FOMC議事録で利下げ遠のくも市場は織り込み済み、ドル買いには反応せず【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2024/2/22
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:34 相場振り返り FOMC議事録はドル買い材料にならず
2:08 ドル円見通し 金利差トレードが続く
3:29 メキシコペソの見通し 底値しっかりで安心感
3:58 足元のトレード戦略 クロス円のロング中心
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要約
相場振り返り FOMC議事録はドル買い材料にならず
この1週間は、円全面安と言うか、円安がじりじりするという展開になりました。材料がない時というのは金利差に目が行くというのが鉄則です。その上で、昨日1月31日開催分のFOMC議事録が発表になりましたけども、特段驚くようなことは書いていませんでした。全体的な印象としては、「利上げはもう終わって金利はピークだけども、簡単に利下げをできるような状況ではありませんよ」と、「仮に利下げがあったとしても、それは継続的な利下げにはならないんじゃないですか」というようなニュアンスの意見が多かったということです。これは、大体予想の範囲内ということですね。利下げが遠のいたということはドル買い材料になりそうな気がします。ただ、今年前半は利下げをかなり織り込んでいました。マーケットも間違えたということで、今修正をしてきています。かなりの修正がもう終わっていますので、利下げはかなり遠のいたという認識をマーケットが持っている段階でFOMC議事録が出ました。つまり、再確認という程度で、これがドル買い材料にはならなかったというのが背景です。
ドル円見通し 金利差トレードが続く
当分利下げがないという前提に立ちますと、ドルは底堅いかもしれませんけれども、どんどんドル買いが進んでいくという状況ではない。言ってみれば、今度は利上げ観測とか、こういうものが出てこないと、なかなかドルが上がっていかないという状況になってくるということです。ドル円も149円台~150円台でうろうろともみ合いに入ってしまいましたし、他のユーロドルやポンドドルに至っては、クロス円の買いの影響でむしろドル安になっています。ユーロ買いとかポンド買いになっているので、結果としてユーロドルとかポンドドルもドル安になっているというような展開になっています。つまり、アメリカの金融政策を背景とした相場の変動というのは今はなかなか難しくて、材料がない中やはり金利差に目が行くということで、クロス円で買いが入っている。つまり円売りが入っているという流れがマーケットのいろんな通貨の動きに影響をしているという段階にあるということです。
これからの1週間も大きな材料はありません。米雇用統計も3月は8日ですから、当分大きな材料がありませんので、この金利差トレードっていうのはまだ続いてしまうんじゃないかなというふうに思います。
メキシコペソの見通し 底値しっかりで安心感
メキシコペソも今は8.81円前後に来ています。これも、これまでの2~3年の高値を抜けて上に跳ねるかなと思いましたけど、ジリジリしている展開です。ただ、金利差を背景とした資金が入っているので、底値はしっかりしてるということで安心感がありますね。ですから、僕もこれはまだ買いを継続しています。
足元のトレード戦略 クロス円のロング中心
アメリカも日本も株価が非常に好調ですね。株式市場が好調ですとリスクオフの動きが起きにくいので、クロス円の買い、つまり金利差トレードっていうのは余計に施行されやすいということですから、当分この金利差トレードというのがマーケットの中心になっていくと思います。基本的には、僕も今はドル円でちょっと短期トレードをしながら、クロス円のロングを中心にポジションを取ってるということをやっていますが、これを継続していきたいと思います。

今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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