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ユーロ/円の5月見通し「ECBの利下げを巡り賃金動向が焦点に」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 4月の推移
・4月の各市場
・4月のユーロ/円ポジション動向
・5月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 5月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 4月の推移

4月のユーロ/円相場は162.276~171.602円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約3.0%上昇した(ユーロ高・円安)。上旬は164.00円を挟んでもみ合ったが11日の欧州中銀(ECB)理事会で次回6月会合での利下げが示唆されたことで翌12日に162.28円前後まで下落した。もっとも、ドル/円が上値抵抗と目されていた152.00円を上抜けて上げ足を速めたため下値は限定的だった。一方で、米国の利下げが後ずれするとの見方からユーロ安・ドル高が進んだことから上値も重く、中旬まではもみ合い商状が続いた。

ただ、下旬に入ると23日の独・ユーロ圏4月購買担当者景気指数(PMI)や24日の独4月IFO企業景況感指数の好結果を受けて景気後退懸念が和らぐと3月に付けた年初来高値(165.35円前後)を更新。26日には日銀が円安を重視しない姿勢を示したとの見方から円売りが活発化すると一気に169円台へと上伸した。さらに29日にはドル/円に仕掛け的な円売りが入ったと見られ、これにつれて1990年1月のユーロ発足後最高値となる171.60円前後まで急伸。その後は日本政府・日銀による介入と見られる動きで円買いが強まり一時165円台に反落するなど乱高下した。

始値 高値 安値 終値
163.155 171.602 162.276 168.235


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

2日
独3月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+2.2%と予想通りに2021年5月以来の低い伸びとなった。EU基準の消費者物価指数(HICP)は前年比+2.3%と予想(+2.4%)を下回り2023年11月以来の水準に伸びが鈍化した。

3日
ユーロ圏3月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.4%と予想(+2.5%)を下回り、昨年11月以来の低い伸びとなった。エネルギーや食料などを除いたコアHICPは前年比+2.9%と2年ぶりの水準に伸びが鈍化した(予想+3.0%)。

4日
ECBは3月理事会の議事録を公表。「メンバーは、インフレ率が適時に目標とする2%向けて持続的に低下する軌道に乗っているとの確信を強めた」「今後の経済指標や証拠を待つのが賢明だが、利下げを検討する論拠は強まっている」とした。

11日
ECBは大方の予想通りに主要政策金利を4.50%に据え置いた。預金ファシリティ金利も4.00%に維持した。同時に発表した声明に「インフレが持続的に収まるとの確信を得られれば金融政策の水準の引き下げが適切になる」との文言を盛り込んで利下げへの転換を示唆。一方で、「今後の政策金利の水準はデータ次第で、特定の金利軌道を事前に確約しない」とも説明した。ラガルド総裁はその後の会見で「基調的なインフレ指標の大半は2月にさらに低下し、物価上昇圧力が徐々に弱まっているという状況を裏付けた」との見解を示した上で「6月にはさらに多くのデータと情報が得られるだろう」と述べて次回の6月会合で利下げに踏み切る可能性を示唆した。

16日
独4月ZEW景気期待指数は42.9と市場予想(35.5)を上回り、2022年2月以来の水準に上昇。ZEW(欧州経済研究センター)は「世界経済の回復がドイツの期待を高めている。回答者の半数が向こう半年間にドイツ経済が上向くと見込んだ」とコメントした。

23日
独4月製造業PMI・速報値は42.2と冴えなかった(予想42.7、前回41.9)ものの、同サービス業PMIは53.3と市場予想(50.5)を上回り10カ月ぶりの水準に上昇。ユーロ圏4月PMI・速報値も製造業が45.6と予想(46.5)を下回った一方、サービス業は52.9と予想(51.8)を上回った。

24日
独4月IFO企業景況感指数は89.4と市場予想(88.8)を上回って2023年5月以来、11カ月ぶりの水準に上昇。先行きを示す期待指数は89.9と1年ぶりの水準に上昇した。IFOの所長は「ドイツの景気は安定しており、特にサービス業が好調だ」との見解を示した。

26日
日銀は政策金利を0~0.10%に維持。長期国債の買い入れも月6兆円を目途とする方針を維持した。植田総裁は会見で「当面、緩和的な金融環境が続くと考えている」「基調的な物価上昇率に、円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」などと述べた。日銀が円安への対応を協議するとの観測報道が相次いでいたが、そうした動きは全く見られなかった。

29日
昭和の日の祝日で薄商いの中、ストップロスの誘発を狙った仕掛け的な円売りと見られる動きでドル/円が急上昇するとユーロ/円も過去最高値となる171.60円前後まで急伸。しかしその後は日本政府・日銀による介入と見られる円買いが断続的に入り165円台まで反落した。なお、財務相の神田財務官は「介入の有無について申し上げることはない」としながらも「投機による激しい異常とも言える変動が国民経済に与える影響を看過できない」「必要に応じて適切な対応をする」「介入かどうか申し上げないが24時間365日、平時であっても対応できる」などと述べた。

4月の各市場

4月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

5月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 5月の見通し

4月に発表されたユーロ圏の経済指標は、景気の底割れを回避したとの見方を強める結果が目立った。特に、中核国のドイツでは1-3月期国内総生産(GDP)が4四半期ぶりにプラス成長となった上に、購買担当者景気指数(PMI)やZEW景気期待指数などの景況感を示すデータも好転した。欧州中銀(ECB)は6月6日の次回理事会で利下げに着手するとの見通しは衆目の一致するところだが、その後の利下げペースに関する市場の見方は揺れ動いている。4月上旬の時点で年内4回の利下げを織り込んでいたユーロ圏金利先物は、5月1日時点では織り込みが3回へと後退している。

5月のユーロ相場は、ECBの7月以降の利下げペースが焦点となるだろう。なお、ECBは金融政策の運営にあたり賃金動向を重視する姿勢を強調している。5月23日に発表される予定の1-3月期ユーロ圏妥結賃金指数が注目されそうだ。賃金の低下基調が鮮明となればユーロの下押し圧力になりそうだ。一方、円安地合いが続く中で仮にECBの利下げペースを巡る市場の見方に大きな変化がなければ、5月もユーロ/円は円安主導で堅調に推移するだろう。そのほか、イランとイスラエルの対立など、中東情勢の緊迫化はユーロ安・円高リスクを高める可能性があるため一定の警戒は必要だが、よほど緊張が高まる状況でなければ影響は限定的であろう。
(予想レンジ:163.000~173.000円)

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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