総括
FX「今年は行ってこい。6月にピークをつけじり安。今週はCPI」南アランド見通し
通貨11位、株価3位
予想レンジ 南アランド円 6.5-7.5
(ポイント)
*今年のランド相場は6月にピークをつけたが、年末には年初の相場に戻ってきた
*警戒レベル引き上げかを協議
*3Q・GDPは減速
*3Q経常収支は黒字減少
*今週は消費者物価などの発表がある
*オミクロン株の感染者数が急増している
*感染警戒レベルはまだ1である
*計画停電は実施されている
*白人が所有する土地を無補償での収用策は否決
*多くの国が南アからの渡航制限を課したことに大統領が批判した
*与党ANCが統一地方選挙で支持率が50%を割った
*成長率見通しは21年が5.2%、22年が1.7%と弱い
*中国景気指標に左右される南ア経済
(今年は行ってこい その要因は)
今年は7円前半で始まり、6月に高値8.167をつけたが、その後ジリ安となり7円前半へ戻ってきた。上昇は、コロナ禍からの景気回復によるリスク選好で南アランドが買われたものであったが、年後半は、貿易や経済を大きく依存している中国経済の減速と資源価格の下落、与党ANCの支持率の低下、ズマ前大統領逮捕に関わる暴動発生で経済が停滞、最近のオミクロン感染者数の激増で弱含んでいる。南アの3Q・GDPも減速した。ランドが強含むには中国経済が回復軌道にのって資源価格の上昇があることだが、まだ時間がかかりそうだ。
(3Q・GDPは5四半期ぶりマイナス成長 暴動が下押し)
3Q・GDPは、前期比1.5%減少した。7月に起きたズマ前大統領支持者の過激な抗議活動の影響が農業、製造業、貿易に出た。
予想は1.2%減。セクター別では、農業が前期比13.6%減、貿易が5.5%減、製造業は4.2%減、鉱業が0.9%減、建設は0.5%減。金融は1.2%増、個人サービスは0.5%増だった。GDPは前年比で2.9%増加。予想は3.5%増だった。
(警戒レベル引き上げかを協議)
南アフリカはオミクロン感染者急増につき、今週、警戒レベルを1から2に引き上げるか協議するようだ。
(今週は消費者物価に注目)
今週は4Q消費者信頼感指数、10月景気先行指数、11月消費者物価、生産者物価の発表がある。消費者物価の予想は前年比5.4%上昇の予想だが高インフレ低成長では先行きが危ぶまれる。
(コロナ感染者急増)
12月10日報道ではオミクロン株による症状は軽いようだが、感染者は激増している。
11月初めは数百人だったが、12月9日は19842人まで激増している
(3Q経常収支は黒字減少)
3Q経常収支は2264億ランドの黒字で、前期から黒字幅が縮小した。
経常黒字は対国内総生産(GDP)比で3.6%。2Q改定値の5.1%から低下した。
中銀は声明で、3Qは材とサービスのランド建て輸入価格が輸出価格より大幅に上昇し、南アの貿易環境が悪化したと分析した。
(10月製造業生産)
10月の製造業生産は、前年同月比8.9%減少した。前月比では5.9%減、8-10月は前の3カ月から0.9%増加した。
10月の鉱業生産は前年同月比2.1%増加した。
(渡航禁止令の影響)
オミクロン株の発見と世界各国の南ア渡航禁止令の迅速な実施がありランド売りに影響した。渡航禁止令は、輸出だけでなく、国の観光にも深刻な影響を与える。
ランドは通常、11月から翌年の2月まで、外国人観光客のランド購入の増加がるが今年はそれがなくなりそうだ。
テクニカル分析(ランド/円)
一時ボリバン中位へ戻すも先週後半反落
日足、一時ボリバン中位へ戻すも先週後半反落。12月3日-12月10日の上昇ラインがサポート。12月9日-10日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く。
週足、ボリバン2σ下限から反発も先週は上ヒゲが長い。11月29日週-12月6日週の上昇ラインがサポート。11月15日週-12月6日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、10月の長い上ヒゲから弱い。21年10月-11月の下降ラインが上値抵抗。21年1月-11の上昇ラインがサポート。
年足、18年-20年の下降ラインを上抜くが下抜き返す。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。今月陰転。
喜望峰
白人が所有する土地を無補償での収用策は否決
南ア下院は、少数派の白人が所有する土地を無補償で収用することを可能とする憲法改正案を否決した。改正に必要な3分の2以上の議員の賛成を得られなかった。南アでは20世紀、アパルトヘイト政策に基づき、白人が長期にわたって優先的に土地を取得。故マンデラ氏が同国初の黒人大統領に就任した1994年以降も、土地の再分配は進んでいない。
私有地の4分の3は人口の10%に満たない白人が所有。経済的にも黒人と白人との間で深刻な格差が続いている。
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。