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【2026年ドル円見通し】夏に160円再突破はあるか?4人のプロが読む円安継続と介入警戒 2026年5月20日

 

ゴールデンウィーク明けの為替市場は、為替介入と見られる動きが複数回確認されるなど、神経質な値動きが続いています。果たして夏に向けてドル円相場はどう動くのか?また注目のゴールドやスイスフランの行方は?日々マーケットを追うアナリスト4名が、それぞれの見通しと注目ポイントを解説しています。

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宇栄原アナリストの見通し

●2026年夏までのドル円見通し

・160円〜170円の4月高値を再チャレンジする展開を予想
・155円台が下値サポートとして機能しており、底堅い状態が継続
・ファンダメンタルズ面からドル買い・円売りが入りやすい環境

●注目ポイント

・イラン情勢を背景とした原油価格の高止まりが円売り要因に
・為替介入警戒感による上値抑制は一時的と判断
・時間の経過とともに介入警戒感が和らぎ、再び上昇方向へ
・6月のFOMCでパウエル議長がタカ派発言を示した場合、一段のドル高円安へ

●日銀の利上げ見通し

・6月もしくは7月に利上げの可能性が高い(7月は約9割の折り込み)
・ただし0.25%の利上げでも政策金利は1%、実質金利はマイナスのまま
・イラン情勢による景気悪化懸念から、連続利上げは困難と判断

●注目銘柄:ゴールド

ゴールド:4,000ドル台後半で伸び悩み

・中東情勢次第で再び5,000ドル突破も視野に
・中央銀行による金購入が続いており、下値は非常に底堅い
・イラン情勢が落ち着けば上値を試す展開、長引けば横ばい推移

中村アナリストの見通し

●2026年夏までのドル円見通し

・基本的にはドル高トレンドは変わらないと判断
・現在158円手前で上値を抑えられているが、政府・日銀による介入を無制限にやり続けることはできない
・介入を続けることで「弾切れ」が見えてくると、むしろ円売り圧力が強まるリスク
・介入余地はあと少しと判断しており、近々158円の壁を突破して再び160円を目指す展開を予想
・極端なシナリオでは162円まで上昇の可能性、逆に円高になっても154〜155円が限度とみる

●日銀・FRBの動向

・日銀審議委員のタカ派発言が増加しており、4月の金融政策決定会合でも3名が利上げを主張
・ただし日銀が利上げしてもドル円相場への影響は限定的とみる
・昨年はFRBが利下げ、日銀が2回利上げしたにもかかわらずドル円は円安で終わった
・現在FRBもイラン情勢を受けた原油上昇と米国内のインフレ加速から、次は利上げに動かざるを得ないとの見方が台頭
・夏までのFRB利上げは可能性低いが、年内1〜2回の利上げ可能性が出てきており、金利差の面から円が買われにくい状況が続く

●注目通貨:ユーロ/スイスフラン

・スイスフランの値動きはスイス国立銀行(SNB)が対ユーロを最も意識
・2022年以降、SNBはスイスフラン高をある程度容認する姿勢へ転換
・1ユーロ=0.9〜1.0フランを目安としたレンジが続く見込み
・0.9割れのフラン高局面ではSNBが介入し、値が反発しやすい
・落ち着いた値動きが見込まれる通貨ペアとして個人的に注目

黒川アナリストの見通し

●2026年8月までのドル円見通し

・根強い日米金利差による円安圧力と本邦当局の断続的な介入、地政学的リスクに伴う原油価格の動向が3つのドライバーとなり、150円台を中心とした神経質なレンジ相場が続くと予想
・特に直近5月上旬、160円台到達を受け政府・日銀による5兆円規模の円買い介入が観測されており、8月に向けても160円が極めて強固な防衛ラインとして意識されている

●注目ポイント:3つのドライバー

① 金融政策

金融政策:日米金利差の縮小は緩慢

・FRBは2026年中、インフレの粘着性と雇用統計の底堅さから利下げペースは年1〜2回程度と極めて緩やかと予想
・FRB議長交代に伴う政策不透明感もドルの下支え要因
・日銀は展望レポートで2026年度の物価見通しを上方修正しており追加利上げの可能性は残るが、JGB(日本国債)市場の混乱を避けるため急速な引き締めは困難
・結果として大幅な日米金利差縮小には至らないと判断

② 本邦当局による介入警戒

本邦当局の介入警戒

・160円が絶対防衛ラインとして強く意識されている
・GW明けに155〜158円台での攻防が継続、当局はボラティリティの抑制を名目に断続的な介入を実施
・財務省は為替市場と原油市場を合わせた介入を示唆する新手法の可能性もあり
・8月に向けて市場との心理戦が続く可能性が高い

③ イラン情勢と原油価格

イラン情勢と原油高が円安の二次的要因に

・エネルギー自給率の低い日本にとって、原油高は輸入物価の上昇=実質的な円売り要因
・ホルムズ海峡の緊張継続がインフレ圧力を高め、円安材料に

●注目通貨:スイスフラン/トルコリラ

・4月27日より外為どっとコムで取り扱い開始した新通貨ペア
・トルコ中銀は4月22日の会合で政策金利を37%に据え置き
・引き締めスタンスを継続し、インフレ目標達成を最優先とするスタンス
・年末にかけて高い金利を維持する姿勢が続くと予想
・スワップポイントが引き続き付与される可能性が高い
・イラン情勢が落ち着いた場合、スイスフラン売りが進行しスポットでも利益が出る可能性

