
<第198回> 2025年11月29日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2025年11月21日(金)13:00~2025年11月25日(火)24:00
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は 489 件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。

「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が58.3%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は19.4%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は△38.9%ポイントと前月の△7.4%ポイントからプラス幅が大きく拡大した。
調査期間前後の米ドル/円相場は、156円台を中心とした値動きとなった。11月20日に157.89円前後と1月15日以来の高値を付けた後だけに、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測などから伸び悩んだが、高市政権による積極財政への懸念を背景に円売り地合いは続いている。そうしたことから米ドル高・円安が続くと見る個人投資家が増えているのだろう。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が165.00円、最安値が143.00円となり、高値の平均値は158.62円、安値の平均値は152.77円であった。高値の中央値は159.00円、安値の中央値は154.00円だった。前月調査時(最終日)から実勢レートは4円ほど切り上がったのに沿って高値・安値の予想中央値は6~7円程度、米ドル高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、54.8%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は18.2%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は△36.6%ポイントと前月の△8.3%ポイントからプラス幅が大きく拡大した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、史上最高値を更新する展開。積極財政や金融緩和維持を志向すると見られる高市政権を意識した円売り地合いが続く中で11月20日に一時182円台へ上昇した。その後は、政府・日銀による為替介入が警戒され伸び悩んだが、個人投資家は円売りの流れが続くと見ているようだ。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が195.00円、最安値が160.00円となり、高値の平均値は183.17円、安値の平均値は176.75円であった。高値の中央値は182.75円、安値の中央値は178.00円であった。実勢レートが前月調査時(最終日)から4.3円ほど切り上がった動きに沿って、高値・安値の予想中央値が5~5.5円程度、ユーロ高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、48.3%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は17.2%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△31.1%ポイントと前月の△6.7%ポイントからプラス幅が大きく拡大した。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、昨年7月以来の高値を更新。円安地合いが続く中、12月米連邦公開市場委員会(FOMC)における利下げ観測が高まったことで米国株をはじめとした株価指数が上昇。こうしたことが後押しとなり一時102.49円前後まで上値を切り上げた。明確な上昇基調にあるとの見方から個人投資家は豪ドル高・円安予想を強めているようだ。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が110.00円、最安値が90.00円となり、高値の平均値は102.87円、安値の平均値は98.72円であった。高値の中央値は102.50円、安値の中央値は99.10円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートが2.5円ほど切り上がったのに沿って、高値の予想中央値は2.5~3円程度、豪ドル高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、49.9%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は19.0%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△30.9%ポイントとなり、前月の△14.7%ポイントからプラス幅が大きく拡大した。
調査期間前後の英ポンド/円相場は、207円台へ上昇して昨年7月以来の高値を更新。高市政権による積極財政への懸念がくすぶる中で円売り地合いが続いている。11月26日の英政府による予算案の発表を警戒する動きもあったが、個人投資家は円安主導の英ポンド高地合いが続くと見ているようだ。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が215.00円、最安値が185.00円となり、高値の平均値は206.70円、安値の平均値は200.73円であった。高値の中央値は206.50円、安値の中央値は201.90円だった。前月調査(最終日)と比べ実勢レートが2.5円ほど切り上がったのに沿って高値・安値の予想中央値は1.5~4円程度、英ポンド高・円安にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか

今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が39.1%で最も多かった。次いで「円」が21.7%、以下「ユーロ(11.7%)」、「トルコリラ(10.0%)」、「メキシコペソ(4.5%)」、「スイスフラン(3.9%)」と続いた。「米ドル」は2カ月ぶりに首位を奪回。回答割合も前回の32.0%から上昇した。2位の「円」は前回の33.6%から回答割合が低下し首位を「米ドル」に譲った。「米ドル」を最も買いたい理由として、「基軸通貨(という信頼性)」、「高金利通貨(の魅力)」などが挙げられた。そのほか「FOMCは利下げに消極的」との回答や「米経済は堅調」との声もあった。2位の「円」については「円安が行き過ぎているので反動が出る」との意見や「日銀の利上げ」、「政府・日銀による円買い介入」が円相場を押し上げるとの見方もあった。3位の「ユーロ」については「(円や米ドルなどの)主要通貨が弱いため相対的に買われる」との見方や「ウクライナ戦争が終結する」との意見も出ていた。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか

問5とは反対に、今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」が54.0%と最も多く、「米ドル」が21.9%で続いた。以下、「中国人民元(6.3%)」、「ユーロ(3.9%)」、「トルコリラ(3.3%)」、「英ポンド(2.5%)」の順になった。「円」は2カ月連続首位となり回答割合は前回の41.1%からさらに上昇した。一方、2位の「米ドル」の回答割合は前回の32.0%から低下した。なお、「円」と「米ドル」に4分の3以上の回答が集中しており、小個人投資家にとって、これら以外には積極的に売りたい通貨が少ないことを物語っている。
「円」が最も安くなると考える理由について自由記述形式で尋ねたところ、「サナエノミクス」、「高市トレード」など、高市首相の経済政策が円安を引き起こすとの意見が目立った。そのほか、「いつまでたっても利上げしないし、仮に利上げしたとしても 0.25bp利上げぐらいでは強くならないと思う」として日銀の利上げが手ぬるいとする指摘もあった。2位の「米ドル」については「失業率の悪化、経済の不安定化」、「景気悪化懸念」などを理由に挙げる向きが多かった。
問7: 12月10日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策とそれに対する米ドルの反応をどう予想しますか?

今回の特別質問として「12月10日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策とそれに対する米ドルの反応をどう予想しますか」と尋ねたところ、「据え置きで米ドル高」が47.9%で最も多かった。次いで「利下げで米ドル安」が21.5%、「利下げで米ドル高」は15.1%、「据え置きで米ドル安」は12.3%、「その他」は3.3%だった。調査期間最終日における米金利先物の12月利下げの織り込みは約80%であったが、個人投資家は対照的に6割以上(合算60.2%)が「据え置き」を予想していることが分かった。一方、利下げ予想は4割弱にとどまったが、利下げの場合の米ドルの反応について見方が分かれており、「利下げで米ドル高」を予想する個人投資家が少なくなかった点も特徴的だ。
問8: 12月19日に発表される日本銀行の金融政策とそれに対する円の反応をどう予想しますか?

もう一つの特別質問として「12月19日に発表される日本銀行の金融政策とそれに対する円の反応をどう予想しますか」と尋ねたところ「据え置きで円安」との回答が63.0%と圧倒的に多かった。次いで「利上げで円高」が18.2%、「据え置きで円高」が9.8%、「利上げで円安」は6.3%、「その他」は2.7%だった。なお、調査期間最終日の時点で本邦金利デリバティブ市場が織り込む12月利上げの確率は50%前後で推移していた(その後一時60%前後まで上昇)。市場においては12月の利上げ期待がある程度維持されているが、個人投資家は利上げ見送りをメインシナリオとしているようだ。これまで、日銀に利上げ期待を何度か裏切られた個人投資家にとっては、「動かない日銀が円安を誘発する展開」のほうがイメージしやすいと考えられる。


株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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