「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
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最新のマーケット情報まとめ
## 現状分析
- 現在のドル円相場は150円台に持ち直している状況となっている
- 市場では昨年12月の安値との二番底形成のポイントとして終値で150円突破できるかどうかが注目されてきた
- 最近の動きとしては150円に到達してもすぐに149円台に下落する状況が続いており、明確な上抜けができていない
- 今日は週末であるため、週足ベースで150円台に乗せられるかどうかが重要なポイントとなっている
- 終値で150円を突破すれば、来週は持ち直しの動きが強まる可能性が高まる
## テクニカル分析の詳細
- 移動平均線:10日、20日、80日の3本とも下向きで弱気のパーフェクトオーダー状態が続いている
- RSI(相対力指数)は30ラインを下回った後、持ち直している状況
- RSIは現在上向きになっており、足元で反発の勢いが出てきていることを示している
- しかしRSIが50ライン付近にタッチした場合、戻りのポイントになりやすい傾向がある
- 過去のチャートでも、同様の状況で一旦上昇後にRSI50ラインでタッチし反落したパターンがある
- チャートポイントとして151円付近、さらに前半あたりが戻りの一つのポイントになる可能性が高い
- この151円付近でRSIが50ライン付近に位置すると予想され、そこで伸び悩む場合は反落もあり得る
## 今後の見通し(詳細シナリオ)
### 上昇シナリオ
- 終値で150円突破→来週持ち直しの動きが強まり、上値を試す可能性が高まる
- 151円を明確に突破しRSI50ラインも突破した場合→明らかに反発基調が強まる
- 152円突破→さらに上昇力が増し、戻り高値155円付近を目指す展開になる可能性
- 155円付近まで上昇した場合、二番底(ダブルボトム)形成という見方が強まり、目線が上に切り替わる
### 下落シナリオ
- 150円を終値で突破できない場合→引き続き148.5円〜150円台のレンジ相場が継続する
- 148.5円の安値を下回った場合→147円付近が次の下値の目処となる
- さらに下落が続く場合は145円が次のターゲットとなる
- 下落シナリオでは、レンジ下限の148.5円を割り込むかどうかが重要な分かれ道となる
## 本日(2月28日)の動き詳細解説
- 朝方:東京の2月CPI(消費者物価指数)が予想以上に鈍化→日銀の利上げ観測後退で一気に上昇
- その後、日経平均の大幅安を受けてリスク回避的な動きから円買いが進み、下落
- 午後にかけては徐々に切り返す展開
- 欧州市場入場後にドル円は151円付近の直近高値を抜けたことでストップロス(損切り)が誘発され、一気に上昇
- 月末であることから市場のリバランス(調整)の動きが出る可能性がある
- 特に2月は円高の月だったため、円買いポジションが蓄積→月末のリバランスで円売りが加速する可能性
- ロンドンフィキシング前後(25時前後)は特に注意が必要
## 注目イベントと外国為替相場への影響
- 本日22:30に米PCEデフレータ(個人消費支出物価指数)発表予定
- FRBが重視するインフレ指標であり、結果次第で今後の利下げ見通しに変化が出る可能性
- 予想は総合指数、コア指数ともに前回から鈍化する見込み
- 市場予想以上に鈍化すれば利下げ観測が強まる可能性あり
- 来週の注目経済指標:
- 3日:米ISM製造業景気指数(製造業の景況感を示す指標)
- 5日:米ADP雇用統計(民間の雇用状況を示す先行指標)
- 5日:米ISM非製造業景気指数(サービス業の景況感を示す指標)
- 週末:米雇用統計(非農業部門雇用者数などの包括的な雇用指標、週の最大イベント)
- これらの指標は現在市場で懸念されている米国の景気減速懸念を確認する重要な材料となる
- トランプ大統領関連:
- トランプ大統領が3月4日にメキシコ・カナダへの関税発動を表明(以前は4月に延期すると発言していた)
- 来週には議会証言も予定されており、関税関連の発言や今後の政策方針に注目
- 発言一つで相場が大きく動く可能性があるため継続的な注意が必要
## 市場心理と今後の展望
- 先週から米PMI(購買担当者指数)や米消費者信頼感指数など米国の景気減速懸念を強める指標が出ている
- 来週の指標が良好だった場合、景気減速懸念が和らぎ、相場が一気に巻き返す可能性もある
- 特に米雇用統計の結果は市場心理に大きく影響するため、最も重要なイベントとなる
- トランプ大統領の発言は引き続き相場の不安定要因として注視する必要がある
- ドル円相場、テクニカル的には150円、151円、152円の各節目が非常に重要な分岐点となる
## 結論
ドル円相場は現在150円台に持ち直している状況だが、この水準を終値で維持できるかどうかが今後の方向性を決める重要なポイントとなっている。終値で150円を突破・維持できれば、次の目標として151円、152円を試し、さらに突破すれば155円を目指す上昇シナリオが展開する可能性が高い。一方、150円を終値で維持できなければ、148.5円〜150円のレンジ相場が継続、さらに148.5円を下回ると147円、最終的には145円まで下落する可能性もある。
来週は米国の景気を示す重要な経済指標が多く発表されるため、特に米雇用統計に市場の注目が集まる。これらの指標結果次第では、現在の景気減速懸念が和らぐか強まるかの分かれ道となる。また、トランプ米大統領の関税政策や議会証言も市場の変動要因となるため、引き続き注意が必要である。
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宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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