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内藤忍が直言「ストックじゃなくフローが大事!『2000万円問題』は、これで簡単解決!!」(前編)

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日本人はとかくお金の話を嫌う。借金して高価なモノを買った人のことを、「もってのほかだ」と批判するのに、住宅ローンを組み、マイホームを買った人には、「おめでとう」と言って祝福する。向こう35年間、環境が変化することなく、安定的に働き続けられる保証も、まったくないのに。こうしたお金に対する“倒錯”した価値観にとらわれているせいなのか、日本中に大きな波紋を広げた老後資金「2000万円問題」では、解決の糸口すら見いだせず、戸惑いながら、右往左往するばかりだ。

どうすれば、お金のことで、未来におびえなくて済むのか、稼いだお金をどのように使えば、豊かな生活を送ることができるのか。『内藤忍の資産設計塾(豊かな人生に必要なお金を手に入れる方法)』など数々の著書を通じて、未来に備える資産づくりを提唱し、早稲田大学や明治大学などでも、社会人を相手に資産運用に関する講義を長年行ってきた内藤忍氏に話を聞いてみた。

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「2000万円問題」があぶり出した日本人の弱点

PickUp編集部:
最近、「2000万円問題」(95歳まで生きた場合に老後資金が約2000万円不足するとした金融庁報告書をめぐる問題)が大きな話題となりました。参院選の直前だったこともあり、国会での与野党の議論は紛糾し、連日テレビや新聞で大きく報道され、お金との付き合い方について、改めて考えた人も多かったようです。
内藤:
確かに「2000万円問題」は、多くの人がお金に対して興味を持つきっかけとなりました。これまで「資産運用しましょう」と言っても、まったく動かなかったような人たちが、「2000万円」という具体的な数字が出てきたことで、初めて「自分事」としてとらえ始めたのは、いいことだと思います。ただ、野党の政治家やマスコミは、いたずらに不安を煽るだけで、解決のための処方せんを示せていません。正しい情報や知識を提供して、実際の行動に移してもらうことが重要です。
PickUp編集部:
「2000万円問題」のなにが問題なのでしょうか?
内藤:
まず、「2000万円」という数字に、まったく意味がありません。毎月5万円が足りないから 年間60万円、30年間で1800万円が不足するというだけです。お金がいくら必要になるかは、そもそも個人差があるのです。2000万円で老後の不安が解消する人なんて、むしろ少数派で、実際は4000万円から5000万円程度が必要になる人たちが多数派でしょう。老後にいくら資金が必要になるのかを考えて、どうやって資産形成するのか。つまりゴールを設定することが、問題解決への一歩です。「2000万円」という数字で、“オロオロ”している人は、旅行に行くのに、「北海道に行きたい」のか、それとも「沖縄に行きたい」のか、行き先も決めずに、ただ「とりあえずどこか遠くに行きたい」と、そして「お金がいくらかかるか不安」と言っているようなものです。

2000万円では問題解決しない

PickUp編集部:
どこに行きたいのかを明確にしないと始まらないと。
内藤:
行きたい場所に到達するために、リスクをいちばん小さくして、確実性を高めるにはどういう方法があるか、二段構えでやらないといけません。目標を2000万円に設定すると間違った話になってしまいます。
PickUp編集部:
この問題を突破するには、どのような考え方が必要になるのでしょうか?
内藤:
もしあなたが2000万円を持っていても、将来の不安は絶対に解消しません。1億円を持っていても、2億円を持っていても、おそらく解決しないでしょう。なぜかというと、お金は使うと減るからです。どんどんと減っていくお金を見て、安心する人なんて、絶対にいないですよね。
PickUp編集部:
内藤さんは、以前『60歳までに1億円つくる術 25歳ゼロ、30歳100万、40歳600万から始める』という著書を出されていますが、「お金は持っているだけではダメだ」ということですか?
内藤:
「1億円あれば老後は安心かな」と思って、そのときは本を書いたんですが、その後いろいろと考えると、お金を使い切って、死ぬことができればいいですが、そんな器用な人はいませんよね。しかも、医療技術がどんどん進歩していて、がんも治る病気となり、平均寿命もいずれは100歳に近づくでしょう。結局、「長生きリスク」が高まると、ストックだけで論じていてはダメで、やはりフローをつくる必要があると気がついたんです。

