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「ドル高の持続性が焦点に」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2021年7月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のドル/円ポジション動向
・7月の日・米注目イベント
・ドル/円 7月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のユーロ/円ポジション動向
・7月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 7月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 6月の推移

6月のドル/円相場は109.187~111.119円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.4%上昇(ドル高・円安)した。

ドル買いが先行して3日には110円台を回復したが、米5月雇用統計で非農業部門雇用者数の増加幅が予想を下回ると翌営業日の7日には109.19円前後までドル安に振れた。しかし、米5月消費者物価指数が前年比+5.0%と2008年以来の高い伸びとなった事や、米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利見通しで利上げ予想時期を2023年に前倒しした事からドルは反発。

その後も、ハト派で知られるブラード・セントルイス連銀総裁が2022年の利上げの可能性に言及した事などからドル高基調が続き、23日には約1年3カ月ぶりに111円台を回復した。その後は戻り売りに押される場面もあったが、30日には111.12円前後まで上伸。月末・四半期末に絡む実需フローなどに押し上げられる形で年初来高値を更新した。

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出所:外為どっとコム

1日
米5月ISM製造業景況指数は61.2と予想(61.0)を上回ったが、内訳の「入荷遅延指数」が上昇した一方で「雇用指数」が低下しており、米製造業が原材料不足と労働力不足に直面している事が浮き彫りになった。これを受けてドルはやや下落した。

3日
ロシア財務相が、政府系ファンドのドル保有をゼロにし、ユーロと人民元、金に振り向ける計画を明らかにすると、一時ドルが売られた。しかし、米5月ADP全国雇用者数が97.8万人増と、市場予想(65.0万人増)を上回った他、米新規失業保険申請件数が38.5万件と、前年3月のパンデミック以降で初めて40万件台を割り込んだ(予想38.7万件)事からドルは反発。さらに、米5月ISM非製造業景況指数が64.0と市場予想(63.2)を上回り、統計開始以来の最高を記録するとドル買いが加速した。

4日
米5月雇用統計は、非農業部門雇用者数55.9万人増、失業率5.8%と、市場予想(67.5万人増、5.9%)に対してマチマチの結果であった。労働参加率は61.6%(予想61.8%)、平均時給は前月比+0.5%、前年比+2.0%(予想+0.2%、+1.6%)だった。ただ、前日の米5月ADP全国雇用者数の大幅な増加を受けたドル買いの反動もあって失望的なドル売りが断続的に入った。

10日
米5月消費者物価指数は前月比+0.6%、前年比+5.0%と市場予想(+0.5%、+4.7%)を上回る伸びとなった。また、米新規失業保険申請件数は37.6万件と、予想(37.0万件)を上回ったものの前週の38.8万件から改善した。

16日
FOMCは、予想通りに政策金利(0.00-0.25%)と資産買い入れ(月間1200億ドル)の現状維持を決定。声明にも大きな変化はなかったが、同時に公表した政策金利見通しでは2023年中に利上げを行うと予想するメンバーが18人中13人に増加(3月時点7人)。うち11人は2回の利上げを予想している事が明らかになった。2022年中の利上げ予想も7人に増加した(3月時点4人)。これを受けて米長期金利とドルが急上昇した。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は会見でテーパリングについて、「今回の会合は議論することについて議論する会合だ」との認識を示した。また、利上げ予想時期を示すドットチャートについては「大きく割り引いて捉えるべきだ。利上げの議論は時期尚早だ」と指摘した。

18日
日銀は大方の予想通りに金融政策の現状維持を決定。新型コロナ対応として導入した企業の資金繰り支援策を半年間延長する事も決めた。黒田総裁はその後の会見で「コロナ収束後も物価2%目指して金融緩和を当分続ける」と改めて表明した。いずれも市場の反応は小さかった。

その後、ブラード米セントルイス連銀総裁は「最初の利上げは2022年後半になる見通し」などと発言。ハト派で知られるブラード総裁のタカ派発言を受けて米長期金利の上昇と共にドル買いが強まった。しかし、米国株が早期利上げへの警戒感から急落すると米長期金利が一転して低下したためドル/円も失速した。

22日
パウエルFRB議長は議会証言で「FRBは労働市場の広範で包括的な回復を促進する」とし、「インフレを巡る懸念を理由に性急な利上げは行わない」と表明した。利上げ前倒し観測がやや後退した事でドル/円は上げ幅を縮小した。

25日
米5月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前月比+0.4%、前年比+3.9%(予想+0.5%、+3.9%)となった。なお、食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+3.4%と予想通りであった。PCEデフレーターはFRBのインフレ目標である2%を大幅に上回ったものの、おおむね予想通りの伸びに留まった事からドルは下落した。

6月の各市場

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6月のドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月の日・米注目イベント

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ドル/円 7月の見通し

7月のドル/円相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)によるテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)開始への「距離感」がテーマとなりそうだ。

6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見でパウエルFRB議長はテーパリングについて「今回の会合は議論することについて議論する会合だ」と説明した。議論の進捗は、7日に公表されるFOMC議事録や、28日の7月声明及びパウエル議長の会見である程度確認できるだろう。米国のファンダメンタルズ面では、2日の米6月雇用統計や13日の米6月消費者物価指数、29日の米4-6月期国内総生産(GDP)・速報値、30日の米6月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)などが注目されよう。

これらの結果を踏まえ、景気動向と物価動向の両面からテーパリングの開始時期を探る事になりそうだ。現時点で、市場にはテーパリングの開始を2022年初めと見る向きが多い。テーパリングの開始予想時期が早まれば、2023年がコンセンサスのゼロ金利解除(利上げ開始)の予想時期も前倒しとなる公算が大きく、ドルは上昇が続くと考えられる。一方、テーパリングの開始予想時期が後ずれするようなら、6月の上昇を吐き出す形でドルに下落圧力がかかるだろう。

