パウエルFRB議長発言、米雇用統計が今まで以上に重要になってくることを示唆【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2024/3/21
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
時間がない方向け「ポイント要約」
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:32 日銀会合 政策変更で円売り進行
1:54 FOMC 政策変更なし ドル売り圧力
3:32 パウエルFRB議長発言 米雇用統計がより重要に
4:12 日本の金融当局 ドル円152円上抜けなら介入警戒も
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要約
日銀会合 政策変更で円売り進行(要約)
今日の未明にFOMCがありました。また、昨日は日銀の金融政策会合ということで、非常に大きなイベントが2つ続きました。
日銀は17年ぶりに金融政策を変更し、引き締め方向に変更しました。マイナス金利の解除、イールドカーブ・コントロールの撤廃、そしてETFなどの新規の買い入れの停止など、大きな転換をしたわけですが、事前に日経新聞をはじめ、19日で実施するということを報道してしまっていたので、驚きはなかったというか、材料は既に出てしまっていた状態だったということです。
その上で、当面はまだ金融緩和が続くという前提のもと、円売りが進むという展開になりました。今後も基本的には円安方向に向かうのかなというふうには思いますが、昨日の反応は極端だったなという感じがしますので、少しこなれた後、また円安方向に向かう展開になるのではないかなと思います。
FOMC 政策変更なし ドル売り圧力(要約)
もう一つはFOMCですけども、ちょっと不思議な反応をしました。金融政策の変更はなかったんですけれども、3ヶ月に1回公表されるドットチャートという、メンバーがこの先の金利をどう見ているかということの発表もされまして、前回と変わらなかったんですね。年内に3回ぐらいの利下げがあるでしょうというようなことだったんですけども、最近のインフレ指標は強かったので、年2回程度に変わるんじゃないかという見方があったようで、変更がなかったことでむしろ利下げムードが高まってしまって、ドルが売られてしまうという状況に入ってきました。少し不思議な反応をしましたので、この影響はちょっと出るかもしれません。だからといって5月に利下げをするというような感じでは全くありませんし、6月の利下げを7割ぐらい織り込んできているんですけれども、これもやり過ぎだと思いますから、どこかでドルはまた反転してくると思います。ただし、今日明日ぐらいはドル売り圧力がかかるということが起きる可能性はあるなと見ております。
一連のことを消化した後に、そうはいっても金利差が起こるよねということで、円が全体的に弱くなっていく。特にクロス円で円安が進む可能性は十分にあると考えているところです。今後しばらく材料がなくなってくる状況になりますので、そうなってくると金利差が効いてくるなということなんじゃないかなと思っています。
パウエルFRB議長発言 米雇用統計がより重要に(要約)
実は、昨日注目すべきことは、パウエルFRB議長が「雇用状況が悪化すれば利下げの正当な根拠になる」と言ったことです。これはとっても大事でして、これから米雇用統計が今まで以上に重要になってくるなということを示唆しています。米雇用統計を今後はよく見ていくということになりますから、来月の米雇用統計は非常に注目度が高まってくると思います。
ただ、それまで時間があるので、材料がない時は金利差が効いてくるので、じわじわと円安に向かってくる展開になってくるのではないかなと思います。
日本の金融当局 ドル円152円上抜けなら介入警戒も(要約)
日本の金融当局ですが、この程度の変動ではやはり動けませんので、ドル円が152円を抜けてくるような展開になってくると、いよいよ介入かということで、その辺では介入警戒感が高まってくると思います。ただ、現状まだそういう段階にありませんので、円安が進めば進むほど介入警戒感は高まって、不安定な動きになる。こういう動きになってくると思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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