総括
FX「トルコの見果てぬ夢(EU加盟)へ一歩前進。リラ安は放置」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価6位)
予想レンジ トルコリラ/円5.0-6.0
(ポイント)
*リラ安放置。相場は市場に任せる。介入せず
*エルドアン大統領はEUに加盟したい
*6月の消費者物価は前年比で38.21%上昇
*先週発表の6月製造業PMI、貿易収支はまずまず
*6月失業率改善
*付加価値税を2%引き上げ
*選挙後の金融市場の動きは大きなものであった
*中銀議事要旨=インフレ見通しが大幅改善するまで金融引締めプロセス継続
*新中銀総裁は「適時かつ段階的に」さらなる利上げを進めるとした
*新財務大臣は合理的な政策に変わると主張、経常収支改善も目標
*過大な賃上げはインフレを上昇させる
*リラ安の根本要因は続く
*ゴールドマン・サックスは、リラが1年後に1ドル=28リラまで下落と予想
*地震でも世銀が成長率見通しを上方修正
*今年は建国100周年
(リラ安放置。相場は市場に任せる)
新経済チームになって、リラは弱いまま放置されている。為替介入はしないという。市場原理に基づいた政策を好感し株価は急騰している。銀行に課せられた規制は緩和されている。政策金利はインフレ抑制で段階的に引き上げるようだ。
(トルコ、スウェーデンNATO加盟に同意)
エルドアン大統領は7月10日、スウェーデンのNATO加盟に向けた批准手続きを進めることに同意した。ストルテンベルグNATO事務総長との会談後に発表した。
ストルテンベルグ事務総長は「エルドアン大統領がスウェーデンの加盟に関する文書を可能な限り早期に議会に送付し、批准を確実にするために議会と緊密に協力することに同意したと喜んで発表する」とし、「歴史的な一歩」と称賛した。
(EU加盟への見果てぬ夢あり)
エルドアン大統領の言動や行動を見ていると、ロシア側や中国側につきたいと思うこともあったが、昨日の大統領の発言は印象的であった。EUに入るのが夢なのか
エルドアン大統領は以下の要に発言した
・トルコは50年以上にわたりEUから締め出されている
・ 私はNATO首脳会議でトルコが欧州連合の正式加盟国になることへの期待を指導者たちに伝えるつもりだ
・EUは、トルコがスウェーデンのNATO加盟への道を切り開くことができるよう、トルコの正式なEU加盟への道を開くことが期待されている。
そして、いつの日か、ユーロ通貨統合に参加するのだろうか。時間はかかりそうだ
(6月消費者物価は)
6月の消費者物価は前年比で38.21%上昇。前月の39.59%上昇から鈍化した。上昇率は昨年10月に24年ぶりの高水準となる前年比85.51%を記録して以降、鈍化している。リラ安の波及効果や最低賃金引き上げにより、今後数カ月でインフレがさらに進行すると予想されている。
(良い兆し)
いい兆しもある。
・6月の製造業PMIは51.5で、前月までの2カ月間と同水準。生産は4カ月連続で増加。増加ペースは2021年7月以来の高水準だった。需要の改善に加え、2月の大地震からの回復が続いているほか、国内選挙後に経済活動が上向いた。
・6月貿易収支は54億ドルの赤字。輸入が前月の342億ドルから263億ドルへ大幅減少した(エネルギー価格の下落で)。輸出は209億ドルで前月の217億ドルから小幅減少
・5月失業率は前月比0.5%ポイント低下し9.5%へ改善
(付加価値税を2%引き上げ)
政府は、付加価値税を2%引き上げるとともに、銀行の個人向け融資への課税率も引き上げた。財政赤字拡大に対処する措置だが、すでに高いインフレをさらに押し上げる可能性もある。付加価値税を18%から20%に、トイレットペーパーや洗剤などの生活必需品の税率は8%から10%に引き上げた。
財政赤字の削減が今回の増税の目的。財政規律の確保に向け、他の措置も予定されている。支出削減計画もある。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
大統領選後は下位で低迷
日足、6月22日の政策金利決定までこじっかりしていたが、決定後は急落、2σ下限へ。7月7日-10下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線下向き。雲のはるか下。
週足、2σ下限。6月5日週-12日週の上昇ラインを下抜く。6月19日週-7月3日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、21年12月-23年5月の上昇ラインを下抜く。23年5月-6月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限下抜く。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。
メルハバ
ロシア敵視のアゾフ大隊元指揮官 トルコからウクライナへ
ロシアが敵視してきたウクライナ側の部隊の元指揮官らが、トルコからウクライナに帰国することが明らかになった。ロシア側は不快感を示していて、仲介役を果たしてきたトルコとロシアとの関係も注目される。
元指揮官らはロシア軍の捕虜になったあと、トルコが仲介したロシアとウクライナの捕虜交換で解放され、その後、トルコで生活を続けていた。
捕虜交換にあたっては、元指揮官らがトルコにとどまることが条件になっていたとされ、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、捕虜交換の合意に反する行為だと不快感を示した。
トルコのエルドアン大統領は、来月にもロシアのプーチン大統領を招いて会談を行いたい考えを示しているが、ロシアとトルコとの今後の関係に影響が出るのか注目されそうだ。
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