総括
FX「12月は円高の月。メキシコのファンダメンタルズは依然強い」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.0-8.5
(ポイント)
*12月に強い円と、利下げ示唆で下落
*メキシコ自体のファンダメンタルズは強い
*12月も、年間でもペソはドルより強い
*FOMC、メキシコ中銀が揃って政策金利を据え置き、微妙にメキシコが慎重
*メキシコ経済は堅調、インフレも改善
*郷里送金42カ月連続増加
*中銀ヒース理事、来年2月か3月までに金利を「調整」する可能性示唆
*フィッチの格付けは
*懸念は財政赤字、大統領選挙の焦点
*対ドル1.6台突入はペソ高懸念にも注意
*大統領は「スーパーペソ」の復活を歓迎
*メキシコ大統領選挙は2024年6月
*ニアショアリングは強化
*ペソ高が輸出に悪影響を与えるという懸念なし、財務副大臣
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
(政策金利、米墨金融政策決定を終えてペソが小反発)
注目の米墨中銀の金融政策決定があった。FRBは政策金利を据え置きつつも2024年の3回の利下げを示唆した。メキシコ中銀は、全会一致で政策金利を11.25%据え置いた。据え置きは6会合連続。見通しはなお厳しいとしながらも、インフレ抑制の進展は見られているとの認識を示した。全体的なインフレは低下するものの、コアインフレは上昇することが示されている。長期期待は依然として目標水準を上回って安定している。
中銀は声明で、インフレ率を目標に戻すために政策金利を「当面」現行水準に維持する必要があると改めて表明。インフレ率は2025年2Qに目標水準に戻るとの予想を維持した。
FRBと比較すれば、これまでのメキシコ中銀の利下げ観測先行から、今回は若干メキシコ中銀に慎重さが伺われペソが前日比で上昇した。
(12月は円高の月、メキシコペソは今月も対ドルで強い)
12月は弱いスタートとなった。8円50銭から一時8円10銭台へ下落した。それでもここまで月間4位。対ドルでは月間で1.1%高。対円で3.17%安。年間では対ドルで11.85%高、対円で22.77%高。
12月は円高の月だ。過去5年で4回円高となっている。今年もここまで最強であり、去年の12月以来の月間最強となる可能性も大きい。一方、メキシコペソは、円以外の通貨には強い。メキシコに悪材料が出ているわけでもない。ボルサ株価指数も年初来17.69%高。10年国債は9.281%と低下傾向。
(11月消費者物価上昇、年率上昇は1月以来初めて)
11月消費者物価上昇は4.32%と、2年半ぶりの低水準だった10月の4.26%から上昇したが、予想の4.40%をわずかに下回った。年率上昇は1月以来初めてで、食品や非アルコール飲料など一部のCPI品目の価格上昇が後押しした。コアインフレ率は5.30%と、前月の5.50%から10カ月連続で低下し、2021年10月以来の低水準となった。
(依然、指標は強い)
11月消費者信頼感指数は47.3で10月の46.2から改善。11月自動車生産は前年比18.1%増、輸出は21.7%と高水準を保っている。10月鉱工業生産は前年比5.5%増で10月の4%増を上回った。
海外からメキシコ国内への送金額が10月は58億1200万ドル。増加は42カ月連続で、単月の送金額として過去最高を更新した。
テクニカル分析
ボリバン2σ下限あたり、下降ラインを上抜くか
日足、ボリバン3σ下限を一時下抜く。雲下。12月7日-12月14日の上昇ラインがサポート。12月13日-14日の下降ラインが上値抵抗だが上抜くか。5日線、20日線下向き。
週足、2週連続陰線、今週もここまで陰線。10月9日週-12月4日週の上昇ラインがサポート。11月27日週-12月4日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向く。
月足、7月から山なり状態。11月の長い上ヒゲが12月の下げを誘ったか。10月は9月の「陽の陽はらみ」で下落していた。10月-11月の上昇ラインを下抜く、1月-3月の上昇ラインがサポート。8月-11月の下降ラインが上値抵抗。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
バイデン大統領、中国の投資制限でメキシコと協力
バイデン政権は、中国などの国による北米企業への投資や米国のサプライチェーンへのバックドア発見を阻止することを目的にメキシコと新たな合意に達した。
この協定は、中国による米国の技術へのアクセスを阻止するためのバイデン政権の新たな取り組みを示すものだ。
目標は、対米外国投資委員会(CFIUS)からの情報とベストプラクティスを共有することで、メキシコによる外国投資の審査強化を支援することだ。
「国家安全保障上のリスクをもたらす外国投資を防ぐために両国が協力することで利益が得られる」とイエレン財務長官は声明でこう述べた。
「この関与は、貿易問題だけでなく、国家安全保障の重要な問題に関しても、両国間の緊密なパートナーシップをさらに証明するものである」
米国の省庁で構成されるCFIUSは、50年近くにわたり、国家安全保障を守るという明確な目的を持って米国企業への海外投資を審査している。
米国と自由貿易協定を結んでいるメキシコとカナダに拠点を置く企業は、支出の一部から恩恵を受けることができる。 過去 3 年間、バイデン政権は、半導体や人工知能などの重要技術において中国が軍事的優位性を獲得することを防ぐことを優先事項としてきた
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