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ユーロ/円の8月見通し「独景気不安で利上げ休止観測」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 7月の推移
・7月の各市場
・7月のユーロ/円ポジション動向
・8月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 8月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 7月の推移

7月のユーロ/円相場は151.390~158.042円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.6%下落した(ユーロ安・円高)。前半は、米利上げ打ち止め観測などを背景にドルが軟調に推移する中でドル/円の下落につれて153円台に軟化する場面もあったが、ユーロ/ドルの上昇に支えられて下げ渋った。

なお、18日にはユーロ/ドル相場が1年5カ月ぶりに1.1275ドル前後まで上伸。ユーロ/円は円高が一服した21日に2008年9月以来、14年10カ月ぶりの高値となる158.04円前後まで上昇した。ただ、ユーロ圏の中核国であるドイツの景況感が悪化したことで域内景気の先行きに不透明感が広がりユーロ買いが失速。27日の欧州中銀(ECB)の利上げはユーロの押し上げに至らず、今回の局面で最後の利上げになるとの思惑も一部に浮上する中で反落した。

日銀が緩和策の一部修正を発表した28日には一時151.39円前後まで下値を拡大したが、日米欧の中銀イベントを消化した材料出尽くし感などから一転して円売りに傾くと31日には一時157円台を回復して156円台で取引を終えた。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

5日
ユーロ圏6月サービス業PMI・改定値が52.0へと下方修正され(速報値52.4)、総合PMIは6カ月ぶりに好不況の分岐点とされる50.0を下回り49.9へと修正された(速報値50.3)。ECBの月次調査で5月にユーロ圏消費者の向こう1年間の期待インフレ率が3.9%に低下(4月4.1%)したこともあってユーロは一時下落した。

7日
独5月鉱工業生産は前月比-0.2%と市場予想(±0.0%)を下回り、前月の+0.3%から再び減少に転じた。米6月雇用統計を前にドル/円が下落したこともあってユーロ/円は155円台へと軟化した。

11日
独7月ZEW景況感調査は期待指数が-14.7と市場予想(-10.6)を下回り、2022年12月以来の低水準となった。独ZEW(欧州経済研究センター)は「工業セクターは予想される景気低迷の矢面に立たされる可能性が高い。これら輸出型産業の利益見通しは再び大幅な落ち込みとなっている」との見解を示した。

13日
ECBは6月理事会の議事録で「25bp(0.25%ポイント)の利上げを支持する非常に幅広いコンセンサスがあった」が「高インフレが根付くリスクを考慮し、50bpの引き上げを望む意見も当初表明された」ことを明らかにした。

18日
ECBの政策メンバーであるクノット・オランダ中銀総裁は「7月は利上げが必要だろう。その後についてはせいぜい『可能性』で、決して確実ではない」と発言。従来のタカ派姿勢を覆すハト派的な発言と受け止められたことでユーロは一時反落した。

19日
ユーロ圏6月消費者物価指数(HICP)・改定値は前年比+5.5%で速報値と同じだったが、コアHICPは速報値の+5.4%から+5.5%に上方修正された。英6月CPIの鈍化を受けた英長期金利の低下につれていた独長期金利が持ち直す中でユーロが上昇。ユーロ/ポンドの大幅高もユーロの支えとなった。

24日
独7月製造業PMI・速報値は38.8と市場予想(41.0)に反して前月(40.6)から低下。同サービス業PMI・速報値も52.0と予想(53.1)および前月(54.1)を下回った。この結果、独7月総合PMI・速報値は48.3となり、1月以来6カ月ぶりに好不況の分岐点とされる50.0を割り込んだ。これを受けてユーロは売りが強まった。その後に発表されたユーロ圏7月製造業PMI・速報値は42.7(予想43.5、前月43.4)、同サービス業PMI・速報値は51.1(予想51.6、前月52.0)だった。

25日
独7月IFO企業景況感指数は87.3と市場予想(88.0)を下回り、2022年11月以来の水準に低下した。また、ECBが発表した4-6月期銀行貸出調査で、ユーロ圏の企業の融資需要が過去最大の落ち込みを記録したことが明らかになった。

27日
ECBは主要政策金利を予想通りに4.00%から4.25%へ引き上げた。声明では「金利はインフレ率を2%の中期目標に適時に戻すために必要な限り、十分に制限的な水準に設定されることになる」としたが、次回9月の追加利上げについては明確な手掛かりを示さなかった。

その後、ラガルドECB総裁は「サービス業の勢いは減速し、製造業も弱い外需によって抑制されている」と域内景気に対する弱気な見方を示した上で、「9月以降の決定についてはオープンな姿勢で臨む」として据え置きもあり得るとの見解を示した。これらを受けてユーロは下落。さらにその後、日本経済新聞が翌日の日銀金融政策決定会合で金融緩和の一部修正を議論すると報じたことで円買いが強まるとユーロ/円の下げは加速した。

7月の各市場

7月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

8月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 8月の見通し

ユーロ圏で最大の経済規模を誇るドイツの景気が不安視されている。ドイツの4-6月期国内総生産(GDP)成長率は前期比±0.0%(7月28日の改定値で-0.1%から上方修正)で、3四半期連続のマイナスを免れるのがやっとであった。国際通貨化基金(IMF)が7月に発表した最新の経済見通しでも、ドイツの2023年の成長率は前年比-0.1%に下方修正されている。中核国であるドイツ経済の失速などから欧州中銀(ECB)の引き締めペースが鈍る可能性も高まっている。

タカ派として知られるオランダ中銀のクノット総裁でさえ、次回9月会合の追加利上げについては確実ではないと表明。7月ECB理事会後にはラガルド総裁も「9月以降の決定についてはオープンな姿勢で臨む」とした。一時は100%に達していたユーロ圏金利先物が織り込む9月の25bp(0.25%ポイント)の確率は1日時点で30%台に低下している。これまでのユーロは、ユーロ圏の景気が後退気味でもECBが利上げを続けるとの期待で堅調を維持してきただけに、景気後退懸念によって利上げ終了観測が高まれば反落は免れないだろう。

9月の利上げの有無を占う上で、15日の独・ユーロ圏8月ZEW景況感調査や23日の独・ユーロ圏8月購買担当者景気指数(PMI)・速報値、25日の独8月Ifo景況感指数などの景気関連の経済指標の結果が注目されよう。その他、ユーロ/円相場を見る上では円の動きも焦点となりそうだ。

日銀が7月末にイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化を決めたことで次の政策修正は当分ないとの見方が広がりつつある。そうした流れが続くようなら、弱いユーロよりさらに円が弱含むことでユーロ/円が押し上げられることも考えられる。
予想レンジ:152.500~159.500円

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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