その他、7月末で、米連邦債務にかかる法定上限の適用凍結期間が終了する点には念のため注意しておきたい。上限の引き上げや凍結期間の延長などがなければ、8月には米財務省の資金繰りが難航し、米政府機関が閉鎖される可能性もある。「債務不履行」が意識されない限り大きな混乱には至らないと見るが、米議会の債務上限協議の行方は一応気にしておきたい。

(予想レンジ:109.000~112.750円)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 6月の推移

6月のユーロ/円相場は130.044~134.126円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.6%下落(ユーロ安・円高)した。下落は今年初めてで、2020年10月以来8カ月ぶり。ユーロ/ドル相場が約3%下落しており、ドル高によるユーロ安がユーロ/円相場にも響いた格好だ。

なお、欧州中銀(ECB)は10日の理事会でハト派スタンスを維持。ラガルドECB総裁は14日の講演でテーパリング(量的緩和の段階的な縮小)の議論は時期尚早との見解を示した。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は16日、テーパリングの議論開始が近い事を明らかにした上に、利上げ開始の予想時期を2024年から2023年に前倒しした。こうした欧(ユーロ圏)・米の金融政策スタンスの格差が対ドルでユーロを押し下げた。

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出所:外為どっとコム

1日
ユーロ圏5月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.0%と予想(+1.9%)を上回り前月(+1.6%)から加速。ECBのインフレ目標である「2%弱」を2年半ぶりに上回った。これより前に発表されたユーロ圏5月製造業PMI・改定値が63.1と、速報値(62.8)から上方修正された事もあってユーロは堅調に推移した。

8日
独6月ZEW景況感調査は期待指数が79.8と市場予想(86.0)を下回り前月(84.4)からも低下。なお、同時刻に発表されたユーロ圏1-3月期GDP・確報値は前期比-0.3%と改定値(-0.6%)から上方修正された。

10日
ECBは、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による資産買い入れ規模を少なくとも2022年3月末まで、もしくは新型コロナウイルス感染拡大による危機が収束したと判断されるまで1兆8500億ユーロに維持すると表明。「買い入れは、向こう1四半期は1-5月と比べ、引き続きかなり速いペースで実施される」とした。

また、ラガルド総裁はその後の記者会見で、成長に対するリスクが「おおむね均衡している」と述べ、従来の「下向きに傾いている」から判断を強めた。2021年の成長率を+4.6%、22年は+4.7%とする見通しを示し、それぞれを従来の+4.0%、+4.1%から引き上げた。インフレ率予測も21年+1.9%、22年+1.5%とし、これまでの+1.5%、+1.2%から上方修正した。ユーロは、ECBのハト派スタンス維持と強気な経済見通しによって売買が交錯。方向感の定まらない展開となった。

11日
ドイツ連銀は、2021年のドイツ経済の成長率予測を+3.7%、2022年を+5.2%に引き上げた(前回予測:+3.0%、+4.5%)。バイトマン総裁は声明で「ドイツ経済は新型コロナ危機を克服しつつある」と表明。「パンデミックの収束は、主に個人消費とコロナ対策に特に大きな影響を受けたサービス部門で、かなりのキャッチアップ効果をもたらすだろう」とした。

14日
ユーロ圏4月鉱工業生産は前月比+0.8%と市場予想(+0.4%)を上回る伸びとなった。なお、これより前にはECBのラガルド総裁が、少なくとも2022年3月まで継続する予定のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)について、「この問題を議論するには時期尚早だ」と述べた事も報じられた。

17日
FOMCが前日に利上げ予想時期を前倒しした事などを嫌気してNYダウ平均が一時400ドル超下落。米株安を受けてクロス円は軒並み下落した。

21日
日経平均株価の下げ幅が後場寄りで1000円超に拡大。時間外取引の米10年債利回りは2月以来の1.35%台へと低下。米国の早期利上げへの警戒感からリスク回避ムードが広がる中、ユーロ/円は約2カ月ぶりに130.04円前後まで下落した。

23日
独6月製造業PMI・速報値は64.9(予想63.0、前回64.4)、独6月サービス業PMI・速報値は58.1(予想55.7、前回52.8)。その後に発表されたユーロ圏6月製造業PMI・速報値は63.1(予想62.3、前回63.1)、ユーロ圏6月サービス業PMI・速報値は58.0(予想58.0、前回55.2)であった。

6月の各市場

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6月のユーロ/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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7月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 7月の見通し

6月のユーロ/円相場が8カ月ぶりに下落した背景は、ユーロ圏と米国の金融政策のスタンス格差が浮き彫りになった事が挙げられるが、その前提として7カ月に渡る上昇の反動という面も大きい。四半期末に当たる6月は持ち高調整の売りが出やすい時期だったと考えられる。こうした動きは7月に入り落ち着くと見られ、ユーロ/円相場はもみ合い商状へと移行しそうだ。

欧州中銀(ECB)は7月理事会でもインフレの上昇は一時的とするハト派スタンスを維持する公算が大きく、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による国債買い入れも維持する公算が大きい。ただ、来年3月末で期限が到来するPEPPは現在のペースで買い入れを続ければ期限前に買い入れ枠(1.85兆ユーロ)を使い切ってしまう事になる。このため7月理事会ではPEPPの「中間評価」が行われると見られ、市場では9月理事会で買い入れペースの減速が決まるとの見方が多い。

こうした見方に変化が生じなければ、ユーロ圏の景気が堅調に推移する中、6月に強まったユーロ安の流れが7月も続く公算は小さいだろう。

(予想レンジ:129.750~133.750円)

神田卓也

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