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ポンド/円・豪ドル/円の3月見通し「米関税政策に振り回される展開が続く」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のポンド/円ポジション動向
・3月の英国注目イベント
・ポンド/円 3月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月の豪ドル/円ポジション動向
・3月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 3月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ



ポンド/円 2月の推移

2月のポンド/円相場は187.029~193.168円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.5%下落(ポンド安・円高)。ただ、ドル/円やユーロ/円、豪ドル/円などに比べると下落率は小さかった。日銀の利上げ観測や米関税を巡る不透明感が円相場を押し上げた一方、英国が米関税の標的にならなかったことがポンドを押し上げたためポンド/円は方向感が出にくかった。10日には一時187.03円前後まで弱含んだが、英10-12月期国内総生産(GDP)が予想外のプラス成長となった13日には193円台を回復。その後も、対ドルではポンド高が進行し26日には約2カ月ぶりの高値を付けたが、ドル/円が弱含みで推移したため対円ではポンドの上値が重かった。なお、27日には米ホワイトハウスでスターマー英首相がトランプ米大統領と会談。トランプ氏は会談後に、米英貿易協定が「非常に素早く」締結できる可能性があると述べ、「真の貿易協定」が実現すれば、自分が貿易相手国に警告しているような関税をイギリスは回避できる可能性があるとした。

始値 高値 安値 終値
190.322 193.168 187.029 189.397

出所:外為どっとコム

6日
英中銀(BOE)は予想通りに政策金利を4.75%から4.50%に引き下げた。声明文で「十分なインフレ解消の進展が利下げを可能にした」と説明。同時に公表した議事録では、金融政策委員会(MPC)で投票権を持つ9人のうち7人が0.25%の利下げに賛成し、残り2人は0.50%の利下げが必要として反対した。ただ、MPCは金融政策報告書で今年のインフレ見通しを引き上げるなどして利下げのペースは今後も緩やかなものになることを示唆。その後、ベイリーBOE総裁は「今後さらに利下げできると見込む」としながらも「どの程度、どれくらい速くかは会合ごとに判断する」と述べた。

11日
BOEのマンMPC委員は「需要を巡る状況は以前よりもかなり弱まっている」と述べ、「脆弱な価格決定力がインフレ率の押し下げにつながり、一段の緩和が必要となる可能性を意味する」と指摘した。昨年は、インフレリスクが残っているとして利下げに反対していたが「現在は状況が違う」と述べた。その後、ベイリーBOE総裁は「金融政策は国内の状況だけでなく、国際的なリスクや経済動向を考慮する必要」「現在の低成長は金融危機後の長期的な供給力低下に起因し、単純な金融政策の変更だけでは解決が難しい」との見解を示した。

13日
英10-12月期GDPは前期比+0.1%と市場予想(-0.1%)に反してプラス成長となった。英12月鉱工業生産は前月比+0.5%(予想+0.2%)、同貿易収支は174.47億ポンドの赤字(予想187.00億ポンドの赤字)だった。

17日
ベイリーBOE総裁は「GDPは予想より強かったが、われわれが描く全般的なシナリオが変わるとは考えていない」、「景気は昨年の晩春以降、極めて不活発だ」と発言。また、トランプ米政権の関税政策が「多くの不確実さをもたらす」としながらも、慎重で漸進的な政策アプローチに変化はないと述べた。

18日
英10-12月の週平均賃金(除賞与)は前年比+5.9%と予想通りに9-11月(+5.6%)から伸びが加速。同失業率(ILO基準)は4.4%と市場予想(4.5%)を下回り9-11月から横ばいとなった。なお、英1月失業保険申請件数は2.20万件、同失業率は4.6%で、いずれも前回(-1.51万件、4.5%)からやや悪化した。

19日
英1月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.0%と市場予想(+2.8%)を上回り、伸びが加速(前回+2.5%)。エネルギーや食品などを除いたコアCPIも+3.7%と予想通りに加速した(前回+3.2%)。BOEが重視するサービスCPIも前年比+5.0%と予想(+5.1%)こそ下回ったものの、前回(+4.4%)から大きく加速した。

