執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年2月14日 14時10分
独選挙は無風!英国はインフレ動向を注視
ユーロ/円・ポンド/円反発
ユーロ/円、ポンド/円も買い戻し優勢の展開。米ドル/円が154円後半まで戻したこと、米露首脳がウクライナ戦争終結に向け交渉開始で合意したこと、英国GDPが予想を上回ったことが手掛かりとなり、ユーロ/円は161.190円、ポンド/円は193.050円まで上昇しました。ただ、終盤は米ドル/円が失速したことに伴う円買い戻しから、ユーロ/円やポンド/円も頭打ちとなりました。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ウクライナ戦争の停戦協議進むかに注目
23日にはドイツで総選挙が行われます。CDU/CSU(ドイツキリスト教民主同盟)が第一党に返り咲く見込みですが、単独過半数には届かずSPD(社会民主党)との連立政権樹立がほぼ既定路線になっており、波乱要因は少ないと考えます。ただ、極右AfD(ドイツのための選択肢)が第二党へ躍進すると見られており、油断はできません。とはいえ、CDU/CSU とSPDの連立交渉がすんなり進むかは不明で、選挙後もドイツの政治的不安は続き、ユーロ圏の景気低迷への不安はなくなりづらいです。一方で、ウクライナ戦争の終結に向けた対話が進めば、ユーロにとってゲームチェンジャーになる期待もあります。ドイツ総選挙が手掛かりになりづらい中で、対話が進展すればユーロ上昇への燃料になりそうです。その他では、ユーロ圏の製造業PMIの持ち直しが続くかにも注目したいです。
また、英国ではタカ派寄りだったMPC(金融政策委員会)メンバーのマン委員が0.5%利下げを支持したことが明らかになって以降、英中銀の3月追加利下げが薄っすらと意識されています。しかし、英シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)は、インフレ率は低下すると予想しながらも、英経済が堅調な成長を遂げるため英中銀の利下げ余地は限られているとの見解を示しており、3月の追加利下げ見通しは定まっていない部分があります。来週の雇用指標における賃金上昇率や消費者物価指数が、不透明な部分を明確にするのか注目されます。
ユーロ/円・ポンド/円、戻り売り警戒(テクニカル分析)
ユーロ/円は日足一目均衡表の雲の下限に頭を抑えられてはいますが、MACD(12.26.9)がゴールデンクロスし始めています。先行して買いシグナルが点灯しているストキャスティクスも支えにして、日足一目の雲を上回る局面もあるかもしれません。ただ、チャートの強弱判断の分かれ目である200日移動平均線の下側での推移が続いており、地合いが好転しているとは言えず、162円台では戻り売りが被さってくるのではないかと、考えています。
また、ポンド/円も戻りを試しながらも、日足一目の雲と200日線が意識される格好になっており、上方向の重さが感じられます。一目雲の下限付近では反発の勢いも和らぎそうなため、このレベルまで戻した場面では、超短期的に戻り売りを検討したいと考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:156.500-162.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:188.000-195.000
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一言コメント
米ドル/トルコリラの上昇(米ドル高・トルコリラ安)が止まりません。まだ距離はありますが、40.00を超えていくのか心配なほどです。リラ姫がんばれ!。
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