総括
FX「通貨3連覇を目指すペソの弱点はないのか」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.8-9.3
(ポイント)
*通貨3連覇を目指すペソに弱点はないのか
*年初来高値更新が続く
*利下げはインフレ対策終了のシグナルでない=中銀総裁
*大統領も強いペソを賞賛
*政策金利は慎重な0.25%利下げ、2021年以来
*メキシコは世界の輸出国のトップ10へ、2023年
*メルカド・リブレ、メキシコに24億5000万ドルの歴史的な投資へ
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
*自動車輸出、郷里送金快調
*米政府、メキシコからの中国車輸入を阻止か
*中国BYDもメキシコ進出か
*2023年のGDPは前年比3.1%増加、IMFの2024年成長見通しは2.7%
*気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
(9円台維持。今週も年間最強を堅持)
メキシコペソ円はメキシコ中銀の利下げと日銀の口先介入というペソ円の売り材料があったにもかかわらず2008年10月6日以来の高値を3月27日に更新(9.162)した凄みがある。
今週も年間最強を堅持。対円で年初来9.76%高。メキシコ・ボルサ株価指数は年初来0.03%安。10年国債は9.61%。
(利下げはインフレ対策終了のシグナルでない=中銀総裁)
ロドリゲス中銀総裁は、先週の政策金利引き下げはインフレとの戦いの終了を意味するものではないと述べた。利下げは緩やかに行うとするとともに、インフレ環境は依然不透明だとして慎重さを示した。総裁は、次回会合の決定は入手可能な統計次第と述べた。インフレ率については、25年2Qに目標の3%プラスマイナス1%の範囲内に収まるとの見通しを示した。
(大統領も強いペソを賞賛)
ロペスオブラドール大統領は、金利引き下げはメキシコへの投資を刺激するだろう、またメキシコの対外債務はペソが強くなれば返済の負担が減少すすると語った。
(ペソ円は2年連続最強、3年連続年足陽線、今年もここまで陽線)
3年連続年足陽線。2021年始値は5.2円、現在は9.11円、75.2%高。ペソロングならこれにスワップ金利が上乗せされる。3年保有していれば100%程度のプラスとなる。これはレバ1倍で単利であるが、これがレバ数倍、複利となればさらに差益とスワップの総合利回りが急上昇する(レバの拡大には注意)。
(このスーパーペソに弱点はないのか)
常に、メキシコの好材料ばかり書いているので、この経済の好循環が崩れる時は何かと想定してみた。米ドルも1984年にはスーパーペソと言われ1ドル260円まで達していたが、1985年のプラザ合意もあり3年後は120円となったので、何が起きても万全の体制をとっておきたい。
*ニアショアリング=弱点があるとすれば殺到する世界各国からの工場進出に人材も含めインフラ整備が追いつかない(嬉しい悩みか)
*郷里送金=米国が不況となれば減少しペソ買いも減少
*トランプ前大統領為替政策=米国の輸出振興でドル安ペソ高政策をとれば今まで通りペソ高
*トランプ大統領がUSMCA脱退?=関税も増税となればメキシコに打撃、ニアショアリングの根幹が揺らぐ
*米墨金利差縮小=最近のメキシコ利下げは影響がなかったが継続すればペソ安へ
*治安問題=世界でも有数の危険な国、大統領選挙での候補者攻撃も懸案事項
*債務問題=現在格付けはBBB、財政悪化でジャンク債となれば海外からの投資が引く
*国営石油会社ペメックスの債務問題は深刻
*米中関係が大幅改善ならば、メキシコへのニアショアリングの勢いは衰える
*ペソ高で輸出業者に打撃(現状では大きな問題となっていない)
*ペソ高で仕送り金額の手取り減少
*当局がペソ高対策を取る時
*AMLO大統領の議員定数の削減提案で亀裂が走る時、政局
*大地震、干ばつ
*カリスマAMLO大統領の退任は
テクニカル分析
年初来高値を更新し続ける
日足、年初来高値を更新し続ける。3月8日のボリバン3σ下限から3σ上限へ急騰。3月25日-27日の上昇ラインを下抜く。3月12日-19日の上昇ラインがサポート。2008年10月6日(9.364)-2024年3月27日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ上限へ上昇。3月11週-18日週の上昇ラインがサポート。2008年10月6日週-2024年3月18日週の下降ラインを上抜く。5週線、20週線上向き。
月足、23年7月からの山なり状態を上抜いた。ボリバン3σ上限に近い。1月-2月の上昇ラインがサポート。2008年8月-2024年2月の下降ラインを上抜く。
年足、23年で3年連続陽線。今年もここまで陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。22年-23年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
今年のペソの対ドル相場は1ドル=17.8ペソ、来年は18.0ペソと想定
メキシコ財務省の予算案によると、今年の経済成長率は2.5-3.5%、来年は2.0-3.0%と想定されている。
今年のインフレ率は3.8%で、中銀目標の3%プラスマイナス1%ポイントに沿うと想定。25年には3.3%とさらに鈍化すると見込まれた。
今年の通貨ペソの対ドル相場は1ドル=17.8ペソ、来年は18.0ペソと想定。現在は16.62。
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