利下げを求めるトランプ大統領と、パウエルFRB議長との対立【外為マーケットビュー】
配信期間:公開日から2週間
※原則隔週の配信となります。次回配信は5月6日 (予定)
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
動画の要約・まとめ
## 海外市場における最近の動向
- トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)に対して追加利下げを強く要求しました
- トランプ大統領はパウエルFRB議長を「負け犬(ルーザー)」と呼ぶなど批判を強めています
- こうした発言が引き金となり、金融市場は混乱状態に陥り、債券・株式・米ドルのトリプル安という不安定な状況が発生しています
- トランプ政権と各国との調整(ディール)の進捗状況が不透明なまま推移しています
- 今後開催されるサミットでも、金融政策に関する議論が重要なポイントになると見られています
- 利下げを求めるトランプ大統領と、現状維持の姿勢を崩さないFRBとの対立が続いており、先行きが非常に不透明な状態です
## ドル円相場の詳細分析
- 円高ドル安の大きな流れが継続しており、トレンドに変化は見られません
- 2021年1月に記録した102円59銭という起点から伸びるトレンドラインを完全に下抜けしています
- ドルの反発余地が極めて限られている状況で、中長期的に見ても円高トレンドに変化しつつあります
- 150円台が重要な抵抗線として機能しており、この水準を超えるのは難しい状況です
- 148円台にトレンドラインが位置し、新たなドル安円高のトレンドに入っています
- 昨年9月に付けた139円58銭が重要な節目として意識されています
- 144円20銭より上で終われば、短期的には一旦底打ち判定の流れが期待できます
- ただし、146円台に乗せてこないと上値は広がりにくく、148円台を超えないとドル強気には転換しません
- 現在の相場観では、141円から137円がターゲット圏として見込まれます
## ユーロドル相場の動向
- ユーロは非常に強いトレンドを維持しており、EU軍事拡大計画の発表以降、大きく流れが変わっています
- 1.10を下回らない限り、下値の広がりは限定的で、現在1.14台後半と依然として強い状態が続いています
- 中長期的に強い流れに入っており、調整下げがあっても1.10を割ってこない限りは調整の範囲内と見られます
- 市場では窓が開いており、特に重要なのは3日以内に窓が埋まらない場合、1-2ヶ月は強いトレンドが継続すると予想されます
- 現在、すでに二つの窓が開いていますが、三つ目の窓が開くと天井を見る可能性が高まるとされています
- 短期的には1.12台が強いサポートラインになると予想されます
## ユーロ円相場の状況
- ドル円でドルが弱く、ユーロ/ドルでユーロが強いため、ユーロ円はまだレンジ相場が継続しています
- 31週と62週の移動平均線の間で揉み合いが続いていますが、値動きが収縮してきており、一方向に抜ける可能性が高まっています
- 175円42銭(昨年7月付け)が天井となっており、158円付近が現在のサポートラインとして機能しています
- 164円台には強い抵抗があり、実体がこのレベルを超えられていない状況です
- 移動平均線が161円台で収束しており、今後いずれかの方向へ大きく動く可能性があります
- 158円を割ると下落リスクが加速し、156円台を下回ると150円方向への円高の可能性が高まります
- 逆に164円を実体で抜けてくれば、上値方向への展開が期待できます
## 豪ドル円の分析
- 豪ドルは極めて弱い状態が続いていますが、対ドルではやや堅調な推移を見せています
- 昨年付けた109円37銭が大きな天井となっており、94円を超えてこない限り、基本的には戻り売りの流れです
- 86円06銭の安値はオーバーシュートの可能性が高いとされています
- 90円がサポートラインとして機能しており、89円を下回ると87~88円の下値抵抗を試す動きに転じる可能性があります
- 91円台の半ばを上回れば、92円越えトライの動きが強まる可能性がありますが、94円は依然として高い水準です
## 総合的な市場見通しと結論
- 全体的に円高ドル安のトレンドが強まっており、この流れは当面継続する見込みです
- FRBの金融政策判断が最大の焦点となっており、利下げ要求への対応が注目されています
- 為替市場では円高の流れが続き、各通貨ペアで重要なサポート・レジスタンスラインを意識した取引が重要になります
- 世界経済の不透明感が増す中、リスク資産と安全資産の適切な配分が投資家にとって重要な戦略となりそうです

外国為替ストラテジスト
旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)在勤の1980年より、テクニカル分析の第一人者、若林栄四氏の下でテクニカル分析を研究、習得する。同行退職後、1998年まで在日米銀などでカスタマー・ディーラーや外国為替ストラテジスト、資金為替部長を歴任。現在は外国為替ストラテジストとして、テクニカル分析に基づく為替相場レポートを発信中。各種メディアへの出演も多数。
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