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「新型ウイルスのリスクを見定めへ」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2020年2月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月のポンド/円ポジション動向
・2月の英国注目イベント
・ポンド/円2月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月の豪ドル/円ポジション動向
・2月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 2月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 1月の推移

1月のポンド/円相場は140.797~144.610円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.7%下落(ポンド安・円高)した。下落率も小さかったが、月間の値幅も4円弱と小さく、この通貨ペアにしては値動きが鈍かったと言える。なお、前月は7円強の値動きがあった他、2019年の1カ月あたりの平均値幅も7円前後であった。

英国は1月31日をもって欧州連合(EU)から離脱したが、市場の関心はEUとの将来の関係を模索する「移行期間」中の交渉に移っていると見られ、ポンド相場の変動要因になる事はなかった。英中銀(BOE)の利下げ観測が強まり、ポンドが弱含む場面もあったが、結局BOEは利下げを見送ったためポンドは値を戻した。

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3日
米軍が空爆によってイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害。イランの最高指導者ハメネイ師はその後、「司令官の殺害に対して容赦ない報復措置を取る」として米国への報復を示唆した。これを受けてリスク回避の円買いが強まった。

8日
イランが米軍駐留のイラク基地に攻撃を開始したとの一報を受けて軍事衝突への懸念が高まり円買いが先行。しかし、イランのザリフ外相が「イランは均衡の取れた措置を終了、戦争を求めてはいない」とツイートした事などから本格的な軍事衝突への警戒感が薄れ円が売り戻された。なお、この日ジョンソン英首相は、フォンデアライエン欧州委員長との会談で、英国がEU離脱の移行期間を延長しない事は「はっきりしている」と明確に伝えたとの声明を発表。一方、フォンデアライエン委員長はこれより前に、ジョンソン首相が目指す年内の交渉完了は、時間的に見て「極めて厳しい」との見解を示した。

9日
カーニーBOE総裁が「金融政策委員会(MPC)は近い将来に金融緩和を行う利点について議論している」と発言。BOEには「少なくとも2倍」の資産購入余地があるとの見解を示すとポンド売りが強まった。その後英下院は、EU離脱関連法案を330対231の賛成多数で可決。1月31日の離脱が事実上確定した。なお、バルニエEU首席交渉官はこの日、「今後の日程は極めて厳しい」とし、「1年足らずで新たなパートナーシップのあらゆる項目で合意を見込むことは単純に無理だ」と述べた。

13日
前日付けの英紙が「成長に関するデータに早期かつ著しい改善が見られない限り、今月の政策会合で利下げに票を投じる」とするブリハ英MPC委員の見解を伝えた事を受けてポンド売りが優勢となった。英11月鉱工業生産が前月比-1.2%と予想(±0.0%)を大幅に下回る落ち込みとなった事も重しとなった。

15日
英12月消費者物価指数は前月比±0.0%、前年比+1.3%と予想(+0.2%、+1.5%)を下回った。また、英12月生産者物価指数も前月比±0.0%、前年比+0.9%と予想(+0.1%、+1.0%)を下回った。これらを受けてBOEの利下げ観測が高まった。ただ、米中通商合意「第1段」の署名式が行われ、米中貿易戦争が一時休戦となった事からポンド/円の下値は堅かった。

17日
英12月小売売上高は前月比-0.6%と予想(+0.6%)に反して大幅な減少を記録。クリスマス商戦にもかかわらず小売が落ち込んだ事を受けて、BOEが翌月にも利下げに動くとの見方が強まりポンド売りが強まった。

21日
中国で新型コロナウイルスによる肺炎患者が増加し、死者が出た事などから円買いが先行。しかし、英12月失業保険申請件数が1.49万件と予想(2.26万件)より少なかったためBOEの利下げ観測がやや後退する中、ポンド買いが優勢となった。なお、英12月失業率は3.5%となり、英9-11月ILO失業率は3.8%と予想通りに40年ぶり低水準を維持した。

24日
英1月製造業PMI・速報値は49.8と予想(48.8)を上回り、英1月サービス業PMI・速報値も52.9と予想(51.1)を上回った。なお、いずれも前月(47.5、50.0)から上昇した。ポンドは一時買いが強まったが、BOEの利下げ観測を払拭するには至らず反落。米国で2人目の新型コロナウイルス感染者が確認され、米国株が下落する中、円が買われた事も重しとなった。

30日
BOEは、政策金利(0.75%)と資産買取りプログラムの規模(4350億ポンド)の据え置きを発表。英政策金利先物が5割弱の利下げを織り込むなど見方が割れていたためポンドは急伸した。議事録では、据え置きの決定が7対2であった事が明らかになった。こちらも、利下げ支持(据え置き反対)が少なくとも3-4人になるとの見方があったためポンド買い材料となった。

1月の各市場

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1月のポンド/円ポジション動向

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2月の英国注目イベント

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ポンド/円 2月の見通し

1月31日をもって英国は欧州連合(EU)から離脱した。市場の関心は年末までの「移行期間」のうちに英国がEUと自由貿易協定(FTA)を締結できるかに移っている。仮に締結できなければ2021年1月1日に英・EU間に「関税障壁」が生まれるリスクがあり、そうなると英経済の打撃となる可能性が高い。

もっとも、2月はFTA交渉の準備期間と位置付けられており、交渉が本格化するのは3月になる模様。このため、2月のポンド/円相場は方向感が定まりにくい展開が続きそうだ。ただ、交渉の本格開始を前に、英国とEUの双方から互いをけん制する発言が相次いでおり、市場は交渉の先行きを不安視し始めている。ジョンソン英首相は3日の演説で「EU規則の受け入れを要件とする自由貿易協定の必要はない」と改めて協調。

一方、EU側の首席交渉官を務めるバルニエ氏は、(無関税など)野心的な合意を求めているものの、そのためには「英国とEU加盟国のオープンで公正な競争が条件だ」とクギを刺した。これを受けてAFP通信は「英国とEU、貿易協定めぐり対立 離脱後の協議に暗雲」と報じた。交渉準備期間とはいえ、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大懸念も相まって、ポンド/円相場はどちらかといえば下値リスクのほうが大きいと考えられる。

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 1月の推移

1月の豪ドル/円相場は72.440~76.322円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約4.9%の大幅下落(豪ドル安・円高)となった。米軍がイランの国民的英雄をテロリストとして殺害した「イラン・ショック」で豪ドル売り・円買いが先行。

その後は、米中が第1段階の通商合意に署名(15日)した事などから豪ドルは持ち直したが、中国の春節(旧正月)入りを前に、湖北省武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が中国本土で拡大する「コロナ・ショック」に見舞われ再び豪ドル売り・円買いが強まった。この間、豪経済指標は予想を上回るものが目立ち、豪中銀(RBA)が2月に利下げに動くとの見方が後退したものの、新型ウイルスへの懸念が根強く、豪ドル/円の上昇には繋がらなかった。

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3日
米軍が空爆によってイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害。イランの最高指導者ハメネイ師はその後、「司令官の殺害に対して容赦ない報復措置を取る」として米国への報復を示唆した。これを受けてリスク回避の円買いが強まった。

8日
イランが米軍駐留のイラク基地に攻撃を開始したとの一報を受けて軍事衝突への懸念が高まり円買いが先行。しかし、イランのザリフ外相が「イランは均衡の取れた措置を終了、戦争を求めてはいない」とツイートした事などから本格的な軍事衝突への警戒感が薄れ円が売り戻された。豪11月住宅建設許可件数が前月比+11.8%と市場予想(+2.0%)を大幅に上回って増加した事も豪ドルの持ち直しに寄与した。

10日
豪11月小売売上高が前月比+0.9%と予想(+0.4%)を上回った事を受けてRBAの2月利下げ観測がやや後退し、豪ドル買いが優勢となった。

14日
13日のNY市場終了後に、米財務相が中国を「為替操作国」から除外。これを受けて豪ドル買い・円売りに傾く場面もあったが、除外は前日に一部で報じられていた事から反応は大きくなかった。

17日
中国10-12月期国内総生産(GDP)は前年比+6.0%と予想通りで、伸び率は7-9月期から横ばいだった。また、中国12月鉱工業生産は前年比+6.9%(予想:+5.9%、前回:+6.2%)、中国12月小売売上高は前年比+8.0%(予想:+7.9%、前回+8.0%)であった。

23日
豪12月雇用統計は、新規雇用者数が2.89万人増と予想(1.00万人増)を上回り、失業率も5.1%と予想(5.2%)より低かった。これを受けて豪ドルは買いが強まったものの、中国で発生した新型肺炎の感染拡大が懸念される中で上値は限られた。その後、上海総合指数が翌日に旧正月休暇入りを控えて下落。香港・ハンセン指数も大幅に下落するなどアジア株が崩れる中、豪ドル/円はじりじりと上値を削った。

24日
米国で2人目の新型コロナウイルス感染者が確認された事などから米国株が下落。コロナウイルス感染拡大への懸念(中国需要の減退など)から原油価格も下落する中、豪ドル売りが強まった。

27日
前日時点で中国本土の新型コロナウイルス感染症例が2000件を超えるなど、新型ウイルスによる肺炎の感染拡大が続く中、週明けの豪ドル/円は急落。世界的に株安が進み原油価格も下落する中、欧米市場でも豪ドルは軟調に推移した。

29日
豪10-12月期消費者物価指数は前年比+1.8%と予想および前期(+1.7%)を上回る伸びとなった。RBAが重視する基調インフレも前年比+1.45%となり、予想(+1.35%)を上回った。これを受けて利下げ観測がやや後退。豪ドルもやや上昇した。

31日
中国国連大使は「新型肺炎の中国の感染者は9809人」「うち重体1527人」「死者は213人」「感染が疑われるケースが1万5238人」などを明らかにした。感染拡大を懸念してNYダウ平均が600ドル超下落する中、豪ドル/円にも売りが強まった。

1月の各市場

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1月の豪ドル/円ポジション動向

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2月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 2月の見通し

豪中銀(RBA)は、2月4日の理事会で政策金利の据え置き(0.75%)を決定した。豪12月雇用統計や豪10-12月期消費者物価指数などが予想を上回った事から利下げ観測は後退していたものの、据え置きの決定を受けて豪ドルは強含んだ。

声明で世界経済や豪州経済に比較的明るい見通しを示した事も好感された模様。これを受けて3月利下げの確率(豪政策金利先物における利下げの織り込み度合い)も低下しており、2月に発表される豪主要経済指標の改善が続けば、一時約4カ月ぶりに72円台前半へと下落した豪ドル/円は反発が見込めそうだ。もっとも、RBAは声明で中国の新型コロナウイルスについて、「影響がどのくらい続くかを判断するには時期尚早」との見解を示し、その上で「経済の持続的な成長、完全雇用、および長期にわたるインフレ目標の達成を支援するために必要な場合、金融政策をさらに緩和する用意がある」として緩和スタンスを維持した。

新型ウイルスの感染拡大に歯止めがかからないようだと豪ドル/円の続落リスクが高まるだろう。2月の豪ドル/円相場は豪州景気の動向と新型ウイルスを巡る情勢の両睨みで方向感を模索する事になりそうだ。