株式会社外為どっとコムの完全子会社である株式会社外為どっとコム総合研究所(以下、「外為どっとコム総研」、本社:東京都港区、代表取締役社長:竹内 淳)は、個人投資家の外為投資に役立つ外国為替情報の調査・研究を行なっております。今回、FX投資家の実態を調査しましたので、お知らせします。
MXN(メキシコペソ)などの新興国通貨で売買増加! JPY(円)は「売り越し」から「買い越し」に転じる
一般社団法人金融先物取引業協会 FX投資家動向まとめ
MXN/JPY(メキシコペソ/円)が取引額増の主因
金融先物取引業協会が7月12日に公表した資料によると、2024年6月の店頭FXにおける取引金額は1120兆円と、5月の1113兆円から0.61%増となった。2カ月連続で1000兆円台の取引となった。また、月末時点の未決済ポジション合計は1.83%減少の約8.6兆円となった。JPY(円)のポジショニングは、5月に1兆円の売り越しだったが、6月末時点では1640億円の買い越しに転じた。
取引金額上位の5通貨ペアは、USD/JPY(米ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)の順。MXN/JPY(メキシコペソ/円)は、取引額が17.3兆円と5月の8.9兆円からほぼ倍増した。総選挙で与党連合が大勝し、正規労働者の年金制度改革、選挙制度改革、国家警備隊の軍への配属など、プランCと呼ばれる一連の憲法改正などの実現性が高まったことで、メキシコへの投資リスクが意識されたため、多くは損切り覚悟の決済が中心だった模様。ただ、後半は値ごろ感からの新たな買いも散見された。
図1.取引金額とポジション計
(出所)金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」をもとに、当社が作成。
左軸-取引金額、右軸-ポジション計
グラフ中のデータ単位は百万円
株式会社外為どっとコムFX投資家動向2024年6月
個人投資家、TRY/JPY(トルコリラ/円)に安ど感
FX口座数が58万件を超える株式会社外為どっとコム協力の下、2024年6月のFX投資家動向を調査した。
【調査概要】
調査対象:株式会社外為どっとコムのFXサービス「外貨ネクストネオ」利用者(約58万口座)
調査機関:株式会社外為どっとコム総合研究所
調査対象:調査期間中にFXサービス「外貨ネクストネオ」の新規口座開設およびFX取引をした顧客
調査期間:2024年6月3日6:00 ~ 2024年6月29日6:00
調査方法:対象期間中の取引データより抽出
(特定の個人を識別できないよう個人情報を匿名化した上で行っております。)
FX取引における実現損益
FX取引における実現損益でプラスは61.0%、マイナスは38.9%となった。プラスは前月比1.7%ポイント改善した。日米のファンダメンタルズ格差を意識した、JPY(円)キャリー取引が優勢となり、JPY(円)売りポジションをこれまで構築していた投資家が利益確定し、その上でJPY(円)買いポジションを構築しなおす様子が窺えた。外貨ネクストネオにおける5月末時点のUSD/JPY(米ドル/円)のポジション状況は、買いが56%、売りが44%だったが、6月末時点では買いが46%、売りが54%と逆転した。
図2.取引参加者の損益
通貨ペア別取引者数
通貨ペア別取引者数のトップ10は、USD/JPY(米ドル/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・TRY/JPY(トルコリラ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)・ZAR/JPY (南アフリカランド/円)・NZD/JPY(NZドル/円)・GBP/USD(ポンド/米ドル)の順。
1位はUSD/JPY(米ドル/円)で変わっていない。また、MXN/JPY(メキシコペソ/円)、ZAR/JPY (南アフリカランド/円)、TRY/JPY(トルコリラ/円)などの新興国通貨が各々、順位を上げた。MXN/JPY(メキシコペソ/円)とZAR/JPY (南アフリカランド/円)はどちらも同国の選挙を通じて上下に振幅したことで、投資家がポジション調整の必要に迫られたことが大きいが、一巡後は新たに買いポジションを構築する動きも見られた。一方、トルコ憲法裁判所が中銀総裁の任期中に解任する大統領権限を無効とする判断を示したことで、TRY(トルコリラ)への安ど感が広がり、TRY/JPY(トルコリラ/円)を手掛けるFX個人投資家が増加した。
また、利上げ観測がくすぶったAUD/JPY(豪ドル/円)は、107円台へ上昇する中にあっても取引は小幅増に留まった。
図3.通貨ペア別取引者数
平均取引数量
FX投資家の1注文あたりの平均取引数量は5.1万通貨(51Lot)へ拡大した。小額で取引できる新興国通貨の取引量増大が全体を底上げしたと推察される。
USD/JPY(米ドル/円)は、1Lotあたり6,500円の必要保証金(7/15時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は約33万1,500円となる。MXN/JPY(メキシコペソ/円)は、1Lotあたり400円の必要保証金(7/15時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は2万400円となる。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。
図4.平均取引数量
口座の開設期間
取引をしたFX投資家の口座開設後の期間は、平均112カ月(9年4カ月)と、前月から変わらなかった。もっとも、直近1年間での最長付近に留まっている。
図5.口座開設期間
FX投資の年齢分布
FX投資家の年代別では40代が31.0%と最多で、次に50代、30代、60代と続いた。40代と50代で6割を超える状態が続いている。
図6.取引参加者の年齢構成
FX口座開設者動向
新規にFX口座を開設した投資家は、40代が27.9%、30代が26.1%で、この2つの年代が半数を占めた。以下、50代が18.3%、20代が16.6%となった。
図7.口座開設者の年齢構成
まとめ
2024年6月の為替市場では、MXN(メキシコペソ)、TRY(トルコリラ)、ZAR(南アフリカランド)など、政治的な要因から新興国通貨の取引量が増加した。これまで新興国通貨はMXN(メキシコペソ)1強の状態だったが、TRY(トルコリラ)、ZAR(南アフリカランド)に集まった注目が今後も続くのか注視される。また、11月に向けて米国の大統領を選ぶ選挙戦が本格化するにつれて、各候補の政治理念や打ち出される政策が金融市場を揺さぶる局面が増えると考えられる。年後半は、米FRBをはじめとする各国の金融政策動向に加え、米大統領選挙の行方とこれまで以上に為替相場の変動要因が増えそうである。
※過去の調査結果は、マネ育ch( https://www.gaitame.com/media/ )よりご参照ください。
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