動き)が追い付いていない。

今月26日~27日の予定で開催されるFOMC.において6月に引き続き0.75%の利上げが予定されているにも拘わらず、何故10年債を含む米国長期債券の利回りは下がるのであろうか?

これは先週のレポートでも指摘した様に米国経済に対する先行き懸念の台頭が挙げられる。

通常、債券市場での相場は自由に取り引きされて相場が決まるべきで、リスク・オンとなれば安全資産である米国債券は売られて金利は上がる。
逆に現在の様に米国経済に対する先行き懸念が台頭してリスク・オフとなれば安全資産である米国債券は買われて金利は下がる。
市場の自然で当然のメカニズムが働いているのだ。

何処かの中央銀行がイールド・カーブ・コントロール政策と称して先物債券市場の価格(利回り)を抑えると言うのはおかしな話である。
まあその内その付けを払わされることとなろうが、それは塾長の知った事ではない。

ではその自由に取り引きされて相場(利回り)が決まる米国10年債利回りの現水準(金曜日の終値ベースで2.889%)は妥当なのか?

それともFRB.の利上げによる短期金利の上昇と共に再び3.5%を目指すのか?


もしそうであればドル・円相場は再び137円を越え、何れ140円の大台を試すであろう。

或いは債券買いが続いて米国10年債利回りが2.5%を目指す様であれば130円を試す様な展開も有り得る。

今週は金曜日に6月の米国雇用統計が発表されるが、非農業部門雇用者数は前月の+49万人から+24万人へと大きく減少すると見込まれる。
先週発表された6月の米個人消費支出(PCE.)や米供給管理協会(ISM.)の6月の製造業景気指数が市場予想を下回り、FRB.の積極的な金融引き締めで景気が冷え込みつつあることが改めて確認されており、6月の米国雇用統計の結果により更なるリスク・オフの動きとなる可能性も有る。

今週はドル・円相場の下値トライのリスクにも留意したい。

今週のテクニカル分析の見立ては先週と同じくレンジ取引を想定しながら、下サイドの134.50のブレークに注意。

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