執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年4月19日 13時57分
中東リスクはあるものの、目線は157円
米ドル/円、右往左往
米ドル/円は神経質な展開でした。米国の底堅い個人消費を受けて米国の利下げ期待が後退する中、米ドル/円は買いが先行し154.70円台まで上昇したかと思えば、政府日銀の介入警戒やイランとイスラエルの関係悪化が意識され、153.887円まで急落。その後、154.783円まで買い戻されたものの、イスラエルのミサイルがイランの拠点を攻撃したと伝わると、リスク回避の流れが優勢になり、153.584円まで下落する場面もありました。しかし、イラン報道が外国からの攻撃はなかったと報じると、今度は買い戻されるなど、右往左往する場面もありました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、G7 ドル高懸念高まらず、ドル円は154円台を維持 (2024年4月18日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
上方向維持だが、神経質なムードも継続
来週は米1-3月期国内総生産(GDP)、同3月個人消費支出、日銀会合など注目材料が並んでいます。米国サイドでは、すでにパウエルFRB議長が「インフレについて、一段の進展が見られない」と指摘している点を踏まえれば、個人消費支出が余程悪い結果にならない限り、インフレ率が目標の2%に向けて低下する確信を当局が得る状況にはならないでしょう。個人消費の底堅さから1-3月期も米経済が順調に拡大したことが示されれば、利下げ時期がさらに後退して、米ドル/円をサポートする期待はあります。
しかしながら、シカゴの通貨先物の円売りポジションが2007年6月以来17年ぶりの高水準に達しているほか、中東情勢の混乱、日銀への期待感もあって、一方的に米ドル/円が上値を伸ばせるかどうか不明です。日銀は物価の基調的な判断をもう一段上げてくる可能性があるほか、直近の円安について言及してくる危険もあります。日銀会合前の観測報道と併せて警戒したいところです。また、イスラエルの攻撃を受けてイランが報復措置を取れば、中東不安が拡大して円売りポジションの巻き戻しが強まっても不思議はありません。特にイスラエル・イラン問題は流動的で読めませんので、焦らずゆっくりと状況を確認してから取引を開始しても遅くはないでしょう。
上値めどは157.11円付近へ(テクニカル分析)
米ドル/円の上方向は、2月13日高値(150.882円)からの下落幅の倍返しとなる155.290円が目先の目途。ここを超えられれば、昨年12月28日安値を起点としたフィボナッチエクスパンションの100%ラインの157.110円付近が次のターゲットになりそうです。一方、下方向は日足一目均衡表の転換線(153.179円、18日時点)、21日移動平均線(152.344円、18日時点)、4月5日安値(150.811円)が意識されそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:151.000-157.000
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一言コメント
地政学的リスクは、一寸先は闇のようで急に流れが変わるため、本当に読めません。十分にご注意ください。
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