総括
FX「予想を上回る5%利上げで小反発。週末は地方選挙」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.2-5.2
*予想を上回る5%利上げで小反発
*週末は地方選挙、イスタンブール市長選に注目
*他の金融引き締め策は準備預金の一部凍結
*来週は3月消費者物価
*株価は強く、リラは弱い
*リラは10年で10倍安
*貿易・経常赤字は改善せず
*対英貿易の促進を狙う
*対円で10年連続陰線を目指すのか
*対ドルで32リラにのせる。史上最安値
*フィッチは、トルコの格付けを「B」から「Bプラス」に引き上げ
*1月の失業率は悪化
*2023年GDPは4.5%増
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張
*米国は対露貿易に関わるトルコの銀行を制裁か
*預金の4割が外貨預金であることもリラ安要因
*エルドアン大統領はウクライナ・ロシア首脳会談を画策
(先週は週間2位、予想を上回る5%利上げで)
依然、年初来では最下位と弱いが、先週はやや意外な5%利上げで週間では2位となった。利上げにもかかわらず、株価(イスタンブール100指数)は上昇、年初来20.87%高で日経平均を抜いて首位に立った。10年国債利回りは、利上げ後も大きくは上昇せず26.67%。
(トルコ中銀5%利上げ、市場は据え置き予想だった)
トルコ中銀は3月21日、インフレ見通しの悪化を理由に、政策金利を5%引き上げ50%とした。
本誌では前回2.5%利上げの可能性もあるとしていたが、市場は据え置き予想が強く、サプライズ利上げとされた。ゴールドマン・サックスは、リラへの圧力に対処するため、今週2.5%の利上げが行われると予想していた。
中銀は、インフレ統計で基調的な低下が顕著かつ持続的に観察され、インフレ期待が予測するレンジに収束するまで金融引き締めスタンスを維持するとし、インフレ率の大幅かつ持続的な悪化が予想される場合は引き締めを実施することになると述べた。
(他の金融引き締め策=準備預金の一部も凍結)
トルコ中銀は3月13日にも金融機関宛てに送付した指示文書で新たな流動性引き締め策を講じていた。
各金融機関は、リラ建て準備預金の一部を自由に移動させずに「凍結」することが義務付けられる。この比率は資産が1000億リラを超える銀行の場合は、リラ建て準備預金の15%、資産5000億リラ超の銀行は25%となる。
トルコでは2月の物価上昇率が67%に達する中で、政府はインフレ抑制に注力する。
(来週は3月消費者物価)
4月3日に3月消費者物価が発表される。予想は前年比で69.0%上昇、2月は67.07%。
直近の指標では3月消費者信頼感指数が79.4で2月の79.3を若干上回った。
3月企業信頼感指数は104.4で2月の101.5より改善した。今週は3月経済信頼感指数や2月貿易収支の発表がある。
(トルコの預金金利は何%?)
中銀が政策金利を5%引き上げ50%としたことで、3カ月リラ預金の平均利回りは55.66%に上昇した。 3カ月物預金金利はほぼ1年前は約28%だった。
6カ月物と1年物の預金金利はそれぞれ50.33%と44.8%となっている。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
3σ下限から反発。ボリバン中位へ上昇
日足、3σ下限から反発。ボリバン中位へ上昇。3月21日-25日の上昇ラインがサポート。3月22日-25日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。雲の下。
週足、ボリバン2σ下限から反発。3月11日週-18日週の上昇ラインがサポート。2月19日週-3月18日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、2σ下限近辺で推移。1月-2月の上昇ラインを下抜く。12月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間5.2円から4円台へ沈む。去年当初は僅かに陽転していたが3月から陰転。今年1月は陽線も3月で円に抜きさられ最下位へ。
メルハバ
3月31日は地方選挙、見どころは、イスタンブール、アンカラ市長選
前回2019年のイスタンブール市長選挙では、世俗派野党のCHPイマモール氏が、1990年代にエルドアンが市長として統治して以来初めて市長職を奪還した。
昨年の総選挙での大勝利に浮かれるエルドアン大統領は、イスタンブールの奪還に照準を合わせている。
また前回市長選では、野党が首都アンカラを取り戻し、重要なエーゲ海の港湾都市イズミルでも権力を維持し、エルドアン大統領の政治的無敵のイメージを打ち砕いた。エルドアン大統領はイスタンブール市長選にクルム元環境相を出馬させた。
イマモール氏は、2028年にエルドアン大統領のAKP党から大統領職を奪還するための野党の最有力候補として広く見られている。
エルドアン大統領はAKPの選挙キャンペーンを主導しており、彼の集会は毎日テレビで放送されている。一方、野党候補はほとんど放送されない。その代わりにソーシャルメディアを使っている。
コンダ世論調査会社のバキルチ氏は、イスタンブールでは「イマモール氏が優勢」と主張し、「世論調査と実際の選挙結果にはギャップがある」可能性を示唆した。
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