目次
▼02月14日週のドル/円は114円台へ下落
▼Xデーは3月15日?
▼ファンダメンタルズは二の次だが
▼114円前半を走るサポートラインの支持線確認へ
▼02/19 週のイベント
▼一言コメント
執筆日時 2022年02月18日 14時00分
切り下がる一目雲上限に沿って、114円前半の支持線確認か!
02月14日週のドル/円は114円台へ下落
ロシア軍の一部部隊が帰還したとの報道や、予想を大幅に上回る米生産者物価指数から、ドル/円は一時115.872円レベルまで上昇幅を広げました。しかし、ウクライナ関連のニュースの真偽が不明確だったため、その後はじりじりと上昇幅を削る格好になりました。下落過程で発表された強い米小売売上高で切り返す局面もありましたが、東西の対立激化ムードを払い除けるだけのエネルギーはなく直ちに下値模索の動きに回帰。米FOMC議事録で3月50bpの利上げへのヒントもみられなかったため、114.787円レベル(執筆時点)まで下げ幅を広げました。
Xデーは3月15日?
米国・ロシアの両首脳会談など継続して協議は行われていますが、進展があるのかはっきりしません。こうした状況下、市場ではロシアのウクライナ侵攻がいつになるのか注目を集めています。2014年に起きたロシアのクリミア併合を振り返ると、ソチのオリンピック・パラリンピック(2月7-3月16日)の2日後の3月18日進行でした。今回も、前例に従うとするなら3月13日の北京パラリンピック閉会後の3月15日あたりがXデーとの見方を示す専門家がいる一方、今回は自国開催の祭典ではないためオリンピックとパラリンピックの間と予見する識者いるなど見解は分かれています。
米ロ外務相会談が来週後半に開催される予定で、ひとまず目先の戦火のリスクは減少した感じはありますが、火種は完全に消えておらず市場の警戒心は高いままでしょう。引き続きウクライナ情勢はドル/円の上値を圧迫しそうです。
ファンダメンタルズは二の次だが
これは余談ですが、万が一米ロが交戦することになれば、米FOMCの緊急会合開催もあり得そうですし、その場合、金融市場の状況次第では引き締めではなく一時的な資金供給といった選択肢も浮上しそうで、これまでの前提通りに金融引き締めが進展するか分かりません。また、ユーロが急落するようなら、主要国による協調介入もあるかもしれません。少しの間、米国の継続的引き締めといった先入観にとらわれない方がよいように感じます。
話を戻しますが、こうした政情不安を目前にするとファンダメンタルズは隅に追いやられてしまいそうですが、来週は米金融当局がインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)が発表されるためこちらの結果にも気は抜けません。インフレ傾向が鮮明となるなかで、PCEデフレーターが市場予想を上回れば金融当局のタカ派化が進む危険はあります。ドル/円はやや下目線ながらも上下両にらみで、大きな値幅を狙わず少額でトレンドに乗って回転を利かせるところかもしれません。
114円前半を走るサポートラインの支持線確認へ
日足一目均衡表では、辛うじて三役好転を保っていますが、ローソク足が同転換線を割れて基準線の下抜けトライ中とあって、地合いは少しずつ悪化している様子です。目先の雲の厚みも十分でないため、今後114.60-70円付近へ低下する同雲上限に連動して上値を切り下げていきそうです。同ラインを割り込めば、昨年12月3日安値(112.561円)を起点とするサポートラインが走る114.00-05円を試す展開も想定できそうです。
また、個人投資家に人気があるオシレーター系指標の9日RCI(順位相関指数)は、まだ-65付近で低下中とあって、こちらも、もう一段の下押しリスクを示唆しています。ドル/円は2週間ぶりの安値レベルまで下がっていますが、買い出動はRCIの反発をみてからでも遅くはないように感じます。
【ドル円チャート 日足(上)、9日RCI(順位相関指数、下)】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:113.80-116.30
02/19週のイベント:
ブリンケン米国務長官とラブロフ露外相、ウクライナ情勢に関して会談
02/22(火) 23:00 米国 10-12月 期四半期住宅価格指数
02/22(火) 23:45 米国 2月 製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
02/22(火) 23:45 米国 2月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
02/22(火) 23:45 米国 2月 総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)
02/22(火) 24:00 米国 2月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
02/24(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
02/24(木) 22:30 米国 10-12月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
02/24(木) 24:00 米国 1月 新築住宅販売件数
02/25(金) 08:30 日本 2月 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
02/25(金) 22:30 米国 1月 個人所得
02/25(金) 22:30 米国 1月 個人消費支出(PCE)
02/25(金) 22:30 米国 1月 耐久財受注
02/25(金) 24:00 米国 2月 ミシガン大学消費者態度指数・確報値
(執筆:小野 直人)
一言コメント:
17日、国際決済銀行(BIS)は円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が1月は67.55と、1972年6月以来、約50年ぶりの円安に落ち込んだと発表しました。今はウクライナなどの外部環境に目を奪われ為替操作国を巡る話題は盛り上がりそうにありませんが、米国財務省が半期に一度公表する為替政策報告書の公表が近づく4月ごろには、この話題が蒸し返される危険はありそうです。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。