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投資詐欺シリーズ「詐欺をする人、される人」-あなたは大丈夫?!意外と身近な投資詐欺(第5回)

(画像=PIXTA)

以下の取材記事は金融ライターK氏が執筆したものです。その内容について当社が 保証するものではありません。

www.gaitame.com

どこにでもいる”普通”の人

「自分が騙されることはない」「気を付けているから詐欺には引っかからない」多くの人たちは、「自分が詐欺にあうことはない」と思っているのではないでしょうか。

しかし、2022年、利殖に関する詐欺だけでも、被害者数は3万人を超えています(※1)。どうしてこんなにもたくさんの人たちが、詐欺師に騙されてしまうのでしょうか。

※1警察庁 「令和4年における生活経済事犯の検挙状況等について」の「利殖勧誘事犯の累計別検挙状況」より

「全身を高級ブランド品で着飾っているような”分かりやすい”詐欺師もいますが、マルチ商法の末端で詐欺を働くような人は、本当に見た目も普通なんです」
これまで多くの詐欺案件を手掛けてきた杉山雅浩弁護士(ワンピース法律事務所代表)は、「実際に勧誘してくる詐欺師を外見や生活ぶりで見分けるのは難しいだろう」と語ります。
ただ、詐欺師が持ちかける話には、「同じような特徴がある」といいます。

増える「モノなし」マルチ詐欺

「ネットワークビジネスのケースが非常に多い。いわゆる『モノなし』マルチ商法です。
そのときに詐欺師は『他人の看板』を使います。商品やサービスに欠陥や不備があっても、「私ではなく会社に直接言ってくれ」と言えるからです」(杉山弁護士)
これまでマルチ商法というと、化粧品や健康食品など「有形」の商品を販売するケースが多かったのですが、最近では、「暗号資産」や「海外FX」など金融商品への投資、アフィリエイト(成功報酬型広告)を謳った儲け話の勧誘で、紹介料や報酬をもらう「モノなし」マルチ商法が増えています。
消費者庁の消費者白書(令和2年版)によると、「モノなし(サービス)」マルチ商法の相談件数は6,021件(2019年度)でした。年々増加傾向にあり、2018年からは「モノあり」よりも「モノなし」マルチ商法の件数が多くなっています。
また、年代別の内訳を見ると、20歳未満と20代でほぼ50%を占めており、若者世代に「モノなし」マルチ商法が広がっていることがわかります。

 

出典:消費者白書(令和2年度版)より筆者作成 (同様のものを新規制作)

「過剰」「誇大」「虚偽」のオンパレード

「紹介料の獲得が目的ですから、『ガラクタ』商品でも、投資詐欺でも、別に構わないんです。問題が起きても自分で責任を負わないつもりですから。だから『過剰勧誘』『誇大広告』『虚偽説明』と、もう歯止めが効かなくなります。こうした点はマルチ商法詐欺の特徴のひとつです」(杉山弁護士)

詐欺事件を調べていて、しばしば耳にするのは、「会社の同僚、大学の同級生、SNSやマッチングアプリで知り合った人から、『かわいい女性を紹介する』『いい出会いのパーティーがある』と誘われて出かけていくと、マルチ商法のセミナー会場だった」というようなケースです。

結局、「虚偽」の勧誘で参加させられたセミナーでは、「月利20%」の高利回り商品を勧められたり、「1日30分で月収100万円」のような高収入の副業を、執拗に持ちかけられたりします。

まさに杉山弁護士が指摘した「過剰勧誘」「誇大広告」「虚偽説明」のオンパレードです。勧誘の際に嘘をつかれたり、常識的にあり得ないような利益の儲け話にしつこく誘われたりしたら、真っ先に詐欺を疑うべきなのです。そもそも、そんなに「おいしい話」を、なぜ他人と分け合う必要があるのでしょうか。他人などに教えず、独り占めにすればいいのに。

詐欺される人の共通点

一方で、詐欺師に騙されてしまった人たちに共通点はないのでしょうか。

「詐欺被害で多いのは、『この人なら絶対に信用できると思った』『勧誘してきたのが友人だったから』『〇〇さんのような優れた人だったから』『この人は絶対にウソをつかないから』といった理由で決めて失敗するケースです」(杉山弁護士)

本来、投資や副業は商品やサービスの中身で判断すべきなのに、勧誘者やビジネスを運営する「人物」で判断している人が多いというわけです。

2021年11月に摘発された「ジュビリーエース」事件(※2)は、「月利20%」という高利回りと、各取引所で異なる暗号資産の価格が異なることを利用する「アービトラージ」で「確実に利益が出る」という誘い文句で投資を募り、総額で約650億円を集める大型詐欺事件となりました。

その際に大きな役割を果たしたのが「カリスマ講師」の存在と、投資家が新しい投資家を集めるというマルチ商法のスキームです。

(※2 2021年11月に摘発された無登録の金融関連商品販売をめぐる投資詐欺事件。大学時代の友人から紹介され、投資を迫られた末に、消費者金融で資金を借り入れて投資した22歳の女性が、配当が得られないことを苦に自殺した。詐欺グループのリーダーは金融商品取引法違反の罪で、懲役2年6ヵ月、執行猶予5年の有罪判決)

まさに、「(カリスマ講師の)〇〇さんがやっているから」「(投資をしている)〇〇さんに誘われたから」という「人」を信じた結果、詐欺被害は大きくなりました。

「月利20%の金融商品は、5年後には元本が5万倍超に増えます。常識的に考えたらあり得ませんが、『そんな利率もあるんだ』って信じてしまうんです」(杉山弁護士)

もし仮に100万円を月利20%で5年間、複利運用すると、運用益は563億円を超えます。本当にそんな金融商品があるならば、すでに日本中は億万長者だらけになっていることでしょう。杉山弁護士は「中身を冷静に判断せずに、『人』を信じてしまったから起きた」と指摘します。

同じ人からの同じような投資話は要注意

信じられないかもしれませんが、詐欺被害では、同じ人が同じ相手に何度もダマされるケースが少なくありません。 「前の案件は残念でしたが救済案件があります」「損した分をこれで取り戻しましょう」詐欺師は騙した人を再び勧誘して、別の詐欺商品を売りつけます。

これは「コンコルド効果」と呼ばれるもので、詐欺師は「損失を取り返そう」という人間の心理に付け込んでいるのです。

失敗したにもかかわらず、同じ人からの誘いに応じてはいけません。投資詐欺には破綻前提のものがあるからです。よく知られる手法が「ポンジスキーム」です。投資家から集めたお金を運用しているように見せかけ、実際は運用せずに、集めたお金から投資家に運用益を配当します。新規の投資家を集め続けない限り、ポンジスキームは崩壊します。

「〇〇さんに紹介された話だから」ということだけで投資を決断するのは間違いです。投資は「人」を信じるのではなく、「商品」が信じられるかどうかです。勧誘された投資話の中身をしっかりと見極めた上で判断しましょう。

PickUP編集部:ライターK 大学卒業後、テレビ制作会社に勤務、NHKや民放局の報道番組でディレクターを務める。その後、出版業界に転じて金融・経済誌の編集者や記者として、政治・経済・金融などの記事制作に携わってきた。現在はフリーで活動中。FX歴は10年以上。実際にポジションを持って、FXトレーダーたちのトレード手法を確認する日々を送っている。