21日
英1月小売売上高は前月比+1.7%と市場予想(+0.5%)を大幅に上回った。英2月購買担当者景気指数(PMI)・速報値は製造業が46.4と予想(48.5)を下回った一方、サービス業は51.1と予想(50.8)を上回った。

2月の各市場

2月のポンド/円ポジション動向

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3月の英国注目イベント

ポンド/円 3月の見通し

英国はトランプ関税の標的にならなくて済みそうだ。そうした見方が3月のポンド相場を支える可能性がある。米国のトランプ大統領は2月27日に行われたスターマー英首相との会談後に、貿易協定の締結によって英国への関税が不要になるとの考えを示した。カナダ、メキシコ、中国、欧州連合(EU)など、すでに関税の標的に挙げられている国への対応とは明らかに違いがある。特に対ユーロではポンド高が進みやすいのではないだろうか。ウクライナ停戦に向けて進展があれば対円でもポンド高に振れるだろう。 一方で、市場は英中銀(BOE)の利下げを過小評価している可能性がある点には注意が必要だろう。英短期金利デリバティブ(OIS)が織り込む年内の政策金利引き下げ幅は50bp(0.50%ポイント)あまり。市場は年内の7会合で25bpの利下げを2回しか想定していない計算になる。BOE金融政策委員会(MPC)のマン委員はタカ派と目されていたが、2月会合で50bpの大幅利下げを主張して市場を驚かせた。ベイリー総裁は利下げに慎重な姿勢を示しつつも、英国経済の停滞を認めている。3月20日のMPCは政策金利の据え置きが濃厚だが、利下げに含みを持たせる「ハト派的な据え置き」となる公算が大きい。26日に発表される英2月消費者物価指数(CPI)の伸びが抑制的であれば、利下げの織り込みが進みポンド安圧力がかかる可能性があろう。3月のポンド/円相場は上昇を予想するが、下落リスクにも目配りが必要となりそうだ。
(予想レンジ:185.000~195.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 2月の推移

2月の豪ドル/円相場は92.722~97.326円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.0%下落(豪ドル安・円高)した。カナダとメキシコに対する米関税の発動が延期された事を受けて市場心理が改善する中、豪ドル買い・円売りが先行したが、対中関税は予定通りに4日に発動されたため伸び悩んだ。加えて日銀の追加利上げ観測が浮上する中、田村日銀審議委員の講演が行われた6日には下落に転じた。その後、12日にはウクライナ停戦に向けた協議開始についてトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が合意したことを受けて97.33円前後へ反発する場面もあったが、上昇の勢いは続かず終盤にかけて失速した。19日には高田日銀審議委員のタカ派発言に反応して再び下落に転じるなど、引き続き日銀の利上げ観測が上値を抑えた。20日の豪1月雇用統計も良好ではあったが豪ドルの上昇には繋がらなかった。26日にはトランプ米大統領がカナダとメキシコへの関税賦課を再延期した一方、欧州連合(EU)への25%関税に言及。世界的な貿易戦争に発展するリスクが意識され94円台を割り込んだ。28日には日銀の利上げ観測や米関税を巡る不透明感などを背景に日経平均株価が大幅安(終値1100円安)となる中で一時93円台を割り込み92.72円前後まで下値を切り下げた。

始値 高値 安値 終値
95.233 97.326 92.722 93.487

出所:外為どっとコム

4日
米国のトランプ大統領が1日に署名した大統領令による10%の対中追加関税が日本時間14時01分(米東部時間24時01分)をもって発効。同時に署名したカナダとメキシコに対する25%の関税発効は1カ月先送りされたが、対中関税は予定通りに賦課されることになった。なお、中国は即座に対米報復関税を発表。2月10日から約80品目について最大15%の追加関税を発動するとした。ただ、今回の関税の対象は140億ドル相当と比較的小規模なものにとどまった。

6日
豪12月貿易収支は50.85億豪ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(65.00億豪ドル)を下回った。資本財や石油の輸入が大幅に増加したことで黒字は前月(67.92億豪ドル)から縮小した。

