FX/為替見通し「米ドル/円買い目線維持。日銀の『方向転換』報道には注意」週刊為替レポート　ハロンズ　ドル/円　2022年6月25日

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執筆：外為どっとコム総合研究所　小野　直人

米ドル/円買い目線維持。日銀の『方向転換』報道には注意

6月20日週の米ドル/円は24年ぶりの高値から上げ幅削るも、高値圏で一進一退

主要国と日本の金融政策の格差を背景とした円売りフローから、24年ぶりとなる136.710円までドル高・円安が進みました。黒田日銀総裁や岸田首相からは「急速な円安は好ましくない」旨の発言があったものの、円買い介入が切迫している様子はうかがえませんでした。その後、世界経済に対する不透明感から、134.265円まで急落する場面はありましたが、押し目を拾う投資家も多く直ちに135.000円付近へ戻すと、同水準でもみ合う格好になりました。

日銀短観への警戒も忘れずに

来週は、米・欧・英の各中銀総裁が、ECB主催の討論会に出席するとあって、同イベントが先ずは注目されます。もっとも、これら中銀総裁が急にタカ派姿勢を変化させるだけの論拠はほとんどないため、足もと市場に広がっているスタグフレーション不安は払しょくされないでしょう。しかも、6月30日に発表される米5月個人消費（PCE）デフレーターが前月比では+0.5％へ再び加速するとみられ、インフレ警戒心はなくなりそうもありません。こうした中、為替のオプション市場では、将来のドル安・円高を警戒する方向にポジションを構築する動きが進んでいることもあり、米ドル/円の上値は抑制されやすい状況が続きそうです。

また、日銀短観への警戒も怠れません。コロナの緊急事態宣言が解除されたことで企業の景況感は改善が見込まれますが、需給・在庫・価格判断で足元の円安や物価上昇への警戒心が広がっている様子が窺えれば、日銀の方針転換を巡る思惑を想起させる危険もあります。もっとも、既に日本の国債発行残高のほぼ50％を保有する状況下で大きな政策転換は、日銀のバランスシートを悪化させて円の信認低下を招く恐れもあり、日銀も大きな変更はできません。こうした点を考えると、日米の絶対的な金利差は広いままとなるため、短期的な円買いが一巡すれば、中長期で米ドル/円は上値を試す格好になるとみられます。焦らずに下値を見極めて買いを検討する局面と考えます。

下値支持線でのサポート力次第

5月27日安値126.676円と6月16日安値131.498円を結ぶ下値支持線（133.677円 6月24時点)で、先ずはきっちりサポートされるかどうかが目先の強弱判断の分かれ目になりそうです。同ラインを割り込んだ場合、日足一目均衡表・基準線が推移する131.532円付近までの下げが想定されそうです。逆に、下値支持線で下げ渋るようなら、136円台回復に向けて下値を切り上げて行きそうです。

【ドル/円チャート　日足】

USD/JPYチャート日足

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：131.500-136.500

6/27週のイベント

6/27(月) 21:30 米国 5月耐久財受注
6/28(火) －ドイツＧ７首脳会議、閉幕（26－28日、ドイツ・エルマウ）
6/28(火) 22:00 米国 4月住宅価格指数
6/28(火) 23:00 米国 6月消費者信頼感指数（コンファレンス・ボード）
6/29(水) 21:30 米国 1-3月期四半期実質国内総生産（ＧＤＰ、確定値）
6/29(水) 22:30 ユーロ　ラガルドＥＣＢ総裁、パウエル米ＦＲＢ議長、ベイリー英BOE総裁、パネル討論会参加
6/30(木) 08:50 日本 5月鉱工業生産・速報値
6/30(木) 21:30 米国 5月個人消費支出（ＰＣＥコア・デフレーター、食品・エネルギー除く）
6/30(木) 21:30 米国新規失業保険申請件数
7/01(金) 08:30 日本 6月東京都区部消費者物価指数（ＣＰＩ、生鮮食料品除く）
7/01(金) 08:30 日本 5月失業率
7/01(金) 08:50 日本 4-6月期日銀短観
7/01(金) 22:45 米国 6月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
7/01(金) 23:00 米国 6月ＩＳＭ製造業景況指数