パウエルFRB議長が昨日、非常に興味深い発言をしています。FRBの金融政策は行きすぎることは有り得るかという質問に対して、「イエス」とした上で、それよりも大きなリスクはインフレを沈静化するための行動が足りなくなることである、と発言しています。どういう意味かと言いますと、インフレを抑えるために利上げをしすぎて、景気が落ち込んでしまうリスクより、十分に金融引き締めをしないことで、インフレが長期化してしまうことの方が問題であると言っているわけです。つまり、インフレ抑制を最重要視して、まだまだ金利上げますよ、と言っているわけです。
更に、パウエル議長は最近のドル高に対して、「ドル高はディスインフレ的である」と発言しました。これは、ドル高はインフレを抑える効果があり、アメリカにとっては、ドル高は歓迎すべきことであると暗に言っています。アメリカが理解してくれない限り、日本政府はドル売り円買いの介入は出来ません。インフレ抑制に効果のあるドル高を是正するためのドル売り円買いの介入を日本が実施するのはかなり困難です。
また、パウエル議長は「ドル高に我々は責任を持たない」とも発言しています。これは、日銀と全く同じスタンスです。為替相場は政府の所管であり、中央銀行は関係ない、そして、金融政策は物価のコントロールのために行なっているものであり、為替相場のために行なっているものではないということです。 ドル/円の上昇を止める方法はなかなかありません。
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【インタビュー】
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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