相場は難しい。だからこそ、“面”で捉える。
30年も為替の第一線でやってきたが、最安値・最高値を見極めるのは非常に困難である。
予想していたレートに達しないケースもあれば、思った以上に超えてしまうケースもある。そんな時、私が選ぶ手法は“点”ではなく“面”で捉えるトレードだ。
外為どっとコムの『連続注文』は、相場が急激に動く局面などで想定レンジの上限、下限付近で新規のポジションを構築するときに威力を発揮できる優れた機能である。
例えば、指標発表時などで急激な動きでヒゲをつけるような局面というのは良くある。
そんな時、この『連続注文』を利用すれば、買いたい、売りたいと想定される範囲で素早くオーダーを入れることが可能になる。
ピンポイントでオーダーを入れた場合、せっかく想定どおりにその付近までレートが動いても、タッチの差でオーダーが約定されずに悔しい思いをすることは良くあるのではないだろうか?
もし、面のトレードで安値高値の想定範囲を10~50pipsほどに(これはケースバイケースであるが)想定しておいて、注文を仕掛ければ取りこぼしを防げる。 この手法をマスターすることで、「得られるはずの利益が得られない」「もっと利益を得られたはずだ」、こんな悩みから解放されるだろう。
この機会に、“点”のトレードから、“面”のトレードへ、ステップアップしてはいかがだろうか。
“面”で捉えるトレードが有効な事例
ケース① 予想した底値よりも高いレートで反転したケース(新規IFD買注文)
現在レートは120円。現在の相場見通しでは底値が117円と予想したが、予想通りには行かず、118円で反転して120円まで上昇した。
●点のトレード
117円に新規指値注文を発注したが、予想よりも高い118円で反転したため、注文は約定せずポジションを保有することができなかった。
その結果、反転するという予想は当たっていたのに、利益を得る機会を逃してしまった。
●面のトレード
117円で反転すると予想しているが、相場は思惑通りにはいかない。そこで、“面”のトレードとなるように、119円、118円、117円に指値注文を発注。
その結果、119円、118円の注文は約定し、120円まで反転したことで利益を得ることができた。
ケース② 予想した底値よりも下落し、そこから反転したケース(新規IFD買注文)
現在レートは120円。現在の相場見通しでは底値が117円と予想したが、予想通りには 行かず、115円まで下落した後に反転して120円まで上昇した。
●点のトレード
117円に新規指値注文を発注したため、注文は約定してポジションを保有することができた。
しかし、予想以上に下落した本来の底値でポジションを保有することはできていないため、 本来もっと利益を得られていたはずの機会を逃してしまった。
●面のトレード
117円で反転すると予想しているが、相場は思惑通りにはいかない。そこで、“面”のトレードとなるように、117円、116円、115円に指値注文を発注。
その結果、全ての注文は約定し、底値でもポジションを保有することができ、120円まで反転したことでより多くの利益を得ることができた。
まとめ①
このような“面”のトレードを行うことで、利益を得る機会損失を防ぐことができる。 しかし、相場はどうなるかは誰にもわからない。 そこで、リスクをしっかりと管理するためにも、 IFO注文を使った“面”のトレードを極めよう。
リスク管理をすることによって、“面”のトレードを操る
IFO注文を使った面のトレードを行えば、利益と損失の両方をしっかりと管理することができる。自分の予想が外れることを想定して、“面”を広げ、リスクも管理することで、“面”のトレードを操ることができる。
予想した底値よりも高いレートで反転するかもしれない、もしくは、予想した底値よりも下落して反転するかもしれない。(新規IFO買注文)
現在レートは120円。現在の相場見通しでは底値が117円と予想したが、予想通りには 行かず、115円まで下落した後に反転して120円まで上昇した。
●面のトレード
117円で反転すると予想しているが、相場は思惑通りにはいかない。そこで、“面”のトレードとなるように、予想している117円を挟むように、予想よりも高い119円と118円、予想した底値の117円、予想よりも低い116円、115円に指値注文を発注。
また、リスク管理のために、それぞれ113円にストップ注文を発注。 その結果、全ての注文は約定し、底値でもポジションを保有することができ、120円まで反転したことでより多くの利益を得ることができた。
仮にこのとき思惑が外れ相場がそのまま下落し続けてしまったとしても、113円にストップ注文を出していたおかげで、結果的に損失を一定範囲に限定することができた。
“面”のトレードは、思惑通り相場が反転した際には効率的なリターンが期待できる一方、思惑が外れた場合には思わぬ損失となるケースもあるため、こうしたIFO注文(ストップ注文)によるリスク管理はどうしても欠かせない。
決済注文にも活用することで、“面”のトレードを極める
リスク管理もしっかりと行い、“面”のトレードを新規注文だけではなく、決済注文にも活用することで、遂に“面”のトレードを極めることができる。
予想した底値よりも高いレートで反転するかもしれない、もしくは、予想した底値よりも下落して反転するかもしれない。(新規IFO買注文)
現在レートは120円。現在の相場見通しでは底値が117円と予想したが、予想通りには 行かず、115円まで下落した後に反転して119円まで上昇した。
●面のトレード
117円で反転すると予想しているが、相場は思惑通りにはいかない。そこで、“面”のトレードとなるように、予想している117円を挟むように、予想よりも高い119円と118円、予想した底値の117円、予想よりも低い116円、115円に指値注文を発注。
また、決済注文も“面”のトレードとなるよう、120円、119円、118円、117円、116円に発注。 さらには、リスク管理のために、それぞれ113円にストップ注文を発注。
その結果、全ての注文は約定し、底値でもポジションを保有することができたが、120円までは反転しなかった。 しかし、決済注文でも“面”のトレードを行ったことで、119円までの決済注文は約定したことで、利益を得ることができた。
まとめ②
以上が、“面”のトレードを極めるために必要な手法である。
何が起こるかわからない相場を相手に、最大限の利益を得るためにも、是非皆様に活用してもらいたい。
しかし、自分の相場見通しがあるなかで、“面”のトレードを極めたとしても、
それ以上のことが起きることは大いに考えられる。
そのためにも、リスク管理をしっかり行うことは当然であり、
どんなことが起きても冷静にトレードできることが最も重要であると最後に伝えたい。
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。