▼11月の急落から急反発
▼経済のファンダメンタルズの確認
▼金融政策の引き締め姿勢は継続か?
▼メキシコペソは高値圏か?
11月の急落から急反発
11月はFOMCがビックイベントで、ここを通過した後にメキシコペソは11月26日には22.15ペソ、5.14円とペソは安値まで下落しました。11月FOMCでテーパリングのペース加速が決定され、金利の先行き見通しでも2022年に3回、2023年に3回の利上げ予想が出で予想よりもタカ派的な姿勢をうけて新興国通貨は下落を開始しました。
ただ11月26日の安値から世界的に株価が反発、新興市場も落ち着き、円安とリスク選好の流れになっています。
経済のファンダメンタルズの確認
米国の金融が緩和から中立や引き締めに向かうときには新興国通貨は売られる傾向があります。もちろんすべての新興国通貨が同じように売られるわけではなく、その国の経済状況や金融政策によって動きはまちまちです。
メキシコ経済は2021年前半には順調に回復しましたが、後半に息切れしました。これはロペスオブラドール政権がコロナ対策に大規模な予算をつけなかったことも原因になっています。大規模な財政出動がなかったことで財政の健全性にとってはプラスでしたが、2022年に向けても経済成長の足かせとなりそうです。
メキシコの消費も勢いが落ちており消費が経済のリード役になるのは難しい状況です。
金融政策の引き締め姿勢は継続か?
2020年の新型コロナウイルス感染拡大でメキシコ中銀は7%台の政策金利を4%まで引き下げて経済をサポートしました。しかし6月からは引き締め姿勢に転じました。
12月16日の会合では政策金利を0.5%引き上げて5.5%としました。5回連続の利上げで引き上げ幅は1.5%となりました。
5人のうち4人が0.5%の引き上げ、1人が0.25%の引き上げを主張しました。メキシコの11月の消費者物価指数は前年同月比7.37%となり、インフレターゲットの上限の4%を9か月連続で上回っています。
ここまでメキシコ中銀はインフレファイターぶりを発揮していますが、新総裁に就任するビクトリア・ロドリゲス氏の手腕は未知数です。
メキシコペソが比較的堅調に推移しているのは、中銀のタカ派的な姿勢も助けになっています。
前回も書きましたが、ロドリゲス氏は財政の専門家としてメキシコ市長時代のロペスオブラドール氏に仕え、大統領になった後にはメキシコ財務省に財務副大臣として勤務していました。金融政策に関しての能力が未知数ということと大統領との結びつきが中銀の独立性という意味で不安材料になっています。
新総裁の手腕に注目したいと思います。
メキシコペソは高値圏か?
ドル/メキシコペソは11月26日に22.155ペソまで上昇後に、24日には20.581ペソまで下落しています。20.40~60のゾーンに一目均衡表の雲が位置し、このレベルが短期的なサポートレベルになり、ここが維持できれば20.40~21.35ペソのレンジを予想します。このレベルを下抜けすれば10月の安値20.12ペソ付近への下落を予想します。
ペソ/円は11月26日に5.105円まで下落しましたが、12月24日に5.555円まで上昇しています。下落前の11月8日の高値5.584円、10月20日の高値5.665円付近が高値として意識されます。
5.45円付近(25日、75日移動平均線が位置しています)をサポートできれば5.58,5.66円を目指す動きを予想します。しかし5.45円を下抜けする場合は上昇前の押し目である5.34円付近への下落を予想します。
メキシコペソ 特設サイト:
メキシコペソ(MXN)の特徴と今後の見通し│初心者にもわかるFX投資 | 外為どっとコムのFX
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。