総括
暴動という最悪の状況を把握、今後はランドは回復するだろう
通貨1位、株価7位
予想レンジ 南アランド円 7.4-7.9
(ポイント)
*政策金利は据え置きか
*今週はCPIも発表あり
*前首相収監に関わる暴動の死者数は100人以上
*暴動を扇動したとみられる人物を治安当局が特定
*ランド円は3σ下限まで下落して反発
*暴動に関しての格付け評価はマチマチ
*警戒レベル4を14日間継続
*賃金交渉開始
*6月の民間部門PMIは低下
*2Qの消費者信頼感指数と6月製造業PMIは低下
*5月貿易黒字は予想を上回った
*CPIは5.2%へ上昇
*今年の成長率予想は4.1%
*米中対立激化、FRB利上げ予想前倒しで南アランドは急落した
*対円8.15-20の売りも下落を誘った
*秋に米中首脳会談の可能性あり
*1Q・GDPは予想を上回った
*1Q経常黒字は拡大
*貿易・経常収支の黒字が南アランドを支える
*弱点は雇用と停電
*中銀総総裁=南ア国債の利回りの高さが海外投資家をひきつける
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
*21年インフレ見通しは4.2%
(危機を把握すれば事態は改善し、ランド相場も回復へ)
ズマ前大統領収監に抗議するための暴動や略奪で下落した南アランドも、ボリバン3σまで下落し下げ止まり反発し一時ボリバン中位近くまで上昇した。時間が経つにつれ状況が把握されてきた。ラマポーザ大統領は暴動を扇動したとみられる人物を治安当局が特定したことを明らかにし、政府は「無秩序や騒乱」を容認しないと強調した。緊張状態にある地域に配置する兵士を現在の1万人から2万5000人に増やす方針を示した。ヨハネスブルクでは大半の商店が閉まったままだが落ち着きを取り戻し、東部ダーバンやリチャーズベイでも状況が改善している。ラマポーザ氏はまた国内の一部で人種間の緊張が高まっていることに懸念を示した。
格付け大手3社の見方は様々でS&Pやムーディーズは経済活動停滞に繋がり財政改善が遅れ格下げ要因となるとしたが、フィッチは大きな影響はなく格付けは維持されるとした。状況が把握されれば改善に向かうしかない。7月はランドは売られたが、年初来では最強通貨を維持した。7月は南アランドより豪ドルやカナダがより売られている。世界的なテーパリング報道でリスク回避で資源通貨が売られていた。南ア株式指数(ASI)は7月はここまで0.42%上昇。日経は2.73%下落だ。
(政策金利は)
今週は政策金利は3.5%に据え置かれるだろう。足元のインフレ加速は一時的との見方が背景。コロナ感染者増加や暴動も考慮されるだろう。ただし来年初めから引き締めを開始するとみられている。
5月が前年比5.2%と30カ月ぶりの高水準だった消費者物価上昇率については、今年が平均で4.3%付近、来年は4.4%と予想され現在のインフレ加速は、他国と同様一時的との見方が多い。 今週は6月消費者物価の発表もある。予想は前年比4.8%上昇だ。
(警戒レベル4を14日間継続)
南アは、7月11日に6月末に引き上げた新型コロナウイルスの警戒レベルを維持し、厳格な規制を2週間延長した。集会の禁止、午後9時から午前4時までの外出禁止、酒類販売禁止などの措置が継続される。
感染者数、死者数ともにアフリカ最悪となっている南アは、より感染力の強いデルタ型変異株が広がり、感染第3波に見舞われている。今月に入り、1日当たりの感染者は2万6000人超と過去最多を記録。医療提供体制は限界に達しつつある。ラマポーザ大統領は国民向けのテレビ演説で、「全土の医療は依然圧力にさらされている」と述べた。
大統領は6月末、感染拡大を受けて警戒レベルを5段階中4番目に引き上げ、2週間後に見直すと約束。11日に警戒レベル4を14日間継続することを決定したと説明した。
(トヨタ、南ア工場を現地暴動で停止)
トヨタ自動車は、南アのダーバンにある工場を7月12日から停止していることを明らかにした。現地で暴動が拡大しているため。再開のめどは立っていないという。
トヨタによると、ダーバンがあるクワズール・ナタール州の販売店網も営業を停止。納車や部品供給に影響が出ているという。
今回は、レストランについては厳格な感染対策を順守すれば敷地内での料理提供が可能となるほか、ジムも一定の条件下で営業再開が認められる。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン3σ、2σ下限から反発、週足は下ヒゲが長い
日足、ボリバン3σ、2σ下限から反発。中位へ近づく。7月14日-16日の上昇ラインがサポート。7月12日-16日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。雲の下。
週足、ボリバン中位で踏みとどまる。先週は長い下ヒゲ。1月11日週-7月12日週の上昇ラインがサポート。7月5日週-12日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、5か月連続陽線とならず反落。雲の下へ。21年2月-3月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-20年の下降ラインを上抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。20年の下ヒゲも効いている。
喜望峰
電力不足対応
ラマポーザ大統領は電力法で定めている自家発電事業のライセンス免除の対象となる発電量を、現行の1メガワット(MW)から100MWに引き上げると発表した。
加えて、ラマポーザ大統領は、自家発電した電力を電力公社エスコム管理下の国家送電網に供給することを認めるとした。南アでは、民主化に伴って電力需要が拡大したことに加え、エスコムの非効率な事業運営により、2000年代半ばから断続的な電力不足と計画停電が生じている。
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