
総括
FX「2025年前半のリラは対円で18.1%安、年間スワップ金利の半分」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価最下位)
予想レンジ トルコリラ/円3.4-3.9
*2025年前半のリラは対円で18.1%安、12通貨中最弱、ほぼスワップ金利の半分
*世銀が成長見通しを上方修正
*貿易赤字が続く
*リラ安の主因=トルコの外貨預金は全体の39%。日本は0.5%。
*規格外のトリプル安続く
*政策金利46%に据え置き
*外貨保護制度からの脱却に向けて前進
*今週は6月製造業PMI、消費者・生産者物価、外貨準備高、貿易収支の発表
*インフレ期待は改善
*4月の小売売上高は急増
*トルコ中銀と中国人民銀行、通貨スワップ協定を更新
*静かなる弾圧、野党議員を含む数十人を逮捕。ただ支持率は野党がリード
*外貨準備残高が増加中(リラ売りか)
*米国の相互関税は10%
(2025年前半を終えて規格外のトリプル安)
2025年前半を終えて、対円で18.10%安、対ドルで11.83%安。18.1%安はほぼ年間スワップ金利の半分だ。
株価(イスタンブール100指数)は年初来1.2%高、10年国債利回りは31.27%と依然高い水準にある。株価は前半最終日にプラ転した(後述)。
(トルコ株価が上昇、野党党首巡る裁判延期で政治リスクへの懸念緩和)
6月30日、最大野党に新たな指導者の選出を迫りかねない裁判が延期され、政治的な不確実性の高まりを懸念した市場に一時的な安心感が広がった。
この裁判は、共和人民党(CHP)が2023年に開いた党大会でオゼル氏を党首に選出した際に不正があったとの疑いを巡るもので、審理は9月8日に延期された。
裁判延期を受け株式市場は5.78%上昇、年初来で1.2%高とプラスに転じた。債券市場は一時31.27%上昇(利回り低下)したが引けは下落30%を割り込まず。リラは大きくは動かなかった。
(最近の指標と今週の注目指標)
5月失業率は8.4%で前月の8.6%から改善、6月経済信頼感指数は96.7で前月と変わらず。
今週は6月製造業PMI、消費者・生産者物価、外貨準備高、6月貿易収支の発表がある。リラ安の主因の貿易赤字は続く。
(トルコは外貨保護制度からの脱却に向けて前進)
トルコ当局は、より従来型の経済政策への移行に伴い、2023年に縮小を開始した外貨保護制度からの脱却計画は順調に進んでいる模様であることが、最近のデータで示されているとした。
先週発表された最新の銀行データによると、外貨保護口座(いわゆるKKM)の残高が、2023年8月の3.4兆トルコリラから6000億トルコリラをさらに下回ったことが明らかになった。KKMの残高は総預金の2.46%を占めていることがデータから明らかになった。この割合はさらに低下し、年末までに口座が完全に廃止されると予想されている。
シムシェキ財務大臣は最近、外貨保護制度からの脱却は「重要な目標」であると述べ、「おそらく近いうちにこの慣行を終わらせるだろう」と述べた。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン2σ下限近辺で推移
日足、ボリバン2σ下限近辺で推移。3月19日-6月30日の上昇ラインがサポート。6月26日-30日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、ボリバン下位。3月17日週-6月16日週の上昇ラインがサポート。5月12日週-6月16日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、3月-4月の上昇ラインを下抜く。現在は2σ下限あたり。3月-4月の下降ラインが上値抵抗。
年足、2024年で10年連続陰線。その間52円から3円台へ沈む。2025年もここまで陰線。

メルハバ
世銀、トルコの2025年の成長予測を引き上げ
世界銀行は、トルコの経済勢いが継続していることと外部環境が良好であることを理由に、来年の予想を若干引き下げながらも、2025年の成長予想を上方修正した。
トルコ経済は2025年に3.1%拡大するとの見通しを示し、1月時点の2.6%という前回の予測を上方修正した。上方修正の要因は、2024年第4四半期の予想を上回る成長や世界的な原油価格の低下など、これまでの勢いによるものだという。
トルコの成長率は、主に過去1年間でほぼ半減した高インフレに対抗することを目的とした積極的な金融引き締めにより、2024年には3.2%とわずかに鈍化する見込みだ。
シムシェキ財務大臣は水曜日、期待の改善は政府の経済計画に対する信頼によるものだと述べた。
ただ2026年のトルコの国内総生産(GDP)成長率予測を3.8%から3.6%にわずかに引き下げた。これは、金融引き締め政策と予想される財政改革の影響で成長が抑制されると予想されるためだ。
トルコが金融引き締め政策と予想される財政調整の組み合わせを通じてインフレ抑制に継続的に取り組んでいることを認めた。
5月の年間インフレ率が35.41%と予想以上に急激に減速したことで、中銀が近く利下げを再開する可能性があるとの憶測が再燃している。
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