(1)
独8月鉱工業生産が前月比+0.3%と予想(±0.0%)を上回ると一時ユーロが買われた。
(2)
前日に、米国が中国企業8社を人権侵害の疑いで「ブラックリスト」に掲載した事について、中国外務省が「強く反対」するとした上で、報復措置に「乞うご期待」と表明。これを受けて10-11日の米中閣僚級通商協議の進展期待が薄れると欧州株が下落。円が全面的に強含んだ。
(3)
ジョンソン英首相がメルケル独首相に対し、英領北アイルランドが欧州連合(EU)の関税同盟に留まる事をEUが求めるならば「離脱を巡る合意は本質的に不可能だ」と述べた事が報じられるとポンド売りが活発化した。なお、その後トゥスクEU大統領は「合意も望まない、延長も希望しない、取り消しも否定。あなたはどこへ行こうとしているのか」とジョンソン英首相を非難した。
(4)
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、短期金融市場の混乱再発防止に向けて、財務省証券の購入を再開する方針を発表。ただし、「これは量的緩和(QE)ではない、技術的な問題だ」として金融緩和措置ではない事を強調した。なお、金融政策については、事前に設定されたコースはないとした上で「FRBは適切に行動する」と述べるに留めた。
(5)
米国務省は、中国・新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒らの弾圧に関与した中国当局者へのビザ発給を制限すると発表。米中閣僚級通商協議を前に両国の対立が深まるとの懸念が広がり、米国株が下げ幅を拡大する中、円買いが強まった。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は、米中貿易問題を巡る楽観的な見方が後退する中、小幅に下落した。米国が複数の中国企業を人権侵害の疑いで「ブラックリスト」に掲載した事について、中国外務省が報復措置に「乞うご期待」と表明。これを受けて欧州株は下落したが、ドル/円の下値は106.80円前後に留まった。NY市場でも、米国が中国・新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の弾圧に関与した中国当局者へのビザ発給を制限すると発表した事などから米国株が値下がりしたが、107円割れの水準では底堅く推移した。リスク回避局面ではドルが強含む傾向(円以外の通貨に対して)にあるが、昨日も対ポンドを中心にドル高が進行しており、こうした動きがドル/円の下値を支えたと見られる。
本日のドル/円は、米中通商協議の進展に対する期待が薄れた事で上値の重い展開が見込まれるが、ドルの底堅さも考慮すると107.00円を挟んだもみ合いの展開になりやすいと考えられる。ただ、米中通商問題に絡む観測報道の「ヘッドライン・リスク」には引き続き警戒が必要だろう。