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「クロス円はマチマチの展開へ」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2021年9月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のポンド/円ポジション動向
・9月の英国注目イベント
・ポンド/円 9月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月の豪ドル/円ポジション動向
・9月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 9月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 8月の推移

8月のポンド/円相場は149.187~153.311円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.2%下落(ポンド安・円高)した。

ロンドンのロックダウン(都市封鎖)解除などを好感してポンド高に振れた前月後半の流れを継いで、上旬は堅調を維持した。ただ、153円台では伸び悩む展開となり、中旬にかけて下落に転じた。中国景気の減速懸念やアフガニスタン情勢の緊張などでリスク回避ムードが強まると19日にはほぼ1カ月ぶりに150円台を割り込んだ。

その後、月末にかけては市場のリスク回避姿勢が緩む中でショートカバーの動きが目立ち、151円台を回復したが月初の152円前後には届かず151.28円前後で8月の取引を終えた。

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出所:外為どっとコム

5日
英中銀(BOE)は予想通りに政策金利(0.10%)と資産買い入れプログラムの規模(8950億ポンド)を据え置いた。議事録では、政策金利の据え置きは全会一致の決定だった一方、資産買い入れプログラムについてはソーンダース委員が減額を主張し、7対1で据え置きを決定した事が明らかになった。

同時に公表した金融政策報告では、インフレ率が従来の予想を上回り年内に4%を超えるとの見通しを示し、物価上昇抑制のためにある時点で「緩やかな引き締め」が必要になるとの認識を示した。また、BOEは将来の金融政策正常化に向けて「出口戦略」の指針を公表。政策金利が0.5%に達した段階で償還金の再投資を停止して保有債の縮小を開始。金利が1.0%に達した段階で保有債の売却を検討するとした。これを受けてポンドは乱高下したが、次第に買いが優勢となった。

12日
英4-6月期国内総生産(GDP)は前期比+4.8%と予想通りの結果となった。コロナ禍にあった前年同期との比較では+22.2%の大幅な伸びを記録した(予想+22.1%)。この他、英6月鉱工業生産は前月比-0.7%と予想(+0.3%)に反して減少。同貿易収支は119.88億ポンドの赤字(予想92.00億ポンドの赤字)だった。

16日
中国の経済指標が景気減速を示唆する弱い内容だった他、前日のアフガニスタンにおける政変などから、市場はリスク回避ムードが支配的となった。安全資産として円とドルが買われる一方、オセアニア通貨や欧州通貨が売られる中、ポンド/円にも下落圧力がかかった。

17日
英7月失業率は5.7%、同新規失業保険申請件数は0.78万件減(前回5.7%、13.61万件減)となった。4-6月のILO失業率は0.1%ポイント低下し4.7%になった(予想4.8%)。また4-6月の週平均賃金は前年比+8.8%と予想(+8.6%)を上回り、過去最大の伸びを記録した。

18日
英7月消費者物価指数は前月比±0.0%、前年比+2.0%と予想(+0.2%、+2.3%)を下回った。一方、英7月生産者物価指数は前月比+0.6%、前年比+4.9%と予想(+0.5%、+4.4%)を上回った。消費者物価指数の鈍化は一時的との見方が強いようで、ポンドは僅かに下落したのち切り返した。

20日
英7月小売売上高は前月比-2.5%と、市場予想(+0.2%)に反して大幅に減少。自動車燃料を除いた売上高も前月比-2.4%(予想+0.1%)であった。これを受けてポンドは売りが優勢となったが下落幅は小さかった。

23日
英8月製造業PMI・速報値は60.1、同サービス業PMI・速報値は55.5と予想(59.5、59.1)に対してマチマチの結果となった。ポンドは反応薄だった。

8月の各市場

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8月のポンド/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月の英国注目イベント

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ポンド/円 9月の見通し

ポンド/円相場は5月に156円台まで上昇したが、その後は上値を切り下げる格好となり、足元では151円台で推移している。この間、13週移動平均線が下向きに転じており、その13週移動平均線が26週移動平均線を下抜ける「ミニ・デッドクロス」がまもなく示現しそうな展開となっている。このまま「ミニ・デッドクロス」が示現すれば、年初来の上げ幅の半値押しにあたる147.77円前後まで下落余地が拡大しそうだ。

ポンドは、年初来で対ドルでの上昇を維持している数少ない通貨のひとつである(他にはカナダドル、台湾ドルなど)。これまでは、英政府が他国に先駆けてウイズ・コロナ政策に舵を切った「アドバンテージ」がポンドを押し上げたと見られる。しかし、ウイズ・コロナに向かう国が増える中、そうした「アドバンテージ」とポンド高は徐々に解消される公算が大きいだろう。

9月のポンド/円相場は上値の重い展開が見込まれる。
(予想レンジ:148.000~153.500円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 8月の推移

8月の豪ドル/円相場は77.891~81.583円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.1%の小幅な下落(豪ドル安・円高)となった。

