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「レバレッジはアクセル。エッジのあるトレードを」YEN蔵 特別インタビュー(後編)

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学生時代の外貨への意識、ブローカーから為替トレーダーへ転身したお話など凝縮して伺ってきたYEN蔵氏へのインタビューですが、後編では後輩トレーダーへのアドバイスを中心に伺いました。

▼目次
1.「人間くさい相場」からの変化
2.金融機関退職後の話
3.エッジのあるトレードを
4.1つのポジションにこだわるな
5.レバレッジはアクセル

「人間くさい相場」からの変化

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PickUp編集部:
シティバンクを退職後、ほかの外資系銀行を移られて、プロの現場で20年弱活躍されました。ディーラーの引退を決意したのはなぜでしょうか。
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YEN蔵:
銀行を辞めたきっかけは、何か飽きちゃいましてね。あと、シティ時代のインターバンクの人間が、見渡せばもう僕だけ。1番最後だったんですよ。あとはみんな辞めちゃった。マーケットはどんどん世知辛い方向にいってしまったのも原因かな。東京市場ってバブルの頃はすごく力があって東京、ロンドン、ニューヨークの3極で拮抗していたんですけど時間の流れとともにロンドンが世界を仕切るようになっちゃったんですね。

あと、昔はリージョナル(地域ごと)のヘッドがいて、その中でチームがあったんですけど、ヘッドがロンドンとかニューヨークにいてプロダクトごとにオプションチーム、スポットチーム、金利チームってなってしまった。プロダクトごとにリージョナルじゃなくて、プロダクトごとのマネジメントになっちゃったんで、僕の上司はロンドンになった。そういうのも、何かつまらなくなってきた。寂しいな、ちょっと少し休むかなみたいな感じで銀行を辞めちゃいましたね、あっさり。
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PickUp編集部:
生粋の東京のディーラーとしてやっていたら、まわりは引退していった・・・
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YEN蔵:
そうですね。 80年代から始まった為替マーケットって、やっぱり90年代後半ぐらいまでが1番いい時代でした。古き良き時代がそこで終わって、機械とAIになってマーケットが動かなくなると、どんどん儲からなくなった。儲からなくなると、いろいろと締め付けが厳しくなって、どんどんつまらなくなって行くっていう、そういうよくあるパターンになっていました。

1998年為替の外為法改正になって、FX会社さんたちが台頭してきたのがこのリーマンショックまでの10年じゃないですか。そこで外為市場のプレーヤーのチェンジが起こったわけですよ。98年っていうのがやっぱり奇しくも人間ブローカーがいなくなってその人たちが次に向かう先としてもFX業界ってすごく意味があった。

プレーヤーのチェンジがあって、法人から個人というリテールの時代がその後10年ですよね。今も続いていますけど。スタンダードチャータード銀行に行った時、2008年まではFX会社さんたちのカバーもやっていたんです。個人投資家の注文を受けたFX会社さんからの注文を受けましたけど、そのとき為替市場のプレーヤーが変わったなっていう感じがしましたね。
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PickUp編集部:
日本の外為マーケットの創成期からの変化を見届けられたっていう感じですね。
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YEN蔵:
ええ。人間と人間が声でプライスをやり取りしていたんですけど、それがEBS(電子ブローキングシステム)になって。人間もいなくなっちゃうとすごく無機質になると感じました。昔やっぱりインターバンクってうるさくて、ディーリングルームに入ると、そこだけ騒がしいんですよ。動物園かと思うくらい。ほかの部署はみなシーンとして。
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PickUp編集部:
なるほど。
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YEN蔵:
シーンとしているより、声が飛び交っているほうが、人間臭いじゃないですか。そこがまた面白くもあったんですけど。すごく無機質になっちゃったなっていう感じがしますよね。

ITの力で、スマホひとつで世界の市場に繋がれるなんて素晴らしいことじゃないですか。昔はシティロンドンに電話かけてちょっとドル/円売ってくれみたいなことをやっていたんで。でも、デジタルになってさみしさはある。

