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ドル/円の4月見通し「1ドル152円を巡る市場と当局の神経戦」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のドル/円ポジション動向
・4月の日・米注目イベント
・ドル/円 4月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 3月の推移

3月のドル/円相場は146.474~151.968円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.9%上昇(ドル高・円安)した。日銀のマイナス金利解除に関する報道が相次いだ他、米2月ISM景況指数(製造業・非製造業)が低下したことで円買い・ドル売りが先行すると8日には約1カ月ぶりに146.47円前後まで下落した。しかし、12日発表の米2月消費者物価指数(CPI)や14日発表の米2月生産者物価指数(PPI)が予想を上回ると米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退。ドル高主導で15日には149円台へと持ち直した。

さらに、日銀が19日に事前報道通りにマイナス金利の解除とイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃を決めると、円買い材料が出尽くしたとの見方から円売りが強まり年初来高値を更新して150円台後半へと上昇した。その後、米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内の利下げ見通しを変えなかったことでドルが弱含む場面もあったが、円安の流れは止まらず、月末にかけて151円台に定着。27日には田村日銀審議委員の発言が警戒したほどタカ派的ではなかったと受け止められて1990年7月以来およそ34年ぶりに151.97円前後まで上伸した。その後は日本政府要人から円安けん制が相次いだため伸び悩んだが、高値圏を維持して151.35円前後で3月の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
149.997 151.968 146.474 151.347


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

6日
時事通信社は、3月の日銀金融政策決定会合で一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通しだと報じた。市場は4月のマイナス金利解除を本命視していたことから、早期利上げ観測が高まる形となった。

8日
「日銀、3月会合でマイナス金利解除など議論の見通し」とする観測記事をロイターが報じた。13日の春闘集中回答や15日の連合第1次集計まで見極めた上で最終的に判断するとのこと。さらにその後、時事通信は「日銀、国債買い入れ規模を示す新たな『量的』金融政策の枠組みを検討」と報じ、早ければ3月18-19日の会合でマイナス金利の解除とともにYCCを撤廃すると伝えた。米2月雇用統計は非農業部門雇用者数が27.5万人増と市場予想(20.0万人増)を上回った一方、前2カ月分が合計16.7万人下方修正された。失業率は3.9%と横ばい予想(3.7%)に反して上昇。平均時給は前月比+0.1%、前年比+4.3%だった(予想+0.2%、+4.3%)。

12日
米2月CPIは前年比+3.2%と市場予想および前回(+3.1%)を上回る伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコアCPIも前年比+3.8%と予想(+3.7%)を上回ったが、前回(+3.9%)からはわずかに鈍化した。

14日
米2月PPIは前月比+0.6%、前年比+1.6%とともに市場予想(+0.3%、+1.2%)以上の伸びとなった。また食品とエネルギーを除くコア指数も前月比+0.3%、前年比+2.0%とともに市場予想(+0.2%、+1.9%)を上回った。

19日
日銀は無担保コールオーバーナイト金利を0~0.1%程度に誘導するよう政策金利を変更。YCCは撤廃した。長期国債の買い入れは「これまでと概ね同程度の金額」で継続するとした。このほか、ETFおよびJ-REAT(不動産投資信託)の新規買い入れを終了することを決定した。ただ、事前の報道通りの決定だったことで材料出尽くし感が広がった上に、声明で「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」と表明したことや、マイナス金利の解除に2人の政策委員が反対票を投じたことで追加利上げへの期待が後退した。植田日銀総裁はその後の記者会見で「大規模緩和はその役割を果たした」としつつも「予想物価上昇率の観点から見ると(物価目標の)2%には多少距離がある。そのギャップに着目すれば緩和的な環境を維持することが大事という点に留意しつつ普通の金融政策を行っていく」などと述べた。

20日
FOMCは大方の予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。声明文も「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、利下げが適切になるとは予想していない」との一文を維持するなど、概ね前回の内容を踏襲したものだった。同時に公表した政策金利見通しでも、年内の利下げについて25bp(0.25%ポイント)を3回とする従来の予想を据え置いた。一方で来年2025年は4回から3回へと減らした。パウエルFRB議長はその後の会見で、利下げの開始時期について「年内のある時点になる可能性が高い」として特定の時期には言及しなかった。量的引き締め(QT)を巡っては、バランスシートの縮小ペースを「かなり早期に減速させるのが適切だろう」との見解を示した。

27日
日銀内で最もタカ派と目されている田村日銀審議委員は金融政策について「ゆっくりと、しかし着実に正常化を進める」「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば当面緩和的な金融環境が継続する」と発言。これをきっかけにドル/円は151.97円前後まで上昇して1990年7月以来の高値を付けた。すると、直後に鈴木財務相が「行き過ぎた動きにあらゆる手段を排除せず『断固たる措置』をとる」などと述べて円安けん制のトーンを一段上げた。さらに、財務省、金融庁、日銀は国際金融資本市場に関する情報交換会合(三者会合)を開き、会合後には神田財務官が「行きすぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」「政府・日銀として意思疎通を密にはかり対応に万全を期す。異変に対応する準備はある」と語った。円買い介入の考えについて問われ「文字通りあらゆる手段を排除しない」と強調した。

3月の各市場

3月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

4月の日・米注目イベント

ドル/円 4月の見通し

ドル/円が151.97円前後まで上昇して34年ぶりの152円台に迫った3月27日、鈴木財務相は「断固たる措置を取る」と述べて円買い介入を示唆。前日の「適切に対応する」から円安けん制のトーンを一段引き上げた格好だ。29日には「具体的な防衛ラインはない」としたが、市場は1ドル152円の水準を強く意識している。

4月前半は152円の攻防が最大の焦点となりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、景気が堅調なため「利下げを急ぐ必要はない」として、インフレ低下が確信できるまで利下げを待つ考えを示している。このことから、5日の米3月雇用統計および10日に発表される米3月消費者物価指数(CPI)が注目されるとともに、その結果がドルの値動きに大きな影響を及ぼすと考えられる。

なお、米短期金利市場は6月の利下げ開始を依然として7割程度の確率で織り込んでいる。雇用統計とCPIが予想以上の結果となれば、利下げ観測の後退でドルが上昇する余地は十分にあると言えるだろう。一方で、雇用統計とCPIがよほど大きく予想を下回らない限り6月利下げ観測はこれ以上高まりにくいと見られることから、ドルの下落余地は大きくないとも言えそうだ。

こうした中、ドル/円が4月前半に1ドル152円を超えて上昇する可能性は相応に高いと見ている。市場が強く意識している同水準を上抜ければ、一時的にせよ上昇に弾みが付くことも考えられる。ただし、上昇ピッチ(円安ピッチ)が速まれば、それだけ政府・日銀による円買い介入への警戒感が一層高まることからドル/円の値動きは不安定化する公算が大きい。4月のドル/円相場は152円の攻防を巡る市場と本邦当局の神経戦の行方に注目だ。
(予想レンジ:147.500~154.500円)

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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