豪州国内で新型コロナウイルス・デルタ変異株の感染が拡大する中でも豪中銀(RBA)がテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)の方針を維持した事から豪ドルは買いが先行。しかし、中国経済指標の悪化をきっかけに同国の景気減速懸念が広がった他、中東情勢の緊迫化を受けて反落した。豪州最大都市シドニーのロックダウン(都市封鎖)延長が発表された20日には2020年12月以来の安値となる77.89円前後へ下落する場面もあった。

もっとも、下旬は新型コロナウイルスの感染拡大に対する過度な懸念が後退した事や、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が金融政策の正常化を急がない姿勢を示した事から市場心理が改善。月末に向けたポジション調整の動きも相まって豪ドルは下げ幅を縮小した。

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出所:外為どっとコム

3日
RBAは、大方の予想通りに金融政策の現状維持を発表。9月以降に、資産買い入れプログラムを週50億豪ドルから40億豪ドルに減額するテーパリングの方針も維持した。一部には最大都市シドニーのロックダウン延長などの影響を踏まえてテーパリングを先送りするとの見方もあった事から、豪ドルは声明発表後に上昇した。なお、声明では「最近のコロナ感染拡大により回復が妨げられており、国内総生産(GDP)は7-9月期に減少すると予想」としながらも、「これまでの経験に基づくとウイルスの流行が終息すれば経済はすぐに立ち直る」との見解を示した。

16日
中国7月小売売上高は前年比+8.5%(予想+10.9%、前回+12.1%)、同鉱工業生産は前年比+6.4%(予想+7.9%、前回+8.3%)といずれも予想を下回り伸びが鈍化した。中国景気の減速懸念が強まる中で豪ドル売りが強まった。前日には、イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの政権を掌握した事が伝わっており、中東の地政学リスクが意識された事も豪ドルの重しとなった。

17日
RBAは3日に開いた理事会の議事録を公表。「最近の新型コロナウイルスの感染拡大により、回復は中断された」「債券買い入れプログラムは今後の経済状況により引き続き見直される」「短期的な見通しは非常に不確実」「メンバーはテーパリングを遅らせるケースを検討」など、やや慎重な見解が目立った事から豪ドルは下落した。

19日
豪7月雇用統計は、新規雇用者数が0.22万人増と、予想(4.31万人減)に反して小幅に増加し、失業率も4.6%に低下した(予想5.0%、前回4.9%)。豪連邦統計局は、失業率の低下について、ロックダウンの影響で職探しが制限された事が要因だとの見解を示した。これに加えてアジア株がほぼ全面安の様相となった事から、雇用統計を好感した豪ドル買いの動きはごく一時的だった。

20日
豪州最大都市シドニーで、新型コロナ・デルタ変異株の感染状況悪化によるロックダウンが少なくとも9月末まで延長される事になった。感染が最も深刻なシドニー西部の地域には夜間外出禁止令も発令される。日本を含むアジアの株価が軒並み値下がりした事もあって豪ドルは売りが優勢となった。

27日
豪7月小売売上高は前月比-2.7%と、市場予想(-2.5%)以上に低下した。2カ月連続のマイナスで個人消費の低迷が浮き彫りになった。ただ、豪ドル相場にほとんど反応はなかった。その後は、米パウエルFRB議長がジャクソンホール会議で金融政策の正常化に慎重な姿勢を示した事から米株高・ドル安に振れた。リスク選好の動きが強まる中、豪ドル/円は80.30円台へと上昇した。

31日
中国8月製造業PMIは50.1、同非製造業PMIは47.5(予想50.2、52.0)となった。非製造業PMIは2020年2月以来、1年半ぶりに改善と悪化の分岐点である50.0を割り込んだ。なお、その後に発表された豪4-6月期経常収支は205億豪ドルの黒字となり、黒字額は過去最高を記録したが市場予想(214億豪ドル)には届かなかった。また、豪7月住宅建設許可件数は前月比-8.6%となり、前回(-5.5%)から一段と減少。市場予想(-5.0%)も下回った。

8月の各市場

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8月の豪ドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 9月の見通し

8月の豪ドル/円は、5月に付けた年初来高値85.80円前後から約9.22%下落して77.89円前後まで下値を切り下げた。ただ、8月後半から急速に持ち直しており、9月に入り81円台を回復している。5月以降の下げ幅の38.2%戻し(80.91円前後)を達成した事から、ひとまず底入れが完了したと判断できる。

半値戻しの水準(81.85円前後)を超えられるかが9月相場の見どころとなりそうだ。まずは、豪中銀(RBA)が7日の理事会で慎重ながらも楽観的な経済見通しを維持するか、その上で計画通りにテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)を進めるかに注目したい。また、新型コロナウイルスの感染拡大による豪州のロックダウン(都市封鎖)が予定通りに9月末で終了するかも注目されよう。

その他、景気減速懸念がくすぶる中国の動向にも注意が必要だろう。15日の中国8月鉱工業生産や同小売売上高が大きく下振れしないか確認したい。

豪ドル/円相場は、8月にひとまず底入れしたと考えられるが、このまま上昇基調を維持できるかどうかは、これらにかかっていると言えそうだ。
(予想レンジ:79.750~82.750円)

神田卓也

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