総括
最強通貨へ復活。外部要因での反発に国内要因も改善でさらに上昇
通貨首位、株価9位
予想レンジ 南アランド円 7.4-7.9
(ポイント)
*ランドは最強通貨へ復活
*8月の製造業PMIは大幅上昇
*8月貿易黒字縮小
*失業率、2Qは34.4% 過去最悪
*株価はやや低迷
*南アでコロナ新株発見
*上昇の要因はテクニカルとパウエルFRB議長発言
*金融引き締めに慎重なFRB議長発言で一斉にリスク選好の流れに
*貿易依存度の高い中国株価が持ち直し
*新財務相の手腕は?
*コロナ警戒レベルを3に引き下げ
*政策金利は3.5%で据え置き
*対円8.15-20の売りも下落を誘った
*貿易・経常収支の黒字が南アランドを支える
*弱点は雇用と停電
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結、これを新財務相が受け継ぐかどうか
(テクニカルと外部要因での反発に国内要因も改善で上昇)
テクニカル要因での反発、パウエル議長のハト派発言でのリスク選好の流れとなり南アランド円相場は8連騰した。一端陰線を入れたが先週末再び反発した。テクニカルと外部要因での反発に国内要因が加わった。8月の製造業PMIは57.9と、前月の43.5から急上昇し、好不況の分かれ目となる50を再び上回った。7月はズマ前大統領の収監を契機に発生した暴動で景気回復が阻害された。7月の暴動で需要と生産の正常化が影響を受けたものの、回復状況は「心強い」とし、特に受注などが堅調だとした。
(今週の注目)
今週は2Q・GDPや黒字を続ける経常収支、企業信頼感などの発表がある。
(8月貿易黒字縮小、輸出減少。アジア向け輸出は増加)
7月の貿易収支は369.6億ランドの黒字となった。6月の454億ランドの黒字、予想の450億ランドの黒字を下回った。2月以来の最少の黒字となった。輸出は前月比11.2%の減少。
欧州向けが26.5%減少、アフリカ向けが5.8%の減少、米国向けが8.6%の減少となった。アジア向けだけが1.9%の増加となった。輸入は0.7%の減少となった。
(失業率、2Qは34.4% 過去最悪)
21年2Qの失業率は34.4%と、1Q32.6%から悪化し、2008年に四半期ベースの労働力調査を開始して以降で、最悪となった。新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた企業が、人員を削減した。2Qの失業者数は782万6000人。求職を諦めた人を含む広義の失業率は44.4%で、1Qの43.2%から悪化した。広義の失業者数は1190万人になる。
2Qは、金融で27万8000人の雇用が削減されたほか、コミュニティー・社会サービスで16万6000人、製造業で8万3000人の雇用が失われた。
南ア経済は、長年にわたって高失業率に苦しんでおり、白人による少数支配体制が終了して30年近く経った現在も、貧困と格差が続いている。
ラマポーザ大統領は、雇用創出を新型コロナウイルス経済対策の柱に据えているが、これまでのところ、成果は出ていない。
(暴動以降は株価が低迷、ランドは回復し最強通貨)
暴動の影響で南アランド円は、8月20日に7.114まで下落したが現在は7.65まで7.5%戻した。一方、南ア株式指数は、同じく8月20日に66011.06まで下落したが、現在は66371.85まで0.55%しか戻していないのが心配だ。ただ株価は年初来では11.72%高。ランドは対円で年初来8.96%高。
テクニカル分析(ランド/円)
連続陽線は8日で止まるも9月3日は再び陽線でボリバン2σ上限へ
日足、連続陽線は8日で止まるも9月3日は再び陽線でボリバン2σ上限へ。8月31日-9月3日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。雲中。
週足、ボリバン2σ下限から反発。2週連続。6月7週-8月30日週の下降ラインが上値抵抗。8月23日週-30日週の上昇ラインがサポート。
月足、8月は3か月ぶり陽線で上昇。下ヒゲも長い。雲の下。20年8月-21年8月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-20年の下降ラインを上抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。20年の下ヒゲも効いている。
喜望峰
WHO 南アの新たなコロナ変異株を注視
WHOは8月31日、南アで5月に検出された新型コロナウイルスの新たな変異株「C.1.2」について、現時点では広く拡散していないとの見解を示した。
査読(ピアレビュー)前の研究によると、「C.1.2」は南アのほとんどの州のほか、アフリカの他の7カ国、欧州、アジア、オセアニアに広がっている。他の変異株にも見られる感染力の高まりや、中和抗体に対する感受性の低下に関連する変異パターンが多く含まれているが、影響などについてはまだ分かっていない。WHOは「現時点では広く拡散しているようにはみえない」と述べた。
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