執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年2月22日 14時20分
口先介入のトーンの行方は、151円台からは伸びづらい?
2月19日週の米ドル/円は150円付近で振幅
米ドル/円は、カナダ1月消費者物価指数(CPI)が前年比2.9%と予想以上に鈍化したことに米金利が連れて低下したほか、さえない米1月景気先行指数が重しとなり149.681円まで下げる場面はありました。しかし、日経平均株価が1989年の年末に付けた高値3万8915円を超えて堅調に推移したことから、米ドル/円は150.40円台へ戻すなど底堅さを示す場面もありました。とはいえ、イベントレスで値幅は限定されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、AI×生産性上昇≒ドル円サポート (2024年2月21日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米ドル/円の短期上値余地は限定か
米国の利下げ観測を巡っては、3月利下げ期待が減衰し開始時期は6月まで後退しています。しかし、さらに利下げ時期を後退させるには新たな材料が必要で、来週の個人消費支出(PCE)統計や来月の米雇用統計などの結果を見るまでは、その先を織り込みづらいと思われます。PCE統計の結果にまずは要注目です。インフレ再燃が示唆されれば、利下げ開始時期がさらに遅れるとの思惑から、米長期金利の上昇を伴って米ドル/円の上昇に弾みがつくかもしれません。
もっとも、日銀の政策修正期待が健在な点は注意が必要です。成長鈍化にも拘わらず複数のメディアが早期のマイナス金利解除観測を伝える記事を出すなど、日銀のマイナス金利解除への本気度が窺えます。予想以上に前向きな春闘のニュースが流れれば、早期の金融政策修正から円買い戻しが強まる危険もありそうです。また、こうした懸念が高まらずとも、米緩和観測の後退から米ドル/円が152円台を目指す格好になれば、本邦の口先介入レベルがもう一段引き上げられることは容易に想像がつくため、151円台からの追随買いは慎重に考えたいです。
来週の米ドル/円、149.42円レベルなら打診買い
米ドル/円は、強気の三角持ち合い(アセンディング・トライアングル)の形状を保ちながらの推移が続いており、レジスタンスラインである23年11月13日高値151.910円の突破が意識されやすい状況です。短期下値支持線が走る149.42円付近までの調整があるようなら押し目を拾い、152円トライを期待したいです。ただ、このレベルを明確に割り込んできた場合は、一目均衡表・基準線までの調整も視界に入るため、一旦、撤退して仕切り直したいと考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:148.000-152.000
2/26 週のイベント:
2/26(月) 8:50 日本 1月企業向けサービス価格指数
2/26(月) 24:00 米国 1月新築住宅販売件数
2/27(火) 8:30 日本 1月全国消費者物価指数(CPI)
2/27(火) 22:30 米国 1月耐久財受注
2/27(火) 23:00 米国 10-12月期四半期住宅価格指数
2/27(火) 24:00 米国 2月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
2/28(水) 22:30 米国 1月卸売在庫
2/28(水) 22:30 米国 10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
2/28(水) 26:00 米国 ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
2/28(水) 26:15 米国 コリンズ米ボストン連銀総裁、発言
2/28(水) 26:45 米国 ウィリアムズ米NY連銀総裁、発言
2/29(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
2/29(木) 8:50 日本 1月鉱工業生産・速報値
2/29(木) 22:30 米国 1月個人消費支出(PCE)
2/29(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
2/29(木) 23:45 米国 2月シカゴ購買部協会景気指数
2/29(木) 24:50 米国 ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
2/29(木) 25:00 米国 クールズビー米シカゴ連銀総裁、発言
2/29(木) 28:15 米国 メスター米クリーブランド連銀総裁、発言
3/1(金) 8:30 日本 1月失業率
3/1(金) 10:10 米国 ウィリアムズ米NY連銀総裁、発言
3/1(金) 23:45 米国 2月製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値)
3/1(金) 24:00 米国 2月ISM製造業景況指数
3/1(金) 24:00 米国 1月建設支出
3/1(金) 24:00 米国 2月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
3/1(金) 26:15 米国 ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
3/1(金) 27:30 米国 デーリー米サンフランシスコ連銀総裁、発言
一言コメント
TEAMハロンズ黒川氏による3分テクニカルが、昼14時、夕方18時30分から視聴者参加型のライブ形式に変更しました。解説を聞きたい方は、アクセスを待ちしております。3分テクニカルLive
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