執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年12月27日 11時30分
ドル円じり高基調を期待も米失業率悪化に注意
米ドル/円、5カ月ぶりの158円台
米ドル/円はじり高。米国のつなぎ予算成立で目先の政府機関閉鎖が回避され、米ドル/円は157.30円台まで買いが先行しました。その後、円安進行中の中でも、植田日銀総裁の利上げのタイミングを巡るトーンに変化がなかったほか、好調な米経済指標を受けて、米ドル/円は24年7月17日以来の高値となる158.085円まで上昇幅を広げました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
イベント通過後の潮目変化にも注意
クリスマス休暇が明けて市場に戻ってくる参加者はいるものの、まだ、年末年始の休暇中の投資家も多く、本格的に市場が動きだすのは、米国の雇用統計や日本の毎月勤労統計が発表される25年1月6日週からとなりそうです。その米雇用統計では、雇用者数はストライキの影響は減衰して底堅さが示されている一方、失業率悪化が進み、全体的には緩やかな鈍化傾向が継続しているとの見解が多いです。市場のコンセンサスはまだ定まっていませんが、一部では失業率が4.3%台後半へ上昇するのではとの予想も浮上しています。4.3%は12月18日に示された新たなFOMCの見通しの数字を少し上回ることになり、失業率に対し楽観的でいられないレベルと考えます。
また、本邦の毎月勤労統計も注目したいです。足もとでは実質賃金は3カ月連続のマイナスとなり、賃上げが物価上昇に追いついていません。しかし、内閣府は25年度も高水準の賃上げが期待される中、物価変動を反映させた実質賃金のプラスが定着するとのシナリオを示していますので、こうした見通しへ近づく結果となれば、日銀の利上げタイミングへの思惑を高める可能性もあります。全体的には、昨年末からのドル高・円安地合いのフォロースルーで米ドル/円はじり高基調を続けると見て押し目買いスタンス優勢と考えますが、25年1月20日のトランプ大統領の就任式を控え、これらのイベント結果を受け相場の潮目が変化する危険もあり、高値追いは慎重に考えたいです。
160円到達を期待(テクニカル分析)
米ドル/円は日足一目転換線に支えられながら、じり高基調が続いています。しかも、短期的なところで上昇チャネルを形成し始めたようにも見受けられ、地合いの強さを感じます。目先のポイントは、24年7月16日高値158.856円、同12日高値159.449円、同8日安値160.259円辺りがレジスタンスとして機能するかどうかが着目されます。かたや下方向は156.50円を割り込んだ場合、ポジション調整をしながら一目転換線のサポートを待ちたいと考えます。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:154.500-160.500
12/30 週のイベント:
1/6 週のイベント:
一言コメント
全国でインフルエンザ患者が急増しています。長期連休となる方も多いと思われますが、お出かけの際には感染対策を十分して楽しんでください。
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