●トルコリラのリスク要因

トルコリラ:2026年末のシナリオ

・中東情勢の緊迫化により原油価格が上昇すると、エネルギーを輸入するトルコにとってインフレ悪化と経常赤字拡大につながりリラ圧力が強まる可能性
・外貨準備高の減少による市場信頼の低下リスク
・大統領が刺激策のために早期利下げを求めるような政治的な動きが見られると、中銀独立性への懸念からリラ急落リスクが高まる

●スイス国立銀行(SNB)の現状

スイス中銀のスタンス

・2026年3月の定例理事会で政策金利を0%に据え置き(2025年6月以来4回連続)
・中東情勢の緊迫化に伴う安全資産としてのスイスフラン買いを強く警戒
・フラン高が進行すると輸出産業へのダメージや輸入物価の下落圧力が強まるため、必要に応じて外国市場で積極的に介入する姿勢
・年末まで政策金利0%据え置きが続く可能性が高い

神田アナリストの見通し

●2026年夏〜年内のドル円見通し

・年内に一度170円に達する可能性がある一方、150円を下回る公算は小さい
・夏までは介入観測から165円超えは難しい局面もあるが、介入への抵抗感が上値を抑える分だけ下値も硬くなる
・いずれは160円を超えてくる可能性がある
・極端なシナリオでは162円まで上昇する可能性も、逆に円高になっても154〜155円が限度とみる

●円高になりにくい構造的要因

①実需面(貿易収支・資本流出)

・デジタル赤字が継続し、貿易収支の改善を圧迫
・中国政府の訪日自粛勧告でインバウンドが頭打ちとなり、輸出(サービス収支)の改善が限定的
・新NISAを通じた個人の海外証券投資が高水準を維持(イラン戦争発生の3月でさえ途切れなかった)
・日本企業による海外M&Aへの意欲が旺盛(日本製鉄によるUSスチール買収案件等)
・政府マネーもトランプ大統領への5,500億ドル規模の対米投資として海外へ(第2弾・第3弾も決まりつつある)
・経常収支の黒字のほとんどが第一次所得収支(海外投資からの配当・利子)で、国内に還流せず再投資されるため実質的な円買いが発生しない

②インフレ・原油高の影響

・3月以降のイラン戦争勃発でWTI原油が1バレル100ドルを突破
・2025年平均が71ドル前後だったことと比較しても、貿易赤字再転落リスクは高い

③日銀の利上げでも円高にならない理由

・2025年に日銀が2回利上げ・FRBが3回利下げで日米金利差が1.25%縮小したにも関わらず、ドル円は円高にならなかった
・6月もしくは7月の利上げは市場に折り込み済みで、次回利上げは11〜12月先との見方が優勢
・折り込み済みの利上げかつ低頻度では円高材料にはなりにくい
・政府は早期利上げを望んでおらず、秋の臨時国会に消費減税法案を提出する考えも示しており、財政懸念が再燃すると円売り材料になるリスク

●円高になるシナリオ

・日銀の政策金利が2%以上へ引き上げられるという観測が台頭した場合
・半導体輸出の飛躍的な拡大によるAIブーム恩恵で貿易収支が黒字化した場合

●為替介入について

・ゴールデンウィークに複数回に分けて円買い介入が実施されたとみられる
・160円での介入が繰り返されると、市場が「防衛ライン=160円」と見なし、逆に介入効果が低下するリスク
・自国通貨介入は永続できないため、防衛ラインは機能しないと考えるべき
・スイスショック(2015年)の事例のように、理論上無制限に介入できるスイスでさえ最終的には破綻した
・外貨準備の範囲内での通貨介入には防衛ラインが実質的に存在しない

●注目通貨:メキシコペソ/円

・メキシコ中銀が5月の理事会で利下げサイクルの打ち止めを示唆
・政策金利6.5%という高金利が維持される見通しで、ペソ買いのタイミングとして有望
・円が強くなる理由が見つけにくい環境下で、ペソ高・円安を狙う戦略は有効

●USMCAの見直しリスク

・2020年7月発効の米・加・墨貿易協定が発効6年目の今年、見直し時期を迎える
・トランプ政権が中国製品のメキシコ経由の迂回輸出(バックドア問題)を強く問題視し、USMCAは不要とまで発言
・7月1日が見直し期限で、協議の過程でペソが一時的に売られる局面に注意
・トランプ政権の常套手段として、まず厳しい条件を打ち出してから段階的にハードルを下げ合意に持ち込む展開も想定
・最悪の場合、協定消滅によってメキシコの輸出優遇措置がなくなるリスクあり

2026年夏ドル円見通しまとめ

・宇栄原アナリスト:155〜170円/ドル高・円安継続、160円の4月高値再チャレンジ
・中村アナリスト:150円台中心/神経質なレンジ相場、160円は絶対防衛ライン
・黒川アナリスト:150円台中心/神経質なレンジ相場、160円は極めて強固な防衛ライン
・神田アナリスト:150〜170円(162円も視野)/円安継続、いずれ160円超えの可能性

4名とも大幅な円高への転換は想定しにくいとの見解で一致。ただし為替介入警戒、日米金融政策の方向性、イラン情勢・原油価格の動向が引き続き相場を左右する重要な変数となります。

 
kanda.jpg 外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
nakamura.jpg 外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
uehara.jpg 外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
kurokawa.jpg 外為どっとコム総合研究所
黒川健(くろかわ・たける)
米国Capital Market Services LLCニューヨーク本社および上田ハーロー株式会社でカバーディーラー、プロップディーラーを約20年間務める。2021年9月(株)外為どっとコム総合研究所入社後は、テクニカル分析、ファンダメンタル情報を配信している。
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