ストックよりもフロー

PickUp編集部:
「ストックよりフロー」が「2000万円問題」に対する「最適解」ということですね。
内藤:
そう。セミナーや講演会で、60歳に1億円もらうのと、60歳から死ぬまで毎月30万円もらうのではどちらがいいかを尋ねたら、圧倒的に多くの人が、毎月30万円を選びます。1億円貯めて、その後まったく収入がないよりも、貯金はゼロでも、毎月30万円入ってくる仕組みを作ることのほうが、価値が高く、老後の不安が消えるのでしょう。

私が親しくしている80代の年金生活者は、相続した4000万円のうち、1000万円を個人向け国債にしていたんです。当時の金利は0.05%。月に350円程度にしかならず、元金には手をつけずに、年金だけで暮らしていました。そこで。私が半ば強引に、4000万円の都心の投資用不動産を買わせたんです。堅めに利回りが4%としても、単純計算で年に160万円、月13万円が入ってくるようになりました。今月使い切っても、翌月には、また13万円入ってきます。年金にプラスして13万円がほぼ永久に入ってくるようになったら、老後の不安がまったくなくなったというんです。最初は「危ない」「騙される」「火事になったら困る」と、不動産投資を嫌がっていましたが、今では「お金は使わないともったいない」という考えに変わったようです。 貯金を取り崩して老後を生きるのではなく、フローをつくる方向に考え方を変えないと、不安は消えないでしょう。逆に、それさえあれば、不安は消せるというわけです。

日本人の「3つの間違い」

PickUp編集部:
日本人はマネーリテラシーが低いという指摘があります。
内藤:
私は3つ「間違い」があると思っています。まず、お金自体に対してネガティブな価値観で凝り固まっていること。続いて「お金もうけは悪いこと」と思い込んでいること。汗水たらして働くのは尊いけれど、投資や資産形成的なもので稼ぐのは悪いことだという。最後は「借金は悪」という固定観念です。

お金は、決して汚いものではありません。人生の夢や目標を実現するための大切な手段です。そして投資は、決して人のカネを左から右に動かしたり、あぶく銭をつかんだりすることではなく、企業の成長をお金の面でサポートする存在と考えれば、決して悪いことではありません。サポートした会社の経営が上手くいけば、その会社の評価が上がり、配当とか、値上がり益とかが、リターンとして入ってくるのです。これは悪いことなのでしょうか。
PickUp編集部:
借金についてはどうお考えですか?
内藤:
借金には「いい借金」と「悪い借金」があります。いい借金というのは、投資のための借金です。これに対して、悪い借金というのは、消費のための借金です。日本人って、肝心なところで逆に考えるんです。例えば、友達がマイホームを買ったというと「おめでとう」と言います。ところが、不動産投資を始めたと聞くと「大丈夫?」って言いませんか? マイホームを買ったら、会社で稼いだお金から源泉徴収された手取りで、毎月ローンを払うことになります。リストラされず、健康なまま、35年も働き続けなければならないことに、不安はないのでしょうか。しかも完済したとき、手元に残るのは築35年の古びた家だけです。

ワンルームマンションで不動産投資を始めたら、家賃が8万円でローン返済が6万円だったら2万円手取りの収入が増えるわけだから、それこそ本当に、不労所得が入って「おめでとう」じゃないですか。
PickUp編集部:
マイホームに関して、日本人は独特の考え方がありますよね。
内藤:
多くの人の間に「マイホームを買うと幸せになれる」という思い込みがあるように思います。確かに、郊外の一戸建てを買ったら、土地の値段が上がって高く売れたという時代がありました。高度経済成長期はインフレだったからです。しかし、今はマイホームなんか買ったら、都心物件ならまだしも、地方や郊外の一戸建てなどは、価値が下がるだけです。しかも、住宅ローンは自分が働いて稼いだお金から返済しています。不動産投資の場合は、入居者が払ってくれる家賃で返すだけでなく、手元に残ったお金は自分がもらっていいわけです。どう考えても、こっちのリスクのほうが小さいですよ。

