0.5%利下げでもドル買い?FOMC後の為替相場動向を読み解く【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2024/9/19
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:44 FOMC会合の結果と市場の反応
1:25 ドットチャートと今後の米金利見通し
2:20 パウエルFRB議長の発言とその影響
3:00 為替市場への影響と今後のドル円展望
3:58 長期的な為替相場の見通し
4:58 メキシコペソ円の動向
5:40 【PR】口座開設特別キャンペーン
動画要約・まとめ
FOMC会合の結果と市場の反応
アメリカでFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されました。
今回のFFレート(政策金利)は0.50%の引き下げとなり、これによりFFレートは4.75%-5.00%となりました。直近の市場予想では、0.50%の引き下げを予想していた人が約6割、0.25%の引き下げを予想していた人が約4割でした。0.50%の引き下げという結果を受けて、金利が下がり、ドルが安くなるという展開となりました。
ドットチャートと今後の米金利見通し
しかし、ここからが重要なポイントです。同時に発表されたドットチャート(FOMCメンバーの金利予想)を見ると、2024年末のFFレート予想の平均値は4.375%となっています。これは現在から見ると0.50%程度の利下げにとどまることを意味します。
この結果から、今回0.50%の利下げを行ったものの、今後の2回の会合では各0.25%程度の利下げにとどまる可能性が高いと推測されます。つまり、今回は大幅な利下げを行ったものの、今後は急速な利下げは行わないという見方が広がり、ドル安を期待していた人々にとってはやや期待外れの結果となりました。
パウエルFRB議長の発言とその影響
会合後の記者会見でパウエル議長は、今回の0.50%の利下げはFRB(連邦準備制度理事会)の強い決意を示すものだと強調しました。しかし同時に、今後も同じペースで利下げを続けると考えてほしくないとも述話しました。つまり、最初に大きな決意を示しつつ、その後はより慎重なペースで進めるという方針を示唆したのです。
為替市場への影響と今後のドル円展望
この一連の動きを受けて、今回の米利下げ自体は大幅であったものの、今後の米利下げペースは緩やかになるという見方が広がりました。その結果、ドルの買い戻しが起こり、ドル円相場も142円台に戻ってきています。
確かに、市場は年内に合計1.5%の利下げが行われるのではないかという期待を持っていました。しかし、その期待が裏切られたことで、目先はドル売りのポジションを持っていた投資家が買い戻しに動く可能性があります。ドル円相場で言えば、143円台まで上昇する可能性もあります。(※動画収録:2024年9月19日あさ7時ごろ)
長期的な為替相場の見通し
しかし、冷静に考えると、この決定で明らかに米利下げサイクルに入ったことは確実です。3か月間で1%もの金利低下がほぼ確実となった状況では、金利差を目指した円売りが継続することは考えにくいでしょう。一時的な円安やドル高は起こり得ますが、トレンドとして円売りが続くことは難しいと言えます。
したがって、基本的な戦略としては、その後の金利差縮小を見込んだドル円の戻り売り、あるいはクロス円の戻り売り、さらには全体的なドル売りのポジションを構築することが重要になるでしょう。
メキシコペソ円の動向
メキシコペソ円に関しては、一時期7円を割り込むなど売り圧力が高まっていましたが、最近は7.38円程度まで戻してきています。しかし、これは下げ過ぎた反動による戻りであり、新たな上昇トレンドに入ったとは考えにくい状況です。
今後の上昇も7.5円程度までにとどまり、その後再び下落する展開も予想されます。以前のように金利差を狙ってメキシコペソ円買いを安心して行える状況ではないということを付け加えておきます。
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今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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