読む前にチェック!最新FX為替情報

読む前にチェック!
最新FX為替情報
CFD銘柄を追加!

スプレッド
始値比
  • H
  • L
FX/為替レート一覧 FX/為替チャート一覧 株価指数/商品CFDレート一覧 株価指数/商品CFDチャート一覧

投資詐欺シリーズ「投資詐欺に狙われる若者世代」-あなたは大丈夫?!意外と身近な投資詐欺(第4回)


(画像=PIXTA)

以下の取材記事は金融ライターK氏が執筆したものです。その内容について当社が 保証するものではありません。

www.gaitame.com

増える詐欺被害

詐欺被害にあう人が増えています。警察が検挙した詐欺事件の被害者数(※1)は、2017年は4,503人でしたが、5年後の2022年には30,549人と6倍以上に増えました。

注目すべきは、詐欺被害にあう年齢層が若くなってきている点です。警察に寄せられた詐欺被害の相談件数を世代別に比較(※1)してみると、この傾向がよく分かります。2017年には49.7%だった60代以上の相談件数が、2022年には25.8%と大幅に減少しているのに対して、20代(20代未満も含む)から50代までの世代で相談件数が大きく増えています。

※1警視庁「令和3年、令和4年における生活経済事犯の検挙状況等について」 出典:警察庁「生活経済事犯の検挙状況等について」の「利殖勧誘相談」から筆者作成

その中でも、2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられたこともあり、若者世代の詐欺被害の増加が強く懸念されていましたが、残念なことに、20代(20歳未満も含む)は9.4%から15.8%に増加し、30代でも7.8%から15.1%と増えるなど、それを裏付けるような結果となっています。

SNSに仕掛けられた巧妙な罠

なぜ若者世代で詐欺被害が広がっているのでしょうか?

「詐欺師は華やかなパーティーや高級スポーツカーの写真で、『こんな儲かっている』みたいな情報をSNSで拡散させます。興味を持った人がコメントすると、直接、詐欺師から連絡が入ります」

これまで多くの詐欺事件を手掛けてきた杉山雅浩弁護士(ワンピース法律事務所代表)は、若者世代に詐欺被害が広がっている要因として、「SNSを利用した案件が急増している」と指摘しています。

「多くの若者が買い物や食事でスマホ決済を利用しますし、匿名性の高いSNSでのやりとりにも、あまり抵抗がないからでしょう」(杉山弁護士)

SNSは一度も面識のない人や外国に住む人と、気軽に会話したり、友達になったりする機会を飛躍的に増やしてくれました。そうしたSNSの長所を詐欺師は逆手に取り、若者たちに「罠」を仕掛けてくるのです。

急増する暗号資産トラブル

特に暗号資産に関連した詐欺被害の増加が顕著です。国民生活センターによると、2019年に2,801件だった暗号資産のトラブル相談件数は2021年には6,374件と2倍以上に増えました。

出典:国民生活センター

新しく登場した金融商品の「暗号資産」に対する関心は高く、2017年後半にビットコインが急騰し、その後、大暴落したニュースは皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。暗号資産は大きなリスクがあるものの、短期間に億円単位の資産を築き、「億り人」になったトレーダーが誕生しています。

こうした「暗号資産はすごく儲かる」というイメージを詐欺師が悪用していると、杉山弁護士は警鐘を鳴らします。

「きらびやかな『億り人』というイメージを有効に使いながら、手軽に借金で資金調達する方法まで指南して、お金のない若者世代を取り込みます」

つまり、詐欺でお金を騙し取られるだけでなく、多額の借金まで抱え込んでしまい、さらに深刻な被害を受けている被害者が出ているというのです。

その典型的な事例が2021年11月に警視庁が摘発した「ジュビリーエース」事件(※2)です。大学時代の同級生から勧誘された22歳の女性(当時)が、消費者金融から借金をして投資を行い、結局、配当も得られず、返金も応じてもらえなかったことを苦に、自ら命を絶つという凄惨な出来事が起きてしまいました。

※2 無登録の金融関連商品販売をめぐる投資詐欺事件。詐欺グループは高利回りと確実な利益を謳い、650億円もの資金を集めた。2023年3月、金融商品取引法違反の罪で詐欺グループリーダーには、懲役2年6ヵ月、執行猶予5年の有罪判決が下されている。

投資や副業が当たり前だからこそ気をつける

「将来、本当に年金はもらえるのか」「この先、自分の収入は増えていくのか」。こうした不安を抱えて生活する若者は少なくないでしょう。サラリーマンの8割以上が副業を始めたいと思っているという調査結果もあります。若者に限らず、多くの人たちが投資や副業で少しでも資産を増やそうと考えています。

しかし、そこには「詐欺」という大きな落とし穴が潜んでいるかもしれません。

「どうしても社会的な経験が浅く、経済の常識をよく知らない若者世代は、SNSを使った詐欺にひっかかりやすい」(杉山弁護士)

ジュビリーエース事件で自殺してしまった女性被害者の代理人を務めた杉山弁護士は「おいしい儲け話はまず疑ってください」と若者世代に強く注意を呼び掛けています。

それは詐欺で失ったお金は取り戻すのが非常に難しいからです。詐欺被害から自分を守る一番の方法は、とにかく詐欺にあわないようにすることです。そして投資は借金をしてまでやるべきことではありません。「果たしてSNSで知り得た投資話は本当なのか」しっかりと情報を調べて、詐欺師に騙されることがないように気をつけてください。

PickUP編集部:ライターK 大学卒業後、テレビ制作会社に勤務、NHKや民放局の報道番組でディレクターを務める。その後、出版業界に転じて金融・経済誌の編集者や記者として、政治・経済・金融などの記事制作に携わってきた。現在はフリーで活動中。FX歴は10年以上。実際にポジションを持って、FXトレーダーたちのトレード手法を確認する日々を送っている。