
このレポートの概要:米国株式市場と外国為替市場の最新動向と分析
金融マーケットで永く情報発信を行っている田嶋智太郎氏が、米国株式市場の最新動向を詳しく解説します。
「強気相場に売り材料なし」を地で行く米株相場
先週末3日のNY市場ではNYダウ平均が6も日続伸し、4日続けて史上最高値を更新する動きとなった。S&P500種も同日の取引時間中につけた高値は史上最高で、一時的にも6750ポイント台に乗せている。米政府機関の一部閉鎖が続いており、9月の米雇用統計の発表も見送られたわけだが、それは果たして米株価にプラスだったのか。仮に、厳しい結果があらためて出てきた場合、むしろ市場では米利下げ期待が一層強まり、そちらのほうが米株価にとってはプラスと見る向きもありそうではある。
つまるところ「強気相場に売り材料なし」であり、目下はいかなる材料が飛び出してきても、すべて“イイトコロ取り”となってしまう状況。むろん、それだけにかなり過熱してきた米株相場に対して「要警戒」を唱える向きも当然少なくはない。
そろそろインフレ再加速の時間帯?
4日付の日本経済新聞に掲載されたJPモルガン商業・投資銀行部門CEOのトロイ・ローボー氏に対するインタビューの内容は実によく的を射たものだったと思われる。同氏曰く「債券市場は(今後複数回の)利下げを織り込み、景気減速を見込んでいる。一方で株式市場は不況を予測しておらず、割高に推移する(中略)いずれどちらかの間違いが判明する」、「最も懸念するのがスタグフレーション(中略)25年10~12月から26年初めにかけて消費者への転嫁を始める可能性がある」。
米株価にとって目下最大のマイナス要因は「米インフレの再加速」。これまでの関税発動の経緯や企業の対応などから判断して、その兆候がそろそろ現れ始める時間帯になってきている。よって、前回も述べたとおり、近く米株ラリーは一服すると見る。S&P500種が調整含みとなった場合は、ひとまず一目均衡表(日足)の「基準線」あるいは8月13日高値=6480ポイントあたりを下値の目安と考えたい。
円は一旦売り戻される公算大
4日に投開票が行われた自民党総裁選では、市場の予測に反して(?)高市新総裁が誕生する運びとなった。少なからぬ国内投資家と多くの海外投資家が事前に“小泉トレード”に取り組んでいたと見られることから、この週明けは一時的にも“仕切り直し”の動きが見られると推察される。具体的には、円の売り戻しと日本国債10年物の買い戻し、30年物の売り戻しということになろうか。30年物については、今週7日に入札を控えており、その行方が大いに気になる状況となっている。
高市氏は4日の記者会見で「積極財政」の推進姿勢を鮮明なものとし、同時に政府と日銀との連携を強化する方針をも示唆していた。つまるところ、当面は財政悪化懸念で日本国債の30年物が売られやすく、日銀利上げ観測の後退で10年物は買われやすくなると見られる。結果、10年物の利回り上昇が一服すると、一旦は円が売り戻されやすくなる。
日本株高も円安を誘導?
積極財政の推進方針は、一段の日本株高にもつながる可能性が高い。日経平均株価は先週3日に終値ベースでの史上最高値を更新したが、今週はもう一段の上値を試しに行って4万6000円台を覗き見る可能性もあろう。同時に、ドル/円は円の売り戻されやすくなることから一時的に150円を試す可能性もないとは言えず、それは日経平均株価を押し上げる一因となり得る。日本で初の女性首相が誕生する公算が大きいことは海外勢に前向きな事柄と捉えられやすく、日本株への追加的な海外マネーの流入も期待されよう。先週は評価しきれなかった「相次ぐ米ビッグ・テックCEOの来日」の話題があらためて蒸し返されて、半導体関連株などに追撃買いの手が及ぶ可能性もある。
円安と株高に一旦振れたら逆張りを検討
とはいえ、所謂「高市トレード」はあっても一時的な動きに留まると見る。高市氏が掲げてきた政策方針には魅力的に思われるものも多いが、連立の行方や財源問題など、実現には多くの難題が待ち構える。その意味で、仮に目先的な円安と株高が進んだ場合、基本的には逆張りの検討も一考であろう。少なくともドル/円については、吹き上げたところで戻り売りを仕掛ける算段で臨みたい。

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田嶋智太郎氏
経済アナリスト 慶應義塾大学を卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、経済アナリストに転身。現場体験と綿密な取材活動をもとに、金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産掲載まで幅広い範囲を分析・研究。 WEBサイトで経済・経営のコラム執筆を担当し、株式・外為・商品などの投資ストラテジストとしても高い評価を得ている。 また、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」など書籍も手掛けるほか、日経CNBCレギュラーコメンテーターも務める。
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