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「米中通商問題睨みもドル強含み継続」外為総研 House View ドル/円・ユーロ/円 2019年12月

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ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

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ドル/円 11月の推移

 11月のドル/円相場は107.889~109.668円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.3%上昇(ドル高・円安)した。米中通商協議の行方が市場の関心を集める中、観測報道や当局者の発言に一喜一憂しつつも、「第1段階」の合意に対する期待は維持された格好。

 米国では「香港人権法」がトランプ大統領の署名を経て27日に成立。香港で続く反体制デモの支援に繋がる内容とあって中国側は強い反発を示したが市場の反応(円相場上昇の反応)は限られた。同法案が米下院で再可決した21日に、中国商務省が「貿易合意に向けて米国との緊密な意思疎通を続ける」と表明した事などから、市場には香港問題は通商協議の妨げにはならないとの楽観的な見方が広がっている模様。

 米中通商協議への期待に加え、米国景気の底堅さを示す経済指標が目立った事もあって、米国株が史上最高値を更新しており、こうしたリスク選好の流れがドル/円相場を支えた。

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1日
米10月雇用統計は、米大手自動車ゼネラルモーターズ(GM)の大規模ストライキの影響が懸念されていた非農業部門雇用者数が12.8万人増となり、予想(8.5万人増)を上回った他、労働参加率が6年ぶりの高水準となる63.3%に上昇したにもかかわらず、失業率は3.6%と予想通りに前月から0.1%ポイントの上昇に留まった。
平均時給は前月比+0.2%、前年比+3.0%(予想:+0.3%、+3.0%)であった。総じて強い内容の雇用統計となりドルが上昇。
その後、米10月ISM製造業景況指数が48.3と予想(48.9)を下回るとドルは反落したが、米通商代表部(USTR)が「米中は、貿易を巡り建設的な協議を行った」と発表したのに続いて中国商務省も「米国との電話協議で原則コンセンサスに達した」と発表すると再び上昇した。

5日
「トランプ米政権は、9月1日に発動した対中関税を撤廃するかどうか議論している」との英紙報道が伝わり、米中通商協議の進展期待がさらに高まると円安が進行。その後、米10月ISM非製造業景況指数は54.7と、予想(53.5)を上回り、約3年ぶりの低水準だった前回(52.6)から持ち直した。これを受けてドル/円は109円台を回復した。

13日
米10月消費者物価指数は前月比+0.4%、前年比+1.8%と予想(+0.3%、+1.7%)を上回ったが、コア指数は前年比+2.3%と予想(+2.4%)を下回る伸びに留まった。その後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言の原稿が公表され「景気に関する最新情報がわれわれの見通しとおおむね一致する状況が続く限り、現在の金融政策スタンスが適切であり続ける公算が大きい」「ただし、この見通しに対し留意すべきリスクは残る」などとする見解が明らかになった。ただ、これまでの見解と相違なく新味に乏しい内容であり、市場の反応は限られた。

15日
クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、第1段階の米中通商合意に関して「米国側は現在毎日彼らと連絡を取っている」とした上で「我々は取りまとめに近づいている」と発言。ロス米商務長官も「米中は通商協議でほぼ確実に合意するだろう」と述べた。
その後、米10月小売売上高は前月比+0.3%と予想(+0.2%)を上回る伸びとなったが、自動車を除いた売上高は前月比+0.2%と予想(+0.4%)を下回った。また、米10月鉱工業生産は前月比-0.8%と予想(-0.4%)を下回った。

20日
米上院は、「香港人権・民主主義法案」を賛成多数で可決。同法案は、香港に高度な自治を認めた「一国二制度」が、中国政府によって損なわれていないか検証し、抑圧に関わった中国の当局者への制裁を可能にする内容。これに対し中国は「米国が香港人権法案を成立させれば必ず報復する」と表明して米国を強くけん制。米中の対立がより深まれば通商協議の「第1段階」の合意が遠退くとの見方からリスク回避の円買いが強まった。

27日
米7-9月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比年率+2.1%に上方修正(速報値:+1.9%)され、予想(+1.9%)を上回った。同個人消費も前期比+2.9%と予想(+2.8%)を上回った。その他、米10月耐久財受注は前月比+0.6%と予想(-0.9%)に反して増加。変動の大きい輸送用機器を除いた耐久財受注も+0.6%と予想(+0.1%)を上回った。
また、米新規失業保険申請件数は21.3万件と予想(22.1万件)を下回り、前週(22.8万件)から大きく改善。一連の米経済指標が揃って好結果となった事からドル買いが強まった。なお、その後発表された米10月個人消費支出(PCE)は前月比+0.3%と予想通りの伸びとなり、同PCE・コア価格指数(デフレーター)は前年比+1.6%と予想(+1.7%)を下回った。
一連の米経済指標を好感した動きで米国株が続伸する中、ドル/円は5月31日以来、約半年ぶりに109.60円台を回復。

11月の各市場

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11月のドル/円ポジション動向

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12月の日・米注目イベント

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ドル/円 12月の見通し

 12月のドル/円相場は、日米ともに金融政策の変更が見込まれない中、引き続き米中通商問題の行方が最大のテーマとなる公算が大きい。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)中に行われる予定だった米中首脳会談は、APEC自体の中止もあって延期となり、現時点で開催のメドは立っていない。中国メディアによれば、中国側は第1段階の米中通商合意の一環として、米国に12月15日の対中関税発動を停止するだけでなく既存関税の撤廃を求めているとされる。米国はこれに難色を示している模様で、通商合意は越年の可能性があるとの事。合意後ずれ観測はドル/円の上値を抑える事になろうが、両国の対立が鮮明化しない限り、大きく下押しする展開にはならないだろう。

 仮に、年内に合意が纏まるようなら(合意内容にもよるが)、ドル/円は110円台を回復しての上伸が見込めそうだ。それでも、余程の事がなければ年初来高値(112.40円前後)の更新は困難と見られ、今年のドル/円相場は年間の値幅が1973年の変動相場制移行後で最小となる公算が大きい。
 
なお、今年のドル/円の値動きは104.44~112.40円前後で値幅は8円弱に留まっており、これまでの最小値幅記録である昨年の10円前後を下回る可能性が高い。(神田)

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

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ユーロ/円 11月の推移

 11月のユーロ/円相場は119.251~121.296円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.1%の小幅高(ユーロ高・円安)となった。「ほぼ横ばい」と言っても差し支えない展開で、月間の値幅も2円程度に留まる小動きだった。
 11月のユーロは独自材料に乏しく、「合意なき英国の欧州連合(EU)離脱」の可能性が低下したポンドや、米経済指標に良好な結果が目立ったドルに対して下落した一方、豪中銀(RBA)の利下げ観測などが重しとなった豪ドルに対しては上昇するなどマチマチの動きであり、ユーロ/円も総じて方向感に乏しい値動きだった。

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5日
「トランプ米政権は、9月1日に発動した対中関税(1120億ドル相当の製品に15%課税)を撤廃するかどうか議論している」との英紙報道が伝わり、米中通商協議の進展期待がさらに高まるとユーロ高・円安が進行。ただ、米10月ISM非製造業景況指数の好結果を受けてドルが買われる中、ユーロ/ドルが下落したためユーロ/円は伸び悩んだ。

6日
独9月製造業受注は前月比+1.3%と、予想(+0.1%)を大幅に上回る伸びを示現。
その後、独10月サービス業PMI・改定値も51.6と予想を上回り速報値(いずれも51.2)から上方修正された。これらを背景にユーロが小幅に上昇した。
しかし、「米中の『第1段階』の通商合意の署名が12月にずれ込む可能性がある」とする米政府高官の発言が伝わると、円買いが強まりユーロ/円は反落した。

12日
独11月ZEW景況感指数(期待指数)は-2.1と、市場予想(-13.0)を上回り前回(-22.8)から大幅に改善した。しかし、ユーロの反応は限定的で、独長期金利の低下などを重しに弱含みの展開となった。

13日
米中通商協議への期待が後退した事や、香港の反政府デモに収束の兆しが見えない事を嫌気して欧州株が軟化。独・仏長期金利の低下に連れてユーロ/円は弱含んだ。ユーロ圏9月鉱工業生産は前月比+0.1%となり、予想(-0.2%)に反して増加したものの支援材料にはならなかった。

14日
独7-9月期GDP・速報値は前期比+0.1%と予想(-0.1%)に反して増加。2四半期連続でのマイナス成長は回避した。ただ、ユーロの反応は一時的だった。なお、その後に発表されたユーロ圏7-9月期GDP・改定値は速報値と変わらず前期比+0.2%のままだった。

18日
前週末に発表された英総選挙に絡む世論調査でジョンソン首相率いる保守党のリードが拡大した事などを背景にポンドが上昇するとユーロも連れて上昇。ただ、「中国政府は米国との通商協議に悲観的」とする米メディア記者のツイートをきっかけに円が急上昇したため上げ幅を縮小した。

22日
ラガルド欧州中銀(ECB)総裁は講演で「我々の金融政策に対する副作用を引き続き注視する」「経済が回復している間は緩和的な政策スタンスが主な原動力となる」 「ECBの戦略見直しを近い将来開始する予定」などと発言したものの、ユーロの反応は限定的。
その後、独11月製造業PMI・速報値は43.8と予想(42.8)を上回った反面、同サービス業は51.3と予想(52.0)に反して前回(51.6)から低下。ユーロ圏でも製造業PMIは46.6と予想(46.4)を小幅に上回った一方、同サービス業は51.5と予想(52.4)に反して前回(52.2)から悪化した。
これを受けてユーロは弱含んだ。

25日
独11月Ifo景況感指数(期待指数)は92.1と予想(92.5)には届かなかったが、4カ月ぶりの水準に上昇した。

11月の各市場

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11月のユーロ/円ポジション動向

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12月のユーロ圏注目イベント

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ユーロ/円 12月の見通し

12月のユーロ相場は、11月に続き方向感を欠く展開となりそうだ。域内最大の大国ドイツを中心に、製造業企業の景況感が底入れしつつある点や、財政拡張への期待が高まっている事などから欧州中銀(ECB)の追加緩和期待は後退している。
英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る不透明感が後退している事もユーロの支援材料だ。ただし、米ドルの上昇がユーロ相場にとって最大の重しとなる構図にも変化はなさそうだ。

米国景気が底堅く推移する中、連邦準備制度理事会(FRB)は利下げ休止を明確に打ち出しており、「年末のドル需要」も相まって米ドルが全面的に下落する展開は想定しづらい。ユーロ/ドルの上昇が見込みにくい中では、円安主導でのユーロ/円の上昇も期待しにくい。

12月のユーロ/円相場は「下値は堅いが上値も重い」展開が見込まれる。
11月安値の119.25円前後が下値支持となる公算の一方、12月中に122.00円前後への下降が想定される52週移動平均線が上値抵抗となりそうだ。(神田)

 

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