11日
米国のトランプ大統領は、鉄鋼・アルミニウムの輸入に25%の関税を課す大統領令に署名。3月12日に発効されることになった。トランプ大統領は「すべての国が対象で例外あるいは適用除外は設けない」と述べたが、オーストラリアについては「米国が貿易黒字を計上している数少ない国の一つだ」として適用を除外することも検討していることを明らかにした。

18日
豪中銀(RBA)は大方の予想通りに政策金利を4.35%から4.10%に引き下げた。利下げは2020年11月以来、4年3カ月ぶり。ただ、声明では「本日の政策決定はインフレに関する歓迎すべき進展を認識したものだが、理事会はさらなる政策緩和の見通しについて引き続き慎重だ」と表明した。「金融緩和が早すぎれば、ディスインフレが停滞し、インフレ率が目標レンジの中間値を超えて落ち着く可能性がある」とも指摘した。ブロック総裁はその後の会見で「本日の決定は、市場が示唆するような追加利下げが実施されることを意味するものではないことを明確にしておきたい」と強調。「RBAは、デフレの進展を妨げる可能性のある上振れリスクに非常に警戒している」と述べた。

19日
豪10-12月期賃金指数は前期比+0.7%、前年比+3.2%とともに前期(+0.9%、+3.6%)から伸びが鈍化した。

20日
豪1月失業率は4.1%と予想通りに前月(4.0%)から上昇。労働参加率が67.3%(前月67.2%)に上昇しており、求職者の増加が失業率を押し上げた模様。1月新規雇用者数は4.40万人増と、前月(6.00万人増)ほどではなかったが市場予想(2.00万人増)を大幅に上回った。豪ドルは一時買いが強まったが、アジア株が軟調に推移する中で買いは続かなかった。なお、ハウザーRBA副総裁は「今日のデータを見る限り、豪労働市場は非常に力強い」とコメントした上で追加利下げに慎重な姿勢を示した。

21日
ブロックRBA総裁は「インフレが正しい方向に向かっているという確信が高まっている」としつつも、「インフレが目標範囲に持続的に戻ることを確信する必要がある」として「更なる金融緩和の見通しについて慎重な姿勢を維持する」と表明した。

2月の各市場

2月の豪ドル/円ポジション動向

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3月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 3月の見通し

豪中銀(RBA)は2月会合でおよそ4年ぶりに利下げを決めた。ただ、ブロック総裁は追加利下げに慎重な姿勢を強調。いわゆる「タカ派的な利下げ」であった。その影響もあって、市場は次回4月会合では利下げを見送ると見られており、豪短期金利の利下げ織り込みは20%前後にとどまっている(3月4日時点)。豪州の1月インフレ率は前年比+2.5%とRBAのインフレ目標(2-3%)の中間にあるが、コアCPIに相当するCPIトリム平均値は前年比+2.8%と目標の上限に近い。なお、ブロック総裁は労働市場の底堅さからインフレ上振れリスクが残っていると指摘している。こうしたRBAのスタンスが維持される限り、豪ドルの下値は固そうだ。3月20日に発表される豪2月雇用統計が良好な結果となれば利下げ観測が後退する形で豪ドル高が進むだろう。 他方、中国経済を巡る不透明感は豪ドルの重しとなりそうだ。現状では中国経済に著しい落ち込みは見られないが、米国のトランプ政権は中国に対する圧力を強めているだけに注意が必要だろう。3月4日には2月に発動した対中関税に、さらに10%を上乗せする措置を決定した。こうした中で、中国の経済指標に軟調な結果が続くようなら景気懸念が広がりやすくなりそうだ。17日の中国2月鉱工業生産や同小売売上高に注目したい。なお、中国では国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が5日に開幕する。初日には、李強首相が政府活動報告を行い、今年の経済成長率目標を明らかにする。昨年並みの5%の成長目標を掲げると見られるが、その裏付けとなる財政出動の規模感にも注目が集まるだろう。
(予想レンジ:89.500円~96.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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