金融機関退職後の話

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PickUp編集部:
独立して、ブログでFXの情報発信をしていこう、と決めていたんでしょうか。
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YEN蔵:
独立したときって、FXの情報がまだそれほど世間に行き渡ってなかった時期でした。「YEN蔵、辞めたらしいぞ」って話が広まって、いろいろなところからお仕事いただけました。何か困っているんじゃないのとかって思っていただいて。そうしたら何か、FX界ではちょっとは知られるようになっちゃった。

あとは、FXについて間違って書いているブログも多くあったので、そこを正さなきゃな、みたいな気持ちはありましたね。僕より相場がうまい人って金融機関にいなくても、むしろそうじゃない人の方がうまかったりするケースっていっぱいあるんですけど。でも知識は絶対僕の方が上なんで。
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PickUp編集部:
わかりました。ちなみにFXだけでなく、株式投資もされていますよね。
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YEN蔵:
まだ90年代とか2000年代初頭って、ものすごく仕手株とかもあってそこら辺のマーケットらしいマーケットは面白かった。いまだに株は俗人的なところが面白いですよね。大型株はやっぱりAIの取引が入ってくるんでちょっと違いますが、新興市場とか中小の銘柄っていうのは、AIが出てきても、まだ面白いんです。

あと、株っていろいろな勝ち方がありますよね。チャートで短期のデイトレードをやる、ちゃんと調べてファンダメンタルズでいい会社に投資してく配当取りにいく、とかいろんな勝ち方があるんで。そこは面白いなと思いますね。

エッジのあるトレードを

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PickUp編集部:
FX投資のおける、メンタル面のアドバイスいただければと思うんですけど。
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YEN蔵:
僕、そもそもメンタルって言葉があんまり好きじゃないんですよ。現役時代、常に恐怖はありました。だから、銀行のお金なんだけど、ストップロスはやっぱり恐怖だった。銀行間トレードって人の弱みにつけ込んでくるような動きをするんで、マーケットの怖さは感じましたけど。メンタルを強く保つ方法って聞くと、損切りを我慢するようなイメージもあるじゃないですか。
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PickUp編集部:
はい。いつか好転するのを祈る感じでしょうか。
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YEN蔵:
そうではない、と言いたいです。メンタルって、初心者は言っちゃいけないと思うんです。僕らの時代の体育会、ど根性、みたいなところがありますが、そうではなくて、まずは自分の勝ち方のハウトゥ、エッジのある投資手法の開発が大事だと思います。投資手法自体は、何でもいいんですけど。

まずはテクニカル分析ですよね。テクニカルとか値動きの癖とか、そういうのを含めた自分自身の投資術、やり方を確立した上でいかにその手法をちゃんとルール通りこなせるかというのがメンタルだと思うんですね。だから、メンタルが先にあるんじゃなくてエッジのある投資手法をまず確立して、それを運用するための心持ちがメンタルだと思うんです。
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PickUp編集部:
では、どうすれば自分の勝ち方を見つけられるのでしょうか。
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YEN蔵:
やっぱり値動きの研究でしょうね。オープン、ハイ、ロー、クローズと、前のマーケット、また東京、ロンドン、ニューヨークと移るんだったら前の前のマーケットをチェックしてみたりします。1週間でどういう動きをするのかなど、まずはそこら辺の値動きの癖っていうのをチェックします。その上で、何か自分でエッジがあると思われるテクニカルを会得していく、という順番です。

チャートを見て、RSIが変化したから○○だ、などでもいいんですけどね。あとはローソク足だけを見るって人もいるんでですね。 勝率6割でも勝てる、4割でも勝てるには、やっぱりそこら辺の損切りとポジションメイク、つまりいかにポジションをうまくコントール、マネージメントするかっていうのがポイントになると思います。
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PickUp編集部:
その、「エッジ」ってどのような意味でしょうか。
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YEN蔵:
際立った、という事です。市場間の癖があると思うんでそれを利用したもの。エッジがあるって、効果的な「とんがった」手法とかっていう意味ですね。
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PickUp編集部:
はい。では価格の研究をした後、初心者だったらテクニカル分析でトレードするためのきっかけを探した方がよいのでしょうか。
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YEN蔵:
そうですね。テクニカル分析は再現性があるし、やっぱり個人投資家の方って兼業が多いと思うので、ニュースをずっと見ているのは大変だと思うんです。ニュースのポイントは神田さんのTwitter見てくださいって感じです。
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PickUp編集部:
FXトレードをするうえで他に気を付けることはなんですか?
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YEN蔵:
トレード判断する際、自分が好きなテクニカルはいくつかあるので、それを使います。あとやっぱりストップロスが起きやすいところでポジション作るっていうのがいいかもしれないですね。要は、ここがポイントと思ったところで逆張りして、そこ逆いっちゃったら損切りする、という。 だから、ストップロスを、例えば今だったら109円50銭にして、これを超えたらというので109円60銭とか109円65銭におけばいいと思うんですけ。109円65銭でショートのストップをおくのであれば109円30銭~40銭かで売れば、まさに昨日上がったところで売れば20銭ぐらいのロスで済むじゃないですか。恐らく109円95銭を抜けたら112円ぐらいまで僕はいくと思ってんですけど。そういうポイントになるところの近く、もっと短い時間軸だとも初心者の人にありがちだと、それ近くなると思うんですけど。

ポジポジ病を避けるには、ここがポイントだというところまで待って、ストップロスの置きどころになるべくそこに近いとこでストップを入れていく、逆張りするのも1つの手法ですし。
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PickUp編集部:
今この瞬間、ポジション持ちたいんだ、という個人投資家の方には相場の転換点を見極めてからエントリーした方が良いという事ですね。
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YEN蔵:
うん。初心者の方はあんまりトレードしないで、ポイントをまず探す練習がいいです。ここで逆張り、抜けたら順張りだな、など練習してほしいです。

逆に言えばポイントでもないレンジのど真ん中でトレードしていたら、どれくらい上がるか下がるか分かんないじゃないですか。
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PickUp編集部:
はい。ポイントが無いと、決済の判断ができないですね。
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YEN蔵:
例えばそういうトレードするポイントだけでも投資の仕方っていくつかポジションの取り方のアイデアは出ると思うんです。
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PickUp編集部:
はい。分かりました。ちょっと雑な質問で恐縮ですが、初心者の方からテクニカルのおすすめ1個だけ紹介してくださいと言われたらどう答えますか。
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YEN蔵:
僕が好きなのはピボットです。デイリーピボットで1時間足で見るやつも好きだし。レンジだとピボットはよくあたるんですよね。あと4時間足は、割とトレンドが出たときに見ます。今は4時間足のトレンドは週2回ぐらい出るので。
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PickUp編集部:
指値のポイントはピボットの数字を使って注文を出すんですか?これは逆張り発想ですよね?
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YEN蔵:
逆張りではないですよ。4時間足でトレンドが出るところってあって、僕は移動平均線と組み合わせているんですけど。それはトレンドがしっかり出るんですよ。だからその4時間足の進む方向に乗っていくっていう感じですかね。

4時間足のトレードはトレンドでやります。でもピボットは4時間ではなかなかトレンドが出ないので活用できるのは週1回か2回ですね。それ以外の時もやるとしたらそのデイリーピボットで、レンジのときは逆張りが結構いいかもしれないですね。
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PickUp編集部:
はい。相場の動き方によってどう活用するかはその時に判断するって感じですね。
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YEN蔵:
そうですね。
ちなみに、すごいトレンド出ちゃうとピボットは機能しないので、トレンドが出たかどうかの判断を4時間足でしています。

1つのポジションにこだわるな

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PickUp編集部:
YEN蔵さんが大切にしている相場の格言などはありますか?
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YEN蔵:
さっき言ったように、そのポジションにこだわるなっていうことと、相場は明日も明後日もずっと続くからそのポジション1つにトレードとかポジションにこだわっちゃダメよみたいな感じですかね。

あと、多くの方が恐らく兼業じゃないですか。だから、兼業でできる方法でFXをやる。兼業の良いところは、トレードをしない時があってもいいってことと、FXだけで所得を得ているわけではないということ。あとは、少々相場でやられてもメンタルにあんまり傷つかないってところもありますね。やっぱり兼業しているうちにいろいろ最初小さく始めて、早くエッジのある投資手法を身につけることですよね。
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PickUp編集部:
つまり、再現性もあり期待値も高い手法を早い段階で見つけるため、ちいさいロットでも取引して、その域にまず到達してから様々やってみましょうっていうことでしょうか。
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YEN蔵:
そうですね。先ずは絶対勝てるものってないしマーケットもどんどん変わるので微調整してかなきゃいけないんですけど、それでもやっぱり確率が高い手法ってあると思うんで、それを早く自分なりに見つけて自分のテクニカルだけじゃなくて、時間帯とかポジションの量とかポジションのマネージメントとかトータルで相場に勝てる方法っていうのを探した方がいいですね。

まあ、最初は先輩トレーダーを真似るところからでいいんじゃないですかね。
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PickUp編集部:
でも真似てばかりで、この手法は駄目だとか、人のせいにしてばっかりいると成長がないっていうこともですかね。
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YEN蔵:
まあそうですね。

レバレッジはアクセル

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PickUp編集部:
あとはFXで200%資産を増やすんだ、っていうような鼻息荒い初心者もいらっしゃいますが。アドバイスをお願いします。
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YEN蔵:
もとの資産の150%増とかって、僕は無理じゃないと思うんですよ。例えば、100万円で年間50万円っていうと月5万円ぐらいじゃないですか。
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PickUp編集部:
はい。計算ではそうなりますね。
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YEN蔵:
月5万円ってうまくやればできると・・・。細かくやっていけばそこそこ儲かると思います。
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PickUp編集部:
ちゃんとルールをもとにして。
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YEN蔵:
うん。あとは、レバレッジはとりあえずあんまり大きいものがダメだと思いますよ。レバレッジ上げるのは後からにしましょうね、と言いたいです。なにも25倍、目一杯使わなくていいんですよって。別に3倍でも5倍でもいい。3倍でも5倍だった失敗してもFXから退場することはそうないと思うんで。

最初の頃は退場しないレバレッジにしましょう。FXのレバレッジって、車のアクセルだと思うんですね。ストップロスがブレーキだと思うんです。やっぱり、儲かるにはアクセルが重要なんですよ。なぜかって言うと、為替って個別株ほど動かないじゃないですか。動かないから、やっぱりレバレッジが重要なんですよ。

レバレッジをかける時っていうのは、それは短い時間軸で。長期間引っ張っちゃダメです。本当にトレンドが出ている時の、上昇なり下落の1番大きく動く瞬間だけレバレッジをバーッと膨らますのはいいけど、基本は初心者のうちはレバレッジを低くやっててほしいですね。皆さん高速道路で車を運転して、追い越す時だけバッとアクセル踏むけど、走行車線に移って速度落としますよね。追い越すときのアクセルの感覚が大事なんです。初心者のうちは1番左側のレーンで、レバレッジ5倍ぐらいでやっときましょう、と伝えたいですね。
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PickUp編集部:
はい。本日はどうもありがとうございました。

PickUP編集部より

ディーラーという仕事の変化から、エッジのあるトレードの重要さについて、また具体的なトレード手法についてもうかがいました。すぐに活用できるアイディアもあり、充実のインタビューとなりました。

↓↓↓前編はこちら
https://www.gaitame.com/media/entry/2019/12/05/183438

↓↓↓中編はこちら
https://www.gaitame.com/media/entry/2019/12/12/181025

YEN蔵
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。