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「欧米で景気回復への期待高まる」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2021年5月

【外為総研 House View】

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目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 4月の推移
・4月の各市場
・4月のドル/円ポジション動向
・5月の日・米注目イベント
・ドル/円 5月の見通し

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 4月の推移
・4月の各市場
・4月のユーロ/円ポジション動向
・5月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 5月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 4月の推移

4月のドル/円相場は107.475~110.846円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.2%下落(ドル安・円高)した。米3月雇用統計や米3月小売売上高などの経済指標は米国経済の急回復を示唆したが、ドルの上値は重かった。

3月末に1.77%台まで上昇していた米10年債利回りが、一時1.52%台へ低下した事が響き、ドル/円は23日に107.48円前後まで下落した。「インフレ上昇は一時的」「経済の先行きはなお不透明」などとする米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な見解が徐々に市場に浸透したと見られる。

ただ、月末にかけては円売り主導で109円台を回復。日本の機関投資家が外債投資に絡む円売りに動いたとの観測があった他、日本の新型コロナウイルスワクチン接種が進まない中、4都府県で緊急事態宣言が発令(25日~)された事で円が売られたとの見方も出ていた。

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出所:外為どっとコム

1日
日銀短観は、大企業製造業DIが+5となり、市場予想(-1)を上回った。大企業非製造業も-1と、予想(-4)を上回った。なお、企業が事業計画の前提とする2021年度の想定為替レートは1ドル=106.07円であった。米3月ISM製造業景況指数は64.7と1983年12月以来約37年ぶりの高水準を記録。ただ、ドル/円はいずれの経済指標にも大きな反応は見せなかった。

2日
米3月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比91.6万人増と予想(66.0万人増)を上回る伸びとなり、失業率は予想通りの6.0%と前月(6.2%)から改善した。平均時給は前月比-0.1%、前年比+4.2%(予想+0.1%、+4.5%)であった。ドルは一時上昇したが、米国株が休場、米債も短縮取引でイースター休暇モードの中、ドル買いは続かなかった。

5日
米3月ISM非製造業景況指数は63.7と1997年の統計開始以来で最高を記録。市場予想(59.0)を大きく上回った。これを受けて米国株は上昇したものの、米長期金利が低下したためドルは売りが優勢となった。なお、イエレン米財務長官は、3月に成立した1.9兆ドル規模の経済対策について、「インフレ圧力を引き起こすという事には極めて懐疑的だ」と述べた。

15日
米3月小売売上高は前月比+9.8%と予想(+5.8%)を大幅に上回った。同時に発表された米新規失業保険申請件数も57.6万件と予想(70.0万件)を下回り約13カ月ぶりの水準に改善した。これらを受けたドル買いは一時的だった。

16日
米財務省は貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書をバイデン政権下で初めて公表。スイスとベトナム、台湾が為替相場を操作した可能性があるとしながらも、「為替操作国」の認定は見送った。中国、日本、韓国、ドイツ、アイルランド、イタリア、インド、マレーシア、シンガポール、タイ、メキシコの11カ国が監視リストの対象となった。

19日
16日(日本時間17日)に行われた日米首脳会談後の共同声明で台湾海峡の平和と安定に言及するなど、中国へのけん制を強めた事を受けて、米中の対立激化が懸念される中、リスク回避の円買いが先行した。

27日
日銀は大方の予想通りに金融政策の現状維持を発表。同時に公表した展望リポートでは、2023年度の国内総生産(GDP)の政策委員見通しの中央値は前年比+1.3%、消費者物価(除く生鮮、コアCPI)の見通しは同+1.0%とした。

その後の記者会見で黒田総裁は「2%の物価目標の達成に時間かかっているのは残念」とした上で「強力な金融緩和続けるもとで、見通し期間は越えるが2%の物価目標は達成できると考えている」との見解を示した。

28日
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、予想通りに金融政策の据え置きを発表。声明では「ワクチン接種と強力な政策支援の進展で、経済活動と雇用指標は強まった」としつつも、「経済の道筋はワクチン接種の進捗状況を含め、ウイルスの行方に著しく左右される」「経済見通しに対するリスクは残っている」などと慎重な姿勢を維持。

パウエルFRB議長もその後の会見で、市場にくすぶる金融政策正常化観測について「テーパリングについて議論する時期ではない」と表明した。

29日
バイデン米大統領は上下両院合同会議で就任後初の演説を行った。コロナ禍を巡る米国の危機脱却を宣言した上で富裕層増税を財源とする1.8兆ドル規模の「米国の家族のための計画」公表した。米1-3月期GDP・速報値は前期比年率+6.4%と予想(+6.7%)を下回ったものの3期連続で改善。GDPの約7割を占める個人消費が+10.7%と大幅に伸びた事が寄与した。

4月の各市場

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4月のドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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5月の日・米注目イベント

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ドル/円 5月の見通し

ドル/円相場は1月以降、上昇が続いていたが4月は4カ月ぶりに下落した。ただ、4月の月足は比較的長い下ヒゲが目立っており、「気迷い」商状も見て取れる。市場ではドルの先行きに対する見方が分かれ始めているようだ。早ければ6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の段階的な縮小(テーパリング)が発表されるとの観測がくすぶっており、こうした金融政策の正常化期待がドルを押し上げるとの見方がある。

一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は一時的なインフレ上昇については黙認する姿勢を示しているため金融政策の正常化観測は時期尚早で、ドルは下落基調が続くとの見方も根強い。5月に入り、米4月雇用統計が予想外に悪化した事でドルは弱含んでいるが、米長期金利は低下しておらず、今のところ米国の景気回復期待が後退した様子はない。ドル強気派とドル弱気派の対立はもうしばらく続くと見られ、ドル/円は当面、レンジ内での取引が続く公算が大きい。

12日の米4月消費者物価指数や14日の米4月小売売上高、19日のFOMC議事録の内容などを吟味しながら、6月のテーパリング示唆の現実味を探る事になりそうだ。

(予想レンジ:107.500~110.500円)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 4月の推移

4月のユーロ/円相場は129.575~132.366円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.2%上昇(ユーロ高・円安)した。上中旬は、ドル/円の下落とユーロ/ドルの上昇に挟まれる形で130.00円を挟んだもみ合いが続いた。ユーロ/ドルの上昇に弾みが付いた20日には130.97円前後まで上昇したが、131円台に乗せる事はできなかった。

一方、欧州中銀(ECB)が22日に量的緩和の段階的な縮小(テーパリング)に否定的な見解を示すとユーロがいくぶん弱含んだが129.50円を割り込む事もなかった。その後、月末にかけて円が全面的に下落すると29日には約2年7カ月ぶりに132.37円前後まで上値を伸ばした。

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出所:外為どっとコム

6日
イースター休暇明けの欧州市場でユーロ買い・ポンド売りが活発化。欧州委員会は、6月末までに大半の欧州連合(EU)加盟国で人口の過半数に接種するのに十分な量の新型コロナワクチンを確保する見込みだと一部メディアが報じた。4-6月期のワクチン配布は3億6000万回を見込んでいるとの事。これまで、ワクチン接種の進展を手掛りに買われてきたポンドを売ってユーロを買い戻すきっかけのひとつになった模様。

13日
独4月ZEW景況感調査は期待指数が70.7と予想(79.0)に反して前月(76.6)から低下した。ドイツ政府が新型コロナウイルス感染拡大防止策をさらに強化するとの懸念が影響した模様。

19日
16日(日本時間17日)に行われた日米首脳会談後の共同声明で台湾海峡の平和と安定に言及するなど、中国へのけん制を強めた事から、米中の対立激化が懸念される中、円買いが先行した。ただ、ユーロ/ドルが節目の1.2000ドルを突破して上げ幅を拡大すると、ユーロ/円は下げ渋った。

20日
インドやブラジルなど新興国を中心に新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、世界的な景気回復への期待が後退する中、欧米市場で円が上昇。ユーロについては、ドイツで9月に行われる総選挙に向けて、野党・緑の党の支持率がメルケル首相率いる与党・キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を上回った事が重しとなった。

22日
ECBは予想通りに金融政策の据え置きを発表。ラガルド総裁は会見で「短期的な見通しは不透明」としながらも「経済活動はまだ限定的だが底を打った兆候がある」との見解を示した。一方、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の段階的な縮小を検討しているのではないかとの見方に対して「時期尚早」とこれを一蹴。6月以降の縮小についても「議論していない」と言明した。

23日
ユーロ圏4月製造業PMI・速報値は63.3と市場予想(62.0)を上回り、統計開始以来で最高を記録。同サービス業PMI・速報値も50.3と8カ月ぶりに、拡大・縮小の分岐点である50.0を上回った。これより前に発表された仏4月製造業PMI・速報値は59.2(予想59.0)、同サービス業PMI・速報値は50.4(予想46.7)であり、独4月製造業PMI・速報値は66.4(予想65.8)、同サービス業PMI・速報値は50.1(予想51.0)であった。

26日
独4月Ifo企業景況感指数は96.8と、市場予想(97.8)を下回り、前回(96.6)並みに留まった。ただ、ドイツ政府が6月初めまでに新型コロナウイルスワクチンの接種対象を全成人に拡大すると発表した他、2021年の国内総生産(GDP)成長率見通しを+3.0%から+3.5%へ上方修正する見通しと伝わった事などからユーロは強含んだ。

30日
独1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比-1.7%と予想(-1.5%)を下回った。ユーロ圏1-3月期GDP・速報値は前期比-0.6%と予想(-0.8%)ほどには落ち込まなかった。また、ユーロ圏4月消費者物価指数・速報値は前年比+1.6%と予想通りの伸びであった。月末のドル需要などでユーロ/ドルが下落したためユーロ/円も弱含んだ。

4月の各市場

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4月のユーロ/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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5月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 5月の見通し

5月のユーロ/円相場は、①ユーロ圏主要国の新型コロナワクチン接種ペース、②6月欧州中銀(ECB)理事会におけるパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)縮小観測、③9月に予定されているドイツ総選挙などが主な注目ポイントとなりそうだ。

①春先にはユーロ圏のワクチン接種の遅れが懸念されていたが、5月10日時点でドイツにおいて少なくとも1回の接種を受けた人の割合は、先進国の中では英米加に次いで4番目に多い32.07%となっている。欧州連合(EU)は6月末までに人口の7割が1回目の接種を終えるとの見通しを示しており、景気回復の遅れに対する懸念は和らいでいる。

そうした中で、②ECBが経済・物価見通しをアップデートする6月理事会でPEPPの段階的な縮小(テーパリング)を示唆するとの思惑がくすぶっている。これらは、ユーロ相場を下支えする事になるだろう。

ただ、③についてはやや警戒が必要だろう。独与党連合のキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)は、メルケル首相の後継者としてラシェットCDU党首を選出した。しかし、国民のラシェット人気はいまひとつのようで、その隙を突いてベーアボック女史を次期首相候補とする野党・緑の党が支持率を伸ばしている。

選挙が行われる9月まではまだ時間があるが、ユーロ圏の中核国であるドイツの政権交代リスクが意識される場面が増える事になるかもしれない。

(予想レンジ:130.500~134.500円)

神田卓也