総括
FX「21.097、高値更新。ドルとともに堅調、格付け見通し引き下げ。米中デカップリングは」人民元見通し
(通貨4位、株価13位)
予想レンジ 人民元/円20.8-21.3
(ポイント)
*1993年以来の高値をつけ、その後も底堅い
*株価はまだ低迷
*格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ、フィッチ
*今週、来週は重要指標が続々と発表される
*米中首脳が電話会談、中国抑止に向けた防衛協力に重点
*イエレン財務長官、中国とのデカップリングはしない
*米中、コミュニケーションはあるも、進展事項なし
*習国家主席が米経済界代表と会談
*人民銀の金購入増加
*ロシアの外国為替市場における人民元の取引が過去最高
*中国の1月米国債保有高は減少
*成長目標は5%、インフレ見通しは3%
*中国への直接投資 前年から80%以上減少
*米国の輸入、中国が15年ぶり首位陥落
(人民元は堅調)
対円では昨日4月10日に1993年以来の21.097をつけた。ドルとともに強い。ドルは年初来2位、人民元は4位。
上海総合指数は1.76%高、香港ハンセン指数は0.54%高(年初来)漸くプラス圏。10年国債利回りは2.37%と低下傾向続く。
(格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ、フィッチ)
フィッチは4月9日、中国の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。財政見通しに対するリスクが高まっていることを理由に挙げた。
中国の一般政府財政赤字が2024年に国内総生産(GDP)比7.1%と、23年の5.8%から上昇すると見込んだ。 格付けは「Aプラス」に据え置いた。
なお、ムーディーズは昨年12月5日に、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更している。中期的な経済成長率の低下や不動産部門の縮小が理由。格付けは「A1」。
(重要指標続々)
今週は3月消費者物価、生産者物価 貿易収支
来週は3月小売売上、鉱工業生産 1Q・GDPの発表あり
(日米首脳会談、中国抑止に向けた防衛協力に重点)
日米両首脳は4月10日の会談の冒頭で、中国抑止に向けた防衛協力に重点を置き、強固な日米の同盟を強調した。
(中国とのデカップリングはしないと改めて表明)
イエレン米財務長官は、北京で会見し、中国との切り離しは追求しないと改めて表明した。そして、デカップリングは悲惨な結果をもたらすと述べた。
財務長官は「今回の訪中は3つの側面で重要な進展をもたらし、両国関係の意図せぬ悪化を防いだ」とした。(以下、イエレン財務長官発言)
*米中は両国の均衡ある成長と世界経済について集中的な交流を行うことで合意した、両国は違法金融と共同で闘うための協力を拡大していること、そして、両国は協力を拡大している。
*米中経済貿易交流メカニズムの重要性については、交流を通じて米国は米国民の利益を増進し、経済政策の優先順位を決定し、中国の経済政策についてより深い理解を得ることができる。
*米国の国家安全保障上の懸念を直接伝え、両国関係が意図せず悪化することを防ぐため、潜在的な誤解も明確にした。中国と米国は一貫した利益を持つ問題での協力を再開した。
(17カ月連続で金保有拡大)
中国人民銀行は、3月末時点の金保有高が前月比で16万トロイオンス増えたことを明らかにした。公的部門の買いが最近の金価格の上昇を支えたとの見方を裏付ける結果となった。
金現物は3月に9.3%上昇。月間ベースで2020年7月以来の大幅な上昇を記録した。ワールド・ゴールド・カウンシルは「中国は17カ月連続で金準備を増やしている。複数の中銀が引き続き金の価値を認めているとのわれわれの見解を裏付けるものだ」と述べた。
人民銀行によると、3月末時点の金保有高は7274万トロイオンス。2月末時点の7258万オンスを上回った。ドル建てでは1610.7億ドルで、2月末の1486.4億ドルから増加した。世界の中銀の金需要は2年前から高まっており、今年も積極的な金の購入が見込まれる。中国の他、トルコ、インド、カザフスタン、一部の東欧諸国が今年、金を購入している。
テクニカル分析(人民元/円)
年初来高値更新、週足は4週連続陽線。今週もここまで陽線
日足、4月10日に年初来高値更新。ボリバン2σ上限へ。4月8日-10日の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限が上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、4週連続陽線。今週もここまで陽線。3月25日週-4月1日週の上昇ラインがサポート。3月18日週-4月1日週の下降ラインを上抜く。5週線、20週線上向き。
月足、3か月連続陽線。4月もここまで陽線。2月-3月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限が上値抵抗。
年足、4年連続陽線。22年-23年の上昇ラインがサポート。昨日、1993年以来の21円台のせ。
チーファンラマ
ロシアの外国為替市場における中国人民元の取引が過去最高
ロシア中銀のデータからは、ユーロとドルのシェアが低下する中、ロシアの外国為替市場における中国人民元の取引が過去最高値に達した。
このデータは、西側金融システムからの切り離しが進む中、ロシア経済における人民元の重要性が高まっていることを示す例となった。
24年3月の人民元の取引高は外貨両替総額の53%だったが、2022年3月にはわずか3%であった。
ロシアはドルとユーロを「有害」な通貨と呼び、経済におけるドルとユーロの使用を削減しようとしている。
ただロシア国営メディアのイズベスチヤは3月、中国のいくつかの銀行が米国の制裁の影響を懸念して、ロシアからの人民元での支払いの受け入れを停止したと報じた。中国は、ウクライナとの全面戦争中にロシアとの緊密な関係を育み、経済協力を強化し、ロシアを孤立させようとする西側の試みを妨害してきた。
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