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初めて借金したのは5年前

PickUp編集部:
いい借金、悪い借金の真実に気づいたきっかけは?
内藤:
5年ほど前に日本で投資用不動産を初めて買いました。実は、私もそれまでは、「借金は悪いこと」という考えでした。金利を払うのも損だと思っていて、マイホームもキャッシュで買ったくらいです。生まれてからの50年間で、お金を借りたことは一度もありませんでした。ところが、2000万円のワンルームマンションを買ってみて、お金が動き始めた瞬間に、今までの思い込みが、ガラスが砕けるようになくなりました。「なるほど、他人のお金を使ってお金をつくるってこういうことなのか」と思ったんです。
PickUp編集部:
わずか5年前とは驚きです。
内藤:
ええ、それまでは年会費が13万円もするクレジットカードを持つことに対しても「馬鹿じゃないの?」と思っていました。でも、そのカードを使うとポイントがたまってて、30万円分の航空券がタダでもらえることもあります。13万円を払って、30万円分のサービスを手に入れるほうが、年会費無料のカードを使って、なにも手に入れないことよりも得でしょ。借金することで、もっと大きなメリットがあり、リスクを取る価値があるなら、やったほうがいいわけで、「1円でも支出をすることは損だ」って、端からみんな思い込んでいるんです。節約するのはいいですが、同時に機会まで失っているかもしれないという発想を、日本の学校教育は教えないんですよ。

借金は多いほうがいい?!

PickUp編集部:
現在は、どれくらい借り入れて運用されているのでしょうか?
内藤:
正確には覚えてないですね。今週もまた都内の中古ワンルームマンションを10戸買いましたから、10億円くらいですかね。借金はどんどん増えていますが、そのほうが安心なんです。
PickUp編集部:
えっ、どういうことですか?借金が増えることが安心なんですか?
内藤:
話が飛躍しているように思われるかもしれませんが、今、日本政府は60兆円しか税収がないのに、1000兆円の借金があります。正直、これはもう絶対に返すことができない金額ですよ。やや単純化していますが、個人レベルに当てはめると、年収600万円の人が1億円を借りている状況です。これはもう、インフレしか解決する手段はありません。インフレで解決されるとすると、その時一番得をするのは、お金を借りている人なんです。つまり、国と同じポジションを取ればいいんです。年収600万円の人なら1億円借りておく。そうすれば、「国が逝くときには、自分も一緒に逝くだけです」(笑)。

1億円を借りて、1億円分の不動産を持っていたら、インフレで物価が10倍になったとき、1億円の不動産は10億円にならないまでも、間違いなく価値は上がります。一方の借金は、物価がどうなっても1億円のままなんです。このように、お金を借りてる人はインフレになると得をします。もはや国の財政赤字はインフレ以外に解決はできず、日銀は2%を超えるインフレになるまで、マイナス金利政策はやめないと宣言しています。ということは、インフレになるまでは家賃の利回りと借入金利の差(イールドギャップ)で、ずっともうけることができます。金利差を享受して、インフレになるのを待ちながら、インフレになった瞬間に、借金は帳消しになる。不動産投資というのは、このように負けにくい資産運用なんです。最悪のシナリオは、現金や定期預金で資産を持っていて、インフレで紙くずになってしまうことでしょう。


(後編に続く)

PickUp編集部

長年、アセットアロケーションによる資産運用を提唱し、金融のプロとして広く知られる内藤忍氏が、金融資産のみならず、不動産という実物投資を始めたことを、資産運用に関心を持たれている人たちの多くが、多少なりとも驚きを持って受け止めたのではないでしょうか。前編では、お金に対する考え方や不動産投資を始めるきっかけなどを伺いました。
次回では、投資対象となる資産別に具体的な運用方法などについても伺います。FXについても詳細に語って頂きました。ご期待ください。

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内藤忍
1964年生まれ。東京大学経済学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院卒(MBA)。大手信託銀行、外資系資産運用会社勤務を経て、1999年にマネックス証券株式会社の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長などを経て、株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長を務める。著作は『内藤忍の資産設計塾』『初めての人のための資産運用ガイド』など40冊を超える。 早稲田大学、明治大学、丸の内朝大学などで、資産運用に関する講座を開講。 毎週金曜日に配信する無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」は購読者47000名の人気。ワインバー「SHINOBY’S BAR 銀座」のオーナーとしての顔も持つ。

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『10万円から始める! 貯金金額別 初めての人のための資産運用ガイド 』
著者:内藤忍 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日2015年6月25日

「投資は危ない、怖い」というようなイメージを持つ人がいますが、本当にそうでしょうか?そうした思い込みだけで、資産運用をせず、すべて銀行に預金している人もいますが、本当にそれでいいのでしょうか?実は、あなたの大切なお金を、長い時間をかけて、より安全に、じっくりと育てる方法があるのです。本書では、0万円・100万円・500万円・1000万円と、あなたが用意できる金額別に適切な資産運用方法を紹介しています。初心者が、投資のイロハを学ぶために役立つ一冊です。