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ユーロ/円の7月見通し「チャートは続伸示唆 日・欧中銀に注目」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のユーロ/円ポジション動向
・7月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 7月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 6月の推移

6月のユーロ/円相場は148.616~157.994円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約5.7%上昇した(ユーロ高・円安)。上旬はユーロ圏の景気後退懸念などから150円台の上値が重い展開となったが、中旬には欧州中銀(ECB)が利上げを決めた上に次回7月の追加利上げを予告した一方、日銀が当面は大規模緩和を継続する姿勢を示したことでユーロ高・円安の流れが強まった。

16日に155円台に乗せたユーロ/円は、その後もECBメンバーらのタカ派発言が目立つ中で底堅く推移。下旬にかけてはユーロ/ドルの失速などからやや伸び悩む場面もあったが、円が全面安となる中で下値は堅く、27日には2008年以来の157円台へと上伸した。28日に行われたECB主催の国際会議「ECBフォーラム」で改めてラガルドECB総裁がタカ派スタンスを示した一方、植田日銀総裁がハト派姿勢を強調すると157.99円前後まで上昇して14年9カ月ぶりの高値を付けた。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
ユーロ圏5月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+6.1%と前月の+7.0%から大幅に鈍化。市場予想(+6.3%)も下回った。エネルギーや食品などを除いたコアCPIも前年比+5.3%に鈍化した(予想+5.5%、前回+5.6%)。ただ、直後にラガルドECB総裁は「インフレ率が2%目標に戻る軌道に乗っていると十分に確信できるまで、利上げを続ける必要がある」「インフレは高過ぎる。またその状態が長く続くことが予想される」との見解を示した。

8日
ユーロ圏1-3月期国内総生産(GDP)・確報値は前期比-0.1%となり、速報値の±0.0%から下方修正された。2022年10-12月期の-0.1%に続く2四半期連続のマイナス成長でユーロ圏経済は定義上の景気後退局面入りとなった。

13日
独6月ZEW景気期待指数は-8.5と、市場予想(-13.5)に反して前月の-10.7からやや持ち直した。ユーロ圏6月ZEW景気期待指数は-10.0だった(前回-9.4)。

15日
ECBは大方の予想通りに主要政策金利を3.75%から4.00%に引き上げた。中銀預金金利も3.25%から3.50%に引き上げた。声明では「金利を十分に景気抑制的な水準にすることを確実にする」と表明。スタッフ予測では2025年までの全期間でコアインフレ率の見通しを上方修正した。ラガルドECB総裁はその後の会見で「7月に利上げを続ける可能性が非常に高い。(利上げの)停止やスキップは全く議論していないし、考え始めることもしていない」と強調した。

19日
レーンECB専務理事は「7月の理事会でも利上げを決定する可能性が高い」としながらも「9月についてはデータ次第」として予測するのは時期尚早との考えを示した。一方、シュナーベル専務理事は「インフレリスクは上方向に傾いている」として、利上げを控えすぎるよりは過度な利上げを実施する方向に政策を誤る方が望ましいとの見解を示した。

23日
仏6月購買担当者景気指数(PMI)は製造業が45.5、サービス業が48.0といずれも前月から低下。サービス業は2021年2月以来の低水準となった。その後に発表された独6月PMIも製造業41.0、サービス業54.1と揃って予想(43.5、56.3)を下回った。さらにその後に発表されたユーロ圏6月PMIは製造業43.6、サービス業52.4だった(予想44.8、54.5)。

26日
独6月IFO企業景況感指数は88.5と市場予想(90.7)を下回った。先行きの見通しを示す期待指数が83.6と前月の88.3から大きく低下。独IFO経済研究所は「ドイツ経済のセンチメントは著しく悪化している」との見解を示した。

28日
「ECBフォーラム」のパネルディスカッションに、ラガルドECB総裁、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長、ベイリー英中銀(BOE)総裁、植田日銀総裁が登壇。ラガルド総裁は「コアインフレが低下している十分な証拠はない」として「現時点では利上げ休止は考えていない」などと発言した一方、植田総裁は「基調的なインフレ率は(目標の)2%より少し低いと考えている」「年末にかけてインフレの伸びは鈍化する見通し」として早期の緩和修正に慎重な姿勢を改めて示した。

29日
独6月CPI・速報値は前年比+6.4%と予想(+6.3%)を上回り前回(+6.1%)から再加速した。欧州連合(EU)基準CPIは前年比+6.8%だった(予想+6.8%、前回+6.3%)。なお、この日発表されたスペインの6月CPIは前年比+1.9%へ大幅に減速(前回+3.2%)。ユーロ圏域内でインフレ格差が拡大していることが明らかになった。

6月の各市場

6月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 7月の見通し

6月のユーロ/円相場は前月比+6%近くの大幅高となり、月足チャートは「大陽線」で引けた。週足チャートは、短期移動平均線(13週)、中期移動平均線(26週)、長期移動平均線(52週)が下から順に並び、いずれの線も右上がりを示す「パーフェクト・オーダー」を示現。上値ポイントは心理的節目の160.00円と2008年高値の169.95円前後くらいしか見当たらず、続伸期待の高いチャート・フェースとなっている。

ただし、6月のユーロ高・円安のかなりの部分を円安が占めていた点には留意が必要だろう。6月のユーロは、対円で大きく上昇したが、対ドルでは約2%の上昇にとどまり、カナダドルや豪ドルやポンドに対しては下落した。こうした動きを踏まえると、7月は円安の流れが続くかどうかがユーロ/円相場の大きなポイントになると考えられる。6月に円が全面的に下落した要因は、日銀が大規模金融緩和を継続する姿勢を示したことにある。欧州中銀(ECB)をはじめとする欧米の主要中銀は、いずれもインフレ抑制に向けた引き締めスタンスを維持しており、日銀の金融政策の方向性だけが違う方向を向いているとの見方が強まったためだ。

もっとも、7月27-28日の日銀金融政策決定会合では展望リポートで物価見通しが上方修正され、それに伴ってイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正が行われるとの見方が一部にくすぶっている。仮に円安の流れが加速すれば本邦政府・日銀が昨年に続いて円買い介入に踏み切る可能性も排除できなくなるだろう。他方、27日のECB理事会では25bp(0.25%ポイント)の追加利上げが確実視されるが、次回9月についてはECB内部でも利上げか据え置き(利上げ休止)かで見解が分かれているようだ。7月のユーロ/円相場は、ECB理事会と日銀金融政策決定会合が行われる月末の動向がファンダメンタルズ面におけるターニングポイントになる可能性もある。
(予想レンジ:153.000~161.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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