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ドル/円の7月見通し「円全面安に変化は?7月末に日米欧中銀会合」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のドル/円ポジション動向
・7月の日・米注目イベント
・ドル/円 7月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 6月の推移

6月のドル/円相場は138.388~145.071円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.6%上昇した(ドル高・円安)。上旬は米5月ISM支払価格指数の低下などから、米国のインフレに鈍化の兆候が見られた一方、米5月雇用統計で雇用市場の堅調さが確認されたことなどからドルに方向感が出ず138円台から140円台でもみ合った。

しかし、13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを休止しながらも年内あと2回の利上げを示唆する「タカ派的な現状維持」だった一方、15-16日の日銀金融政策決定会合は大規模緩和継続の姿勢を強調する「ハト派的な現状維持」となったことで、米国と日本の金融政策の方向性の違いが意識されると、中旬以降はドル高・円安基調が鮮明となった。19日に142円台を回復したドル/円は22日に143円台、27日に144円台と下旬にかけて続伸。この間、本邦政府筋から円安けん制が相次ぎ、円買い介入への警戒感がくすぶり続けたが、円売りは収束しなかった。30日には7カ月半ぶりに145円台へと上伸して年初来高値を更新した。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
米5月ISM製造業景況指数は46.9と市場予想(47.0)を僅かに下回り、前月(47.1)からやや低下した。構成指数では雇用が前月から上昇した一方、新規受注が低下。支払価格は前月の53.2から44.2へと大幅に低下した。

2日
米上院は、債務上限の適用を2025年1月1日まで停止するとともに、今後2年間の連邦歳出に上限を設ける「財政責任法案」を賛成多数で可決。米債務上限問題はひとまず解決した。その後に発表された米5月雇用統計は、非農業部門雇用者数が33.9万人増と市場予想(19.5万人増)を大幅に上回った一方、失業率は3.7%と前月から0.3ポイント上昇した(予想3.5%)。また、平均時給は前月比+0.3%、前年比+4.3%であった(予想+0.3%、+4.4%)。

13日
米5月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.0%と予想(+4.1%)を下回り前月の+4.9%から伸びが鈍化。食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+5.3%と前月の+5.5%から鈍化したものの、予想(+5.2%)を上回った。

14日
FOMCは政策金利を5.00-5.25%に据え置き、声明で「今会合で(政策金利の)誘導目標レンジを据え置くことで、委員会は追加の情報と金融政策への意味合いを精査できる」と表明。金利見通しでは、政策金利が年末までに5.50-5.75%へ上昇するとの予測を示した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は会見で、7月会合について「なんら決定していない」として、開催してみないと結果がわからない「ライブ会合」になると強調。インフレについては、リスクは上方向としながらも「対応が少な過ぎるリスクと多過ぎるリスクは均衡の取れた状況に近づきつつある」との見解を示した。

16日
日銀は大方の予想通りに金融政策の現状維持を決定。長期金利の許容変動幅も±0.5%程度に据え置いた。声明では「粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の『物価安定の目標』を持続的・安定的に実現することを目指していく」とあらためて表明。植田日銀総裁はその後の会見で物価目標2%の安定的な達成について「なお時間がかかる」との見通しを繰り返した。イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正については「(市場との丁寧な対話を心がけるものの)ある程度のサプライズはやむを得ない」とした上で、後手に回ってインフレが行き過ぎてしまうリスクは「ゼロではない」としながらも、修正を急いで物価目標を達成できなくなった場合の方が「対応が難しい」と述べて慎重に判断する姿勢を強調した。

21日
パウエルFRB議長は議会証言で「インフレを目標に戻すにはまだ長い道のり」「メンバーほぼ全員が金利は年末までにいくぶん高くなると予想」とした上で、年内2回の追加利上げを示唆したFOMC政策金利見通しは「かなり良い予想だ」と発言した。

23日
神田財務官は円安の進行について「足元の為替の動きは急速」として「行き過ぎた動きには適切に対応したい」と発言。円買い介入の可能性を問われ「どんなオプションも排除しているわけではない」と答えた。続いて松野官房長官は「足元では急速で一方的な動きも見られる」「高い緊張感を持って注視し、行き過ぎた行動には適切に対応する」と発言した。

28日
欧州中銀(ECB)主催のパネルディスカッションでパウエル議長は「あと2回の利上げが多数派」とした上で「連続利上げの可能性も選択肢から排除しない」と述べた一方、植田総裁は「基調的なインフレ率は(目標の)2%より少し低いと考えている」「年末にかけてインフレの伸びは鈍化する見通し」として早期の緩和修正に慎重な姿勢を改めて示した。

6月の各市場

6月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月の日・米注目イベント

ドル/円 7月の見通し

6月はドルインデックスが僅かに下落するなどドルはやや軟調だったが、日銀のハト派スタンスが他中銀とは逆方向と受け止められて円が全面的に下落したためドル/円は上昇した。

7月のドル/円は①米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに打ち止め感が広がるか、②日銀の緩和維持スタンスに変化が見られるかが焦点となろう。波乱要因としては③本邦財務省・日銀による円買い介入が挙げられる。①のFRBの利上げを巡っては、7日に発表される6月雇用統計や12日の6月消費者物価指数(CPI)の結果から、市場は25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の判断を推し量ることになりそうだ。米経済データの結果を踏まえ、FOMCに向けて利上げ期待が高まるのか、あるいは後退するのかがドルの動きのカギとなるだろう。そのほか、FOMC前に発表される米5月JOLT求人件数(6日)や米7月ミシガン大消費者信頼感指数の期待インフレ率(14日)なども注目される。

他方、②の日銀については、27-28日の日銀金融政策決定会合でも大規模緩和を維持するとの見方が優勢だが、イールドカーブ・コントロール(YCC)に関しては、突然の修正があってもおかしくないとの見方がくすぶっている。長期金利を一定の水準にコントロールすることを主眼としているYCCの特性上、修正がサプライズ的な決定にならざるを得ないことは植田総裁もある程度認めている。これについては、28日の日銀の決定を待つしかないだろう。今回もYCC修正を見送るようなら円が続落する公算だが、その場合は③昨年に続いて円買い介入が実施される可能性もある。

なお、昨年9月22日の円買い介入は日銀金融政策決定会合当日に145円台後半で実施された。米財務省のイエレン長官は、介入の是非を巡り日本政府と調整していることを明らかにしており(6月30日)、足元で当局が臨戦態勢に入ったことを物語っている。市場介入に為替相場のトレンドを変える力はないとの見方は維持するが、一時的にせよ円高方向に振れる可能性が高く、昨秋の介入時は一時ドル/円が5円程度急落した点には留意しておきたい。
(予想レンジ:139.500~147.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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