総括
FX「経済理念通りにリラ相場は動かずジリ安。パレスチナ紛争はトルコに打撃」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.8-5.8
(ポイント)
*パレスチナ紛争はトルコに打撃
*評価の高い正統派経済政策でもリラ上昇せず
*預金の半分は外貨という異常さ
*9月の消費者物価は61.5%
*世銀は成長見通しを上方修正
*為替加入原則なし=中銀
*中銀総裁、海外投資家会合を開催
*大統領、イスラエル・パレスチナ衝突で仲介に意欲
*S&Pやムーディーズはトルコの評価を引き上げ
*今年の株価指数は世界最強。長期金利も政策金利引き上げとともに上昇
*外貨準備は15週連続で増加
*中銀=インフレ見通しが改善するまで段階的な引き締めは強化
*中銀=国内に資金を呼び込む決意
*大統領自ら積極経済外交を続ける
*EUとの関係悪化か
*スウェーデンのNATO加盟も難航
*貿易経常収支の赤字がリラ安を生む
(評価の高い正統派経済政策でもリラ上昇せず、パレスチナ紛争は打撃)
引き続き、新しい正統派経済政策についてはS&P、ムーディーズ、IMFなどの評価は高いが、リラは上昇せず、対ドルではじり安。ただ対円では円も弱いので横ばい推移となっている。トルコの恒常的な貿易赤字や国民の外貨選好がリラ安を招いている
またパレスチナ紛争はトルコが打撃を受ける。トルコへの資金流入と資源輸入で最近はイスラエルとサウジアラビアの関係が改善しているところだった。紛争はその流れに障害となる。
(9月の消費者物価は61.5%)
9月製造業PMIは49.6で前月の49から改善した。9月の消費者物価上昇率は前年同月比61.5%。8月の58.9%から加速した。政府は2023年末時点で65%を見込んでいる。中銀は政策金利を年30%としたが、実質金利はマイナスの状態が続いている。9月貿易収支は49.9億ドルの赤字、前月の86.6億ドルの赤字から改善した。
今週は8月失業率、鉱工業生産 経常収支の発表がある。
(成長見通しを上方修正)
世界銀行は、内需と5月の選挙後の政策不確実性の低下が見通し修正の主な要因だとし、トルコの今年の経済成長見通しを上方修正した。従来予想の3.2%から4.2%拡大すると予想しているとした。
(為替加入原則なし)
為替について、エルカン中銀総裁は、為替レートの目標はなく、為替レートを一定の水準に維持するための取引は行っていないと述べた。
総裁は、外国為替市場に流動性を提供することは時々しかないが、これは世界のすべての中銀が採用している一般的な慣行であると述べた。「為替レートを一定の水準に維持する意図があれば、私の就任以来観察されているような為替レートの上昇は起こらなかったでしょう」と述べた。また、通貨に対する投機的攻撃があった際には中銀が市場に介入しており、取引は最小限であり、為替市場の過度の変動を防ぐことを目的としていると付け加えた。
(トルコ中銀総裁、海外投資家会合を開催)
エルカン中銀総裁は今週モロッコのマラケシュで開催されるIMF年次フォーラムに合わせ、6月の就任後初めてとなる海外投資家との会合を開く。 会合にはブラックロック、JPモルガン、ドイツ銀行の関係者らが参加するという。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ジリ安
日足、8月24日の大陽線で一気にボリバン3σ上限を突破、5.77をつける。ただ、行き過ぎで反落。一時ボリバン3σ下限割り込む。ボリバンの幅は狭い。5日線、20日線下向く。
8月24日-10月9日の上昇ラインがサポート。10月6日-9日の下降ラインが上値抵抗。雲中。
週足、横ばい。7月24日週-10月2日週の上昇ラインがサポート。9月25日週-10月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線下向き。
月足、8月最強もまだ2σ下限近辺で推移。23年6月-7月の下降ラインを上抜く。7月-8月の上昇ラインがサポート。5月-6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。
メルハバ
トルコ大統領、仲介に意欲 イスラエル・パレスチナ衝突で
(トルコは資金の取り入れと資源輸入で最近、イスラエルとサウジアラビアと関係改善している。その中で起こったパレスチナ紛争だ)
エルドアン大統領は、イスラエルとパレスチナ勢力の緊張緩和に向けて外交努力を加速させると表明した。その上で「2国家共存」が地域の平和を実現する唯一の道との見方を示した。
衝突を激化させる行動をやめるよう双方に呼びかけ、イスラエルとパレスチナの対立が中東のあらゆる問題の根源にあると指摘。「持続的な地域の平和はパレスチナ・イスラエル問題の最終的な解決策を見いだすことによってのみ可能になる」とし、2国家共存の観点を維持することが非常に重要だと述べた。
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