総括
5円の攻防続く。来週はいよいよ3Q・GDP
予想レンジ 4.7-5.2 (通貨10位、株価12位)
(ポイント)
*5円の攻防続く
*雇用はやや改善
*インフレは4%にのせる
*海外からのメキシコ向け投資は増加
*米、加・メキシコ国境閉鎖を11月21日まで延長
*8月の鉱工業生産は伸び悩み
*中銀によればここまでの景気回復は外部セクターに依存
*全国民にコロナワクチン接種を計画
*政府は、総額2970億ペソのインフラ投資計画を発表
*9月の車生産、2月以来の高水準に
*政策金利は11会合連続で引き下げられたが前回の利下げ幅は0.25%に縮小
*中銀が発表した調査では、20年の実質経済成長率はマイナス9.97%
*中銀は流動性供給を延長
*5月からのペソ安定は貿易黒字と海外からの送金によるもの
*債務拡大でソブリン格付けの引き下げも話題になり始めている
*株価は安い、年初来11.23%安
*大統領は経済が4月と5月に「底を打った」と指摘
*対米貿易依存度が頗る高い
(5円台の攻防続く)
現在はコロナ禍で景気の足取りは危ぶまれる状態だが、インフレは目標の3%を越え4%台なので金融政策のかじ取りは難しいところだ。
10月30日に3Q・GDPの発表があるが予想は前期比8%増、前年比10%減となっている。予想通りコロナ禍からの景気回復の数字が出ればリスク選好へのきかっけとなり5円上抜きの可能性が出てくる。
(9月失業率は前月から改善。前年水準へは程遠い)
9月失業率は5.1%、8月の5.2%から改善した。雇用者数は51.1百万人で8月の50.4百万人から増加した。失業者は2.7百万人。前年9月の失業率は3.8%であった。
(10月中旬のインフレ)
10月中旬のインフレは4.09%、前回の3.9%から上昇した。景気減速とインフレ上昇のジレンマは続く。
本日は8月小売売上の発表がある。
(対メキシコ外国投資、回復の兆し)
メキシコへの外国投資に回復の兆しが出てきた。フランスの航空部品大手サフランは新工場建設を決め、トヨタ自動車は増産投資に動く。米国とカナダとの貿易新協定USMCAが7月に発効し、先行きの不透明感が薄れた。それでも、左派政権の経済運営など先行きへの懸念は残る。
メキシコ政府によると、20年1~6月のメキシコへの外国企業による直接投資(FDI)は179億ドルだった。新型コロナで社会経済活動は大幅に制限されたが、前年同期と比べて0.7%減にとどまった。米国とカナダからの投資は増えた。
中銀が10月1日時点で民間の予測をまとめたところ、20年通年のFDIは246億ドルと見込まれている。5月発表の予測(192億ドル)から大幅に上方修正された。19年実績にはおよばないが、金融危機後の09年(178億ドル)は上回る予測だ。
新型コロナ禍で企業収益が悪化するなかでも、メキシコへのFDIの落ち込みが限定的なのは、19年12月に北米の貿易新協定USMCAの発効にメドがつき、20年7月1日に実際に発効した効果が大きい。
(米、加・メキシコ国境閉鎖を11月21日まで延長 コロナ抑制で)
米国土安全保障省は、カナダとメキシコへの不要不急の渡航制限措置を11月21日まで延長すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を引き続き抑制することが狙い。
カナダのブレア国境安全・組織犯罪減少相もツイッターで渡航制限措置の1カ月延長を明らかにした。渡航制限は3月に導入された。
テクニカル分析
5円の攻防続く
日足、5円に乗せきれず、上ヒゲを連続して残していたが昨日は再び大陽線。10月21日-22日の下降ラインが上値抵抗。10月15日-22日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。雲の上。
週足、ボリバン下限から反発も上限近くから反落。9月14日週-21日週の下降ラインを上抜く。9月28日週-10月5日週の上昇ラインを下抜く。9月21日週-28日週の上昇ラインがサポート。
月足、8月は6月-7月の下降ラインを上抜く。6月-9月の下降ラインが上値抵抗。8月-9月の上昇ラインがサポート。
年足。16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。
VAMOS MEXICO
メキシコ待機政策
米連邦最高裁は、米国への難民申請者をメキシコで待機させるトランプ政権の移民政策「メキシコ待機政策」の合法性を審理すると発表した。同政策を巡っては、連邦移民法に違反している可能性が高いとの判決が昨年、下級審で出ており、トランプ政権が最高裁に上告していた。
下級審は同政策の差し止めを命じたが、最高裁は訴訟が終了するまで差し止めを見送るよう3月に命令。同政策は現在も施行されている。
メキシコ待機政策は昨年1月に導入され、トランプ大統領はこの政策により中米諸国からの移民が減ったと主張している。
一方、移民支援団体と難民申請者11人はこの政策が違法だとして提訴。11人は、暴力から逃れるためエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスから米国に入国したが、その後メキシコに移送された。米自由人権協会の弁護士は「この違法で邪悪な政策により、難民申請者は毎日、重大な危険に直面している。裁判所で繰り返し違法判決が出ており、最高裁もそうした判断を示すべきだ